「自分の頭で考えろ!」と言われたときに - 『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』
どこかで聞いたことのある話の受け売りをしたり、あるいは直感だけに頼った意見を述べて、教師や上司から「もっと自分の頭で考えろ!」と言われてしまったことはないだろうか。
「自分の頭で考える」という言葉はよく目にするが、では自分の頭で考えるために具体的にどうすればいいかと問われると、困ってしまう人が少なくない。とりあえず頭を抱えて1時間ぐらい唸ってみさえすれば外見上は自分の頭で考えているように見えるかもしれないが、そうやって唸ったところでどこかで聞いたことがあるようなありきたりな結論しか出てこないことは十分ありうる。そもそも、この「自分の頭で考える」とはどのような思考法のことを指しているのだろうか?
このような疑問を抱いたことがある人には、今回紹介する『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』(苅谷剛彦/講談社+α文庫/2002年5月/880円+税)を強くおすすめしたい。本書のタイトルでもある「知的複眼思考法」とは、自分自身の視点からものごとを多角的に捉えて考え抜く思考法のことだ。これはつまり「常識にとらわれず、自分の頭で考える」ことにほかならない。自分の頭で考えたくてもどうすればよいかわからず途方に暮れている人や、自分の頭で考えているつもりなのにどこかで聞いたことがあるようなありきたりな結論しか出せないことに悩んでいる人は、ぜひ本書を手にとってみてほしい。