バーコードで培ったノウハウが活きるRFIDの世界 - Japan IT Week 春 2015
物流、流通、製造、医療、セキュリティなど、様々な分野において活用が進むRFID。近年では、モノのインターネットと呼ばれるIoTや、ドイツ政府が掲げる高度技術戦略(Industry 4.0)などにおいても、RFIDが重要なキーワードとなっている。
5月13日から15日に、東京ビッグサイトにて開催された「Japan IT Week 春 2015」。毎年、数多くのテクノロジーやソリューションが紹介される国内においても最大級の展示会である。本記事では、この「Japan IT Week 春 2015」において、RFID関連の展示を行った日栄インテックのブースを紹介。RFIDによってもたらされる、産業の未来について探る。
○ITによって広がるRFIDの可能性
RFID(radio frequency identifier)とは、小型の無線チップを用いて、ヒトやモノなどを識別し管理する仕組みのことである。一般的には、鉄道やバスなどの交通機関や小売店のレジなどで利用される、かざすだけで決済が可能な電子マネーカードなどでお馴染みだろう。
流通業界においては、バーコードに代わるものとして以前より多くの注目を集めていたが、近年ではIT技術との組み合わせにより様々な可能性が導き出され、さらなる期待が寄せられている。
「2000年代に電波法改正によって、UHF帯でのRFタグが認められたり、タグの小型化や低価格化が進みました。これによってRFIDが普及に向けて大きく動き出し、バーコードの代わりではなく様々な可能性が出てきました。」と語るのは、日栄インテック株式会社開発事業部バーコードグループ森下氏である。
バーコードであれば、専用のリーダで一つ一つ読み取らなくてはならない。だが、無線通信が可能なRFIDであれば、リーダを持って倉庫の中を歩くだけで読み取りが済んでしまう。このようにRFIDの利用が進めば、圧倒的とも言えるほどの時間と手間の削減を図ることが可能となるのだ。
昨今では、タグ自体に付加できる情報量も大幅に増大している。備品と保管庫を紐付け、所在や利用状況を把握し不正な持ち出しを防ぐなど、セキュリティやコンプライアンスの向上にも役立てることができる。
「 来年1月にはマイナンバー制度の運用が始まります。そしてここには、情報漏洩に関する罰則も加えられています。企業のセキュリティを強化する手段としてもRFIDは大きな注目を集めています。」(森下氏)
●多くの関心を集めた日栄インテックのRFIDソリューションブース
○多くの関心を集めた日栄インテックのRFIDソリューションブース
日栄インテックでは、1995年にバーコード事業部を設立。以来、ハード・ソフトの両面において実績を積み重ねてきた企業である。
「バーコードは一見するとニッチな分野に感じられるかもしれませんが、工程管理であったり入荷作業や販売業務の効率化であったりと、求められるものは多岐にわたっています。お客様からの要望を伺い、本当に必要なものは何かを考え実現していく。そこで蓄積された技術とノウハウを活かしたものが、今回ブースで展示する製品とソリューションになります」(森下氏)
今回、同社が展示した新製品は主に以下の3製品である。JBR300シリーズ:重さわずか74gの超小型データコレクタ。
NFCとBluetoothに対応し、iOSやAndroidなどのモバイル端末とも接続が可能。
DOTH300シリーズ:多機能高性能なUHF帯RFIDリーダ/ライタ。最大20mの距離で一括読み込みが可能となり、作業スピードの大幅アップが見込める。
DOTR900Jシリーズ:小型で省スペースなセパレート型UHF帯RFIDリーダ/ライタ。手のひらサイズで持ち運びに便利。
そのほかにも、モバイル端末と連携した超小型バーコードリーダ「NL2002IW」やAndroid OS搭載の業務用ハンディターミナル「OT-300」などが展示され、多くの人が足を止めスタッフの説明に耳を傾けていた。
なお森下氏によると、13日から15日の三日間で約1,400名の方がブースに訪れたとのことだ。「特に初出展したRFID関連の機器やソリューションへのご相談・ご質問が多かったです。
過去にRFIDの導入を見送りしていた企業様が、技術進歩によって再度導入を試み始めたり、RFタグの価格が下がってきたことで導入検討を始めたお客様が増えてきたためと思われます。」(森下氏)
近年、モノのインターネットと呼ばれるIoTが注目されている。RFIDは、その中核を担う技術として、様々な方面から多くの期待が寄せられている
今回展示した新製品の詳細は、以下のサイトに掲載されている。まだ、同社ではデモ機の貸し出しサービスも行っているとのことなので、バーコードやRFIDを使ったソリューションに興味がある方は参考にしてもらいたい。
日栄インテックRFID情報サイト
http://www.rfid.ne.jp
日栄インテックバーコード情報サイト
http://www.barcode.ne.jp