まんしゅうきつこ、強要された面白さで酒に走る--『アル中ワンダーランド』
いきなりですが、今日はみなさんに、ある説をプレゼンしにやって参りました。題して、「自分は依存症じゃないと言い切れる人なんていない説」です。
いや、待って待って、読むのやめないで! ツムツム始めないで!
気持ちはわかります。依存症なんて、特別な人がなる、特別な病気。そう思いたい気持ちは重々承知です。私もそう思ってました。だって、タバコ吸わないし。自分がツイてない人間だって知ってるから、怖くてギャンブルできないし。
飲むとすぐ眠くなっちゃうから、酒も付き合い程度でしか飲まないし。
でもね、ちょっと待って。あと、ツムツムもいったんやめて。ためしにこの本を読んでみてほしいんです。今、大注目の漫画家・まんしゅうきつこ氏が自身の実体験を描き下ろした『アル中ワンダーランド』。これを読むと、アルコール依存症が決して"特別な世界"ではなく、ありふれた日常と地続きにあるものだということがわかると思います。
○淡々としたアル中描写のおかしさと恐ろしさ
アルコール依存症の実態を描いた作品といえば、中島らもの『今夜、すべてのバーで』をはじめ、吾妻ひでおの『失踪日記2 アル中病棟』、鴨志田穣の『酔いがさめたら、うちに帰ろう』など、壮絶な名作ぞろい。