中国の医薬品市場改革で競争力が求められる医薬品メーカー
中国では、医薬品を安価で国民へ提供するために、中央政府により医薬品価格が実質的にコントロールされています。しかし、中央政府は6月以降、医薬品価格に関する規制を緩め、ほとんどの医薬品価格の決定を市場に委ねることを明らかにしました。
中国において医薬品メーカーは、地方政府により運営される入札制度を通じて、病院や調剤薬局などへ医薬品を販売しています。入札される医薬品の価格は、現行制度では、中央政府が定める上限価格の範囲内となっています。そのため、需要があるにも関わらず価格が抑制されていることで、採算に見合わない医薬品の製造が見送られるなど、深刻な医薬品の不足を引き起こし、規制への批判が高まりました。こうした流れを受けて昨年4月、中央政府は規制緩和に踏み切り、一部の医薬品価格の上限を撤廃しました。そして今回、麻酔薬など一部を除きほとんどの医薬品価格の上限が撤廃されることになりました。
これにより、医薬品価格の決定は市場に委ねられ、自由な価格交渉が可能となることから、品質や価格、知名度などの観点で差別化が進み、効能の高い新薬や低価格のジェネリック医薬品、認知度の高い漢方薬などが優位になると見られています。