主に建造物に付着する無用の長物こと「トマソン」という言葉、かつては一部の人にだけ知られるニッチな超芸術のひとつだったはずだが、主にネットでその概念が周知されるに従い、現在ではかなり広く知られる街角コレクションになったように思う。
今回、このトマソンにははるか及ばないが、きちんと使用できるのにどこか不便な街角のアレコレを3つ取り上げてみたい。
一方が座ると座れなくなる椅子。上野駅構内のホーム上待合室には共存できない椅子がある。
不備だ、設計ミスだ、と突っ込みを入れるのは簡単だが、そうした視線の中でも今日まで椅子としての機能を果たしているのだろう。優しい気持ちで見てあげたい。
街を見渡すと、2つのものの互いの呼吸が合わず残念ながら共存できていないという風景に時々出くわす。
車を停めると自転車が出せない駐車場兼駐輪場。
これが設計ミスでないのであれば、あるルールに基づき車と自転車がきちんと共存しているはずなのだが、いくら考えても答えが浮かばない。
仮に何かのミスだとしても、人ってのはうまく折り合いをつけて、こうした不都合を解決してしまうものだ。
どちらにしても、この駐車場が今どんなルールで運用されているのか想像するのはとても楽しい。