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大学デビューの落とし穴 (5) 6月:「入学マジック」が消滅し、ここから本当の学生生活がはじまる!

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大学デビューの落とし穴 (5) 6月:「入学マジック」が消滅し、ここから本当の学生生活がはじまる!
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大学1年生のみなさん! 「大学デビューのホントのところ」、知りたくないですか? 本連載は、かつて大学デビューに半分成功・半分失敗したトミヤマユキコ(ライター・大学講師)と清田隆之(恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表)が、過去の失敗を踏まえ、時に己の黒歴史を披露しながら、辛く苦しい学生生活を送らないためのちょっとした知恵をお授けする。そんな連載です。
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○戦いは団体戦から個人戦へ

入学式から延々と続いたお祭り気分がようやく落ち着き、そろそろ真面目に勉強でもするか……バイトも探さなきゃな……となるのが6月。連休もないし、期末試験まではまだ間がある6月は、言ってみればフツーの月です。つまらないと言えばつまらないですが、実はけっこう大事な時期。

というのも、このあたりから「新入生にかけられた魔法=入学マジック」が徐々に解けてゆくんですよね。大学に通うことが非日常から日常になっていき、学生生活の実態が見えてくると「思ってたほど○じゃなかった」と感じることが増えていきます。大学は思ってたほど自由じゃないし、授業は思ってたほど面白くない。
しかし「なんだ、こんなものか」という気持ちになったとき、あなたはやっと高校生から大学生になったと言えましょう。

勉強しろ! クラブ活動に精を出せ! 運動会・文化祭に参加しろ! みんなで旅行に行くぞ! と「やるべきこと」をじゃんじゃん仕掛けてくるのが高校までのやり方だとすれば、「なんだ、こんなものか」という状況下で自ら「やるべきこと」を見つけ出すのが大学以降のやり方です。大学および教員たちは、学生ひとりひとりの人生にそこまで関心がないというか、来る者拒まず去る者追わずの精神でいることが多い。

つまり、自分の努力とセンス次第で、この先の学生生活はいかようにも面白くすることができますし、逆に言えば台無しにするのも簡単です。ですから、入学マジックが解けたあとの少し醒めた気分で「やるべきこと」が何なのかをちょっと真面目に考えることは、今後の学生生活を充実させるためにもぜひやっておいてほしいことなんです。「やるべきこと」というのは、なにも勉強だけではありません。周囲の人間との付き合い方について考えることも大切です。4月から何度も自己紹介を繰り返すうち、自分のキャラが定まってくるのが6月であり、大人数でのコンパが減り、少人数でちょっとご飯でも、という機会が増えていきます。
団体戦から個人戦へ。他者との関わり方が変わっていくんですね。

○現役学生もやっぱり悩んでいた6月

このことについて現役学生にインタビューをしたところ、やはり6月は人間関係が変化する時期だと言っていました。クラスやサークル内でのキャラおよび立ち位置が決まってきて、仲良くなりたい人、なれない人の線引きができるようになり、それにしたがって、仲良くなれそうな人との関係を深めることに時間を遣うようになっていく。「もっとあの人のことを知りたい、自分のことも知って欲しい」と思うようになり、1対1の付き合いがはじまるわけです。

1対1と言えば、先輩から新入生への告白がはじまるのもこの時期だというインタビュー結果が。「もう6月だし、お互いのことがだいぶ分かってきたし、そろそろイイよね?」という感じで告白ムードが盛り上がるのであろう……ここでもやはり、浅く広く知り合いを作る時期が過ぎ、絞り込みの作業が始まるのですね。

学生にインタビューしながら思ったのは「ああ、今も昔も6月の過ごし方って変わらないんだなー」ということ。
わたしは残念ながら先輩から告白されることはなかったけれど、人間関係の構築はものすごくがんばっていました。その当時のわたしには、すごく気になる女子がいたのです。どうしても早稲田に行きたいからと3浪して、最後の方は予備校にも行かず、引きこもってクソ勉強したという彼女がとてもかっこよく思えました(親にお金を出してもらって予備校に行った自分はなんてあまちゃんなんだ!と恥ずかしくなった)。彼女にとても興味を持ったわたしは、授業そっちのけで彼女と喋りまくりました(まあ、授業は出るべきでしたけど)。

そして、その彼女とは、いまだに付き合いがあるばかりか、仕事上の繋がりまであるんですよ。卒業して別々の業界に進んだというのに、なぜか再会してしまった。そんな偶然が人生にはあるんです。気心の知れた友だちと仕事の話ができることのありがたさといったらない! あの頃のお喋りは決してムダではなかったのだなと思わずにはいられません。
実は、この彼女のほかにも、大学1年の時に仲良くなって仕事で再会した人が2~3人いるんですよね。ですからみなさんも友だち作りをバカにせず「この出会いは一生モノかも知れないぞ?」と思うぐらいで丁度いいかも知れません。

○キャラ設定をリセットするチャンス

6月が人間関係の絞り込み期だということに関してもうひとつ言っておくと、この時期は、自分のキャラを軌道修正・リセットするチャンスです。

入学の時点で「こういうキャラでいこう!」と決めたけど、イマイチしっくり来ないという人、けっこういるんじゃないかと思うんですよね。ついついカッコつけてしまったけど「よく考えたらそこまでやる必要なかった! 失敗した!」と後悔しているそこのあなた! このタイミングでしれーっと軌道修正してしまいましょう。今ならキャラ設定を変えても、誰もあなたを責めませんから。「大学入学でちょっと浮かれてただけです、すんません」でOKですから。

ちなみにわたしも「下北沢に通い慣れている古着好きの女」というキャラ設定に限界を感じ、背伸びをやめたのは6月でした。
あそこで方向転換しなかったら、その後の人間関係がどんどん空疎になっていたと思います。うわー、恐ろしい。

インタビューの中でも、不良キャラ、無頼キャラを演じてしまった人が6月あたりで軌道修正をしたという話が出てきました。ダメ学生っぽいのに喋るとすごく頭の良さそうなことを言うヤツ、みたいなキャラを目指した者の多くが「ゴメン! やっぱちょっとコレなしで!」と叫ぶハメに……。

でもそれでいいのです。すべては入学マジックのせいなのですから。6月でキャラ変更した過去なんて、10年経てばすべて笑い話。いや、5年ぐらいでもう笑い話ですので、早いとこ自分に素直になって、「やるべきこと」が何なのかじっくり考えることを強くオススメいたします!

トミヤマユキコ
ライター・大学講師。
「週刊朝日」「文學界」でブックレビュー、「ESSE」「タバブックス」でコミックレビューの連載を持つライター。早稲田大学などでサブカルチャー関連講義を担当する研究者としての顔も持っている。「パンケーキは肉だ」を合い言葉に、年間200食を食べ歩き『パンケーキ・ノート』(リトルモア)にまとめた。
Twitter @tomicatomica

清田隆之/桃山商事
1980年、東京生まれ。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆など、何でも手がける"恋バナ収集ユニット"「桃山商事」代表。男女のすれ違いを考えるPodcast番組『二軍ラジオ』を更新中。雑誌『精神看護』やウェブメディア「日経ウーマンオンライン」「messy」などでコラムを連載。著書に『二軍男子が恋バナはじめました。

(原書房)がある。
Twitter @momoyama_radio

(イラスト:谷口菜津子)

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