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iOS 9でも使えるのはなぜ? AppleがiPhone 4sをサポートし続ける理由を考察

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iOS 9でも使えるのはなぜ? AppleがiPhone 4sをサポートし続ける理由を考察
●iPhone 4sは相当古い
アップルが次期iOS「iOS 9」を発表した。対応機種としてiPhone 4sが発表されたことは、ある種の驚きをもって受け止められている。今となってはかなり古い機種となるiPhone 4sだが、どうしてアップルはiOS 9でiPhone 4sのサポートを続けることにしたのだろうか?

○iPhone 4sは4年前の端末

iPhone 4sは2011年10月に発売された、iPhoneとしては5代目に当たる機種だ。ディスプレイは3.5インチ(960×480ドット)、CPUはデュアルコアのApple A5を搭載する。搭載メモリは512MBだ。OSは当初iOS 5を搭載しており、音声アシスタント「Siri」が使えるようになったのも当機からだ。通信機能としては3Gまでで、LTEには対応していない。

細かいことだが、発売当初は「4S」であり、iPhone 5s/5cが登場したのに合わせて「4s」と、小文字になったという経緯がある。
もうひとつ、アップルの創業者にして伝説的な経営者となったスティーブ・ジョブズはiPhone 4sの発表翌日(10月5日)に息を引き取っており、ジョブズが見届けた最後のiPhoneでもあるわけだ。4sのsはスティーブのSだ、という人もいるほどだ。

最初の発売からすでに4年半を経ており、翌年型落ちになってから購入したケースを考慮しても、さすがに国内でもバッテリー等にかなり経年劣化が見られる端末が増えているだろう。こうした古い機種は最新OSのサポートから外し、さりげなく(……でもないが)買い替えを勧めるのが通常の方針だ。実際、1つ前のiPhone 4はiOS 8でサポートされなくなっており、順当にいけばiOS 9でiPhone 4sが外れるはずだった。なぜ4sだけはこんなに長くサポートされ続けるのだろうか。理由を考えてみよう。

●iPhone 4sがサポートされる理由:その1

理由1:開発途上国での人気が高いから

考えられる理由のひとつが、開発途上国では比較的最近まで販売されていたことだ。
iPhoneはスマートフォンの中でもプレミアムブランドであり、アップルは理由もなくブランド価値を下げるような廉価販売を嫌う傾向にある(そのためiPhone 5cが想像より高く、あまり売れなかったということもあったが)。しかし一方で、潜在的ユーザー数が圧倒的に多く、成長市場として無視できない開発途上国にも端末を投入する必要がある。そこでアップルが取ってきたのが、1~2年型落ちの機種を、フラッシュメモリの容量も減らした上でこれらの市場に投入するという手法だ。

たとえば新興市場であるインドは12億人以上の人口を持ち、将来世界2位となると言われている巨大市場だが、未だにiPhone 4sが人気機種として販売されている。最新のiPhoneには手が出ないが、それでもiPhoneが欲しいという層に人気があるそうだ。アップル自体のインドでのシェアは5%前後にすぎないが、それでも年間200万台程度は販売が見込める。将来インド市場が現在の中国市場のように成長したときを考えて、種をまいておくのに越したことはないというわけだ。

いくら型落ちで安いとはいえ、月収の数割を費やしてやっとiPhoneを購入した人たちに、「君たちがこの間買ったiPhoneだけど、もう最新のOSは動かないからね」と言うわけにはいかないだろう(もっとも、実は2014年前半に、iPhone 4で同じことをやったようなのだが……)。


理由2:ほかの機種もA5を使っているから

Apple A5を搭載している機種は、iPhone 4のほか、iPad 2、iPad mini、それに第3世代のApple TVがある(ただしApple TVのA5はシングルコアになっている)。Apple TVのOSはiOSベースで、バージョンから類推するとiPhoneのそれよりも1世代低いようなのだが、CPUがA5であることには違いがない。

A5を搭載した機種はいずれも、比較的長く売り続けられた端末だ。iPad 2は2011年4月に発売されて2014年3月まで、iPad miniは2012年11月に発売され、今なお販売が続いている。iPad 2とiPad miniは教育市場などでも多く使われており、これを早々とカットするのは戦略的に見ても得策ではないだろう。

また、Apple TVは発売以降3年以上が経過しており、今年中にも新型の登場が噂されているものの、値下げしたばかりでこれからユーザーを増やそうというところ。iOS 9でもイチオシのHomekitでも、家の外からiCloudを経由して家電を制御する際に、Apple TVがハブとして機能することを発表したばかりだ。つまり、戦略上もこれらの機種を無下にカットするわけにはいかないので、結果的にiPhone 4sも延命されたというわけだ。


●iPhone 4sがサポートされる理由:その2

理由3:来年大きなカットオフが行われるから

来年は初代iPhone OSから数えて10年目、iOSもバージョン10となる記念すべき年だ。筆者はここで、比較的大きな改定がおこなわれるのではないかと見ている。それは画面解像度や対応CPUといった部分にまで大きく影響してくる変更になる。たとえばiPhoneはiPhone 4でRetina化、5でワイド化、6/6 Plusでさらなる高解像度化と画面サイズの変更を経ている。またCPUは、iPhone 5sのApple A7で64bit化を果たしており、Touch IDが採用されたのもここからだ。

つまり、4sを切ればワイド化以前の画面アスペクト比を、5(および5c)までを切れば32bitコードとTouch IDを搭載しない不用心な環境も排除できる。アプリ開発やサービスを提供する上で、ユーザーの環境を一定に揃えるのが理想的だが、アップルはiOS 10でこうした大粛清を行い、一気にユーザーの環境を均質化する可能性はないだろうか。

以上、つらつらと思いつくままに考えてみたが、どの理由が正しいというよりは、複合的に絡まっているように感じられる。
アップルがどのような戦略のもとにサポートを決定したかは、アップルのみぞが知るというところだろう。

とはいえ、日本市場に限って言えば、iPhone 4sはそろそろ本気でバッテリーも辛くなっているはず。余計なお世話かもしれないが、2年縛りも終わっているだろうし、iOS 9を待たずとも、そろそろ新しい機種に買い替えを考えてみてはいかがだろうか。

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