東京都現代美術館でブラジルの首都を創った建築家・ニーマイヤーの回顧展
同展は、2012年に104歳で亡くなる直前まで精力的に設計を続けていた伝説的なカリスマ、ニーマイヤーのほぼ1世紀にわたる建築デザイン活動の全貌を、図面、模型、写真、映像などによって紹介するもの。会場では代表的な建築物を様々なサイズの模型で展示し、代表作のひとつであるイビラプエラ公園の30分の1の模型は、約500平方メートルのアトリウムの大型空間でダイナミックに展開される。また、会場デザインはニーマイヤーに大きく影響され、彼を敬愛してきたSANAAによるもので、ブラジルの光をおもわせる白を基調として、ダイナミックでモダンな有機的曲線で会場を構成しているという。そのほか、ニーマイヤーの日常や創造の秘密をみせる映像資料、壮絶ともいえる首都ブラジリア建設の詳細なドキュメントも展示されるということだ。
オスカー・ニーマイヤーは、ブラジル国内の主要な建築の設計を手がけ、そのユニークな創造性によって、内外で高い評価をうけ、アメリカ建築家協会ゴールドメダル、プリツカー賞、高松宮殿下記念世界文化賞など数々の建築賞やレーニン国際平和賞を受賞。
代表的な仕事としては、首都ブラジリアの設計が挙げられる。1950年代国家の大プロジェクトである、首都ブラジリアの主要な建物設計(国民会議議事堂、大聖堂など)にたずさわり、ニーマイヤーは創造性豊かな都市をつくりあげた。この成功は建築という概念を超えた歴史的イベントとして、ブラジルの名を世界に知らしめ、ブラジリアは1987年世界遺産に登録された。「建築にとってアートはとても大切です」と語っていたニーマイヤーは、幼いころからドローイングを得意とし、描いた絵をじっとながめてそれが存在するようにたちあらわれると感じていたという。ニーマイヤーのデザインは、フリーハンドの大胆さと自由さ、女性の身体に例えられるように有機的でダイナミックな曲線、生命感とモダニズムの幾何学の調和を特徴としており、その未来的な形は日本の建築家にも多くの影響を与えてきたということだ。