PhotoshopのWebデザインUI、顔認識技術でアニメキャラを動かす機能など - Creative Cloud 2015年リリース
アドビ システムズは本日、「Creative Cloud 2015年リリース」を発表した。今回は数々の主要アプリケーションのアップデートに加え、新しいサービスである「Adobe Stock」を発表した。ここでは、今回のリリースの全体的な内容を紹介する。
○15のデスクトップアプリがすべてメジャーバージョンアッ
今回のリリースでは、15のデスクトップアプリケーションがすべてメジャーバージョンアップした。例えば、グラフィックデザインの分野では「Adobe Illustrator CC」がGPUに対応したことで再描画のパフォーマンスが最大10倍になったほか、拡大倍率も10倍の6万4,000%に拡張。また、Illustratorユーザーが待ち焦がれていた「自動保存」機能がついに実装されるなど、さまざまな領域で活躍するクリエイターの多くにとって注目すべき点のある、盛りだくさんのアップデートとなっている。
モバイル&Webデザインの分野では、「Dreamweaver」のレスポンシブデザインに関する機能が大幅に強化されたのに加え、「Photoshop」でのモバイルデバイス向けの機能がパワーアップ。クロスデバイスのUXを設計するのに最適なツールとして「アートボード」を搭載。
加えて、モバイルアプリやWebサイトを手がけるデザイナーのニーズに注目した作業環境「Photoshopデザインスペース」(プレビュー版)が追加され、Webデザインをリアルタイムにモバイル端末で表示可能なアプリ「Preview CC」も登場した。
一方、ビデオ関連では「Adobe Premiere CC」で映像の無音部分のつなぎ目を自然にカットする「モーフカット」や「After Effects CC」のフェイストラッキング機能などの新機能が実装されたほか、これらのアプリケーションのパフォーマンス向上も実現。2015年4月のNAB Show 2015で先行公開された、顔認識技術を活用し二次元キャラクターをリアルタイムで動かす「Adobe Character Animator」のプレビュー版も追加された。フォトグラフィ関連では「Photoshop」と「Lightroom」にかすみやもやを簡単に除去または追加できる機能が搭載され、「Photoshop」の修復ブラシツールやパスツールが120倍の高速化を実現するなど、パフォーマンス面における進化も見逃せない。フォトグラフィ関連の詳細についてはデジタルイメージング製品(フォトグラファー向け製品)のレポートを参照してほしい。
そして、日本のCreative Cloudユーザーにとって大きなニュースとなったのが、「TypeKit」に日本語フォントが登場したこと。まずはアドビがライセンスを持つ書体からの提供となり、今回追加されたのは「りょうゴシック PlusN」、「りょうDisplay PlusN」、「りょうText PlusN」、「平成角ゴシック StdN」、「平成角ゴシック Std」、「平成丸ゴシック Std」、「平成明朝 StdN」、「平成明朝 Std」、「かづらき SP2N」の9書体。なお、サードパーティー製のフォントについては、今後の対応が予定されている。
●新ストックフォトサービス「Adobe Stock」/CS3以降ユーザーへの優待価格の終了
○さらに統合されたデスクトップとモバイルアプリ
今回のリリースでの注目すべきポイントは以下の3つに大別される。
まずは、デスクトップアプリケーションとモバイルアプリケーションがさらなる統合だ。米国で先行リリースされていたデザインカンプ作成用途のモバイルアプリケーション「Comp CC」が、このたび日本語に対応して日本のApp Storeにも登場するほか、ビデオ編集のワークフローとして、従来の「Premiere CC」や「Premiere Clip」に加え、モバイル向けのキャプチャーアプリ「Hue」が仲間入りした。さらに、主にアジア市場で嬉しいニュースとして、既にiOS版で好評を博していた「Shape CC」、「Color CC」、「Brush CC」、そして「Photoshop Mix」という4つのモバイルアプリケーションにAndroid版が仲間入りすることとなった。
次に、Creative Cloudに内在する共通のテクノロジーである「Adobe CreativeSync」によって、クリエイティブに必要となる写真や画像、フォント、文字スタイル、メタデータ、各種設定などさまざまな情報がクラウドを通じて常に同期する。これにより、Creative Cloud全体があたかもひとつのアプリケーションのように連携するようになったという。
○新しいストックフォトサービス「Adobe Stock」を開始
そして最も新しい動きが、新しいストックフォトサービス「Adobe Stock」の始動だ。Creative Cloudのアプリケーションと密接に連携し、アプリケーション内で必要な写真や画像素材をダウンロードしたり購入したりできるのが特長。
同サービスのプランおよび価格は、画像1枚あたり1,180円で購入できるほか、10点の画像が5,980円/月、750点の画像が2万4,980円/月というサブスクリプションプラン(年間契約)も用意されている。料金はAdobe Stockのみを導入した場合で、Creative Cloudメンバー向けには、10点の画像が3,480円/月で提供される(すべてのプランが対象)。なお、フォトグラファーが撮影した写真をAdobe Stockへ提供し、販売できるシステムも予定されているということだ。
また、大規模な法人および政府官公庁、教育機関向けの「Creative Cloudエンタープライズ版」に新たなプランが追加されるという。これまでエンタープライズ版はこれまで、デスクトップアプリケーションとクラウドサービスの両方が利用できるプランと、デスクトップアプリケーションのみを利用できるプランの2つが用意されていたが、新たにプライベートクラウドを利用できる上位プラン「マネージド」が追加される。
○「CSユーザー向け特別提供版」を終了し、新たに2015導入応援キャンペーンを開始
次に、長らく実施してきた、CS3以降のCreative Suite製品を利用している人を対象とする「CSユーザー向け特別提供版」を終了するとをアナウンスした。「CS3~5.5ユーザー様向け特別提供版」は7月31日、「CS6ユーザー様向け特別提供版」は11月30日に終了となる。
それに際して、新たに6月16日~7月31日(日本時間)までの期間限定で「Creative Cloud 2015導入応援キャンペーン」と題して、CS3~6までのユーザー限定で「Creative Cloud個人版コンプリートプラン(特別提供版)」を月額1,980円(年間プラン、月々払い)で、「Creative Cloudグループ版コンプリートプラン(特別提供版)」月額3,980円(2年間の価格、月々払い)で購入できるほか、すべての人を対象とした「Creative Cloud個人版 Illustrator単体プラン)を月額980円で提供するキャンペーンを実施している。
なお、今回の「Creative Cloud 2015年リリース」の詳細情報は、6月17日 13:30~17:15(13:00受付開始)に東京都・六本木の六本木EXシアターにて開催されるイベント「Adobe Live 2015」にてデモを交えて紹介される。
同イベントでは最前線で活躍するクリエイターをゲストスピーカーとして迎え、活用テクニック、制作作業を効率化する最新ツール、ワークフローなどを紹介。当日のイベントの模様はオンラインにてストリーミング配信が予定されており、ストリーミング配信の視聴希望者は、申し込みページから必要事項を記入の上、申し込む(会場参加は定員600名、申し込み多数の場合は抽選)。ちなみに、イベント登録した上でツイートすると、抽選でApple Watchが当たるキャンペーンに参加することもできる。アップデート内容の中で気になる情報がある人は登録してみては。