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ゴールデンラズベリー賞に輝いた”最低”映画「スノーホワイト」と「バトルシップ」は実はこんなにおもしろい! (1) もの◯け姫オマージュ?な「スノーホワイト」

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ゴールデンラズベリー賞に輝いた”最低”映画「スノーホワイト」と「バトルシップ」は実はこんなにおもしろい! (1) もの◯け姫オマージュ?な「スノーホワイト」
皆さんはゴールデンラズベリー賞をご存知だろうか。世の中にはアカデミー賞やゴールデングローブ賞といった数多くの映画賞が存在するが、そうした中でもひときわ異彩を放っているのが、このゴールデンラズベリー賞である。

というのも、普通なら映画賞はその年の優れた作品に対して贈られるものだが、ゴールデンラズベリー賞は「その年の"最低"の映画」に贈られるという大変不名誉な賞なのだ。……しかも、授賞式はアカデミー賞の前夜ときたもんだ。いやはや、アメリカらしいといえばらしいユーモアセンスである。

もっとも、この賞は単につまらない映画というよりは、「ある意味おもしろいんだけど個性的すぎる作品」や「前評判が高すぎてがっかり感が強かった映画」などが選ばれることも多い。むしろ、選ばれたことで注目を集め、評価されることさえある。よって、映画ファンにとっては、アカデミー賞と同様に見逃せない賞でもあるのだ。


そんなゴールデンラズベリー賞の季節が今年もやってきた。いったいどんな作品が受賞するのか今から楽しみで仕方ないが、その前に前回のゴールデンラズベリー賞のおさらいをしておこう。ちょうど、前回受賞した2作品「スノーホワイト」と「バトルシップ」が、WOWOWで3月2日深夜に放送される。それぞれの見どころを紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

○もの◯け姫オマージュ?な「スノーホワイト」

第33回のゴールデンラズベリー賞で最低主演女優賞を受賞したクリステン・スチュワートが出演している作品。作品賞こそ逃したものの、ツッコミどころ満載の展開はゴールデンラズベリー賞にふさわしい。といっても誤解しないでいただきたいのは、この映画、それをわかって見るとかなり面白いということだ。

物語のベースになっているのは、誰もが知るグリム童話「白雪姫」だ。
日本でもおなじみの名作童話だが、それを本作では大胆にアレンジしている。……"大胆にアレンジ"するのはいいのだけど、本作の場合はそれがちょっと大胆すぎたかな、という印象だ。

何しろ、原作のほのぼの感はゼロ!剣と魔法、血と戦いに彩られたファンタジーになっているのである。えっ、どういうこと!?

主人公はクリステン・スチュワート演じるスノーホワイト。言わずと知れた白雪姫である。国中から愛される姫君だったスノーホワイトだが、父王が魔女ラヴェンナを妃として迎えたことから運命は一変する。ラヴェンナは王を殺害して国を奪い、スノーホワイトを塔に幽閉したのだ。やがて成長したスノーホワイトは、ラヴェンナに殺される寸前で脱出。
黒い森へと逃れるのだった――。

「本当は怖いグリム童話」というシリーズがあるが、「もし本当に白雪姫の物語があったなら、こうだったんじゃないか」と思えるような内容だ。世界観はディズニーというよりはロード・オブ・ザ・リングのような中世ファンタジー世界で、魔法の鏡や毒りんご、7人の小人といった原作ならではの要素もしっかりと登場する(7人の小人は全員単なる小さいオッサンだけど……)。原作の重要なシーンや小道具がどんなアレンジで登場するのかを予想しながら見るのも、本作の楽しみ方の一つである。

とはいえ、原作以外のオリジナル要素も満載だ。

たとえばスノーホワイトが逃げ込んだ森で出会う白い鹿は、どう見ても「も◯のけ姫」のシシ神様である。なんかちょっとコダマっぽい精霊みたいなのも出てくるし、どう考えても意識しているとしか思えない。しかもこのシーン、映画全体から考えると別にいらないのである。
「ああ、監督が『もの◯け姫』が好きで、これをやりたかったんだろうな」とニヤニヤできる場面である。

とまぁこんなふうに様々な楽しみ方ができる本作だが、なぜか主演のクリステン・スチュワートがゴールデンラズベリー賞を受賞してしまっている。

これ、クリステン・スチュワートが悪いというのではなく、悪の女王様役のシャーリズ・セロンがすごすぎたのだ。何しろ彼女は元モデルという美貌の持ち主で、さらにアカデミー賞やゴールデングローブ賞も受賞した経験を持つ超実力派女優!本作でもその演技力と存在感は圧倒的で、悪の女王ラヴェンナとして神々しいまでの演技を見せてくれている。

「白雪姫」は穿った見方をするなら、白雪姫と悪の女王が比較され、対立する物語。その意味では本作も、クリステン・スチュワートとシャーリズ・セロンの女優対決の映画なのだ。若手の有望株クリステン・スチュワートではあるが、さすがに比較されてしまうと相手が悪いと言わざるを得ない。本作がゴールデンラズベリー賞を受賞してしまったのは、そのあたりにも理由があるのかも?

●ゲーム的な展開をハリウッドが本気で実写化「バトルシップ」
続いては、アルゼンチンの雑誌から発表されたボードゲームの『Battleship』を原案として制作されたハリウッド超大作。
ユニバーサル・ピクチャーズ100周年記念作品で、2億ドル以上の制作費がかけられたものすごい映画である。

○ゲーム的な展開をハリウッドが本気で実写化「バトルシップ」

ゴールデンラズベリー賞では、人気歌手でもある女優リアーナが最低助演女優賞を受賞してしまっている。

本作の見どころは、なんといっても米海軍と日本の海上自衛隊とが共に戦う熱い展開だろう。舞台となるのは太平洋ハワイ沖。宇宙から飛来したエイリアンと人類との手に汗握る攻防が繰り広げられるのだ。

主人公はテイラー・キッチュ演じる米海軍大尉のアレックス・ホッパー。そして、浅野忠信演じる自衛官のナガタだ。米海軍と海上自衛隊が参加する環太平洋合同演習がハワイ近海で行われていたちょうどそのとき、太平洋各地に5つの謎の物体が飛来する。
物体の正体は宇宙から飛来したエイリアンの戦闘メカ。

アレックスは、地球征服を目指すエイリアンの攻撃によって艦長を失った米海軍の駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズの指揮を執ることになり、海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」のナガタらと協力してエイリアンを迎え撃つことになる――。

本作の魅力の一つは、2億ドルをかけたというド派手なバトルシーンだ。エイリアンが操る巨大戦艦と人類側の戦艦との撃ち合いはもちろん、エイリアンと人間の肉弾戦や、ボール型の戦闘メカに次々と破壊されていく市街地など、遠慮なく破壊しまくる派手なバトルがたまらない。エイリアンの造形が比較的に人間に近かったり、ちゃんと宇宙服を着ていたりと、妙にリアリティを追求しているところにも注目したいところだ。

とはいえ、本作は単純なドンパチ映画ではない。アレックスの人間的成長や、ナガタとのライバル関係など、ヒューマンドラマとしても見どころ満載の映画なのだ。

さらに、アクション映画としても展開が練られている。
エイリアン側は全力をもって人類を滅亡させにきているのではなく、やってきたのは様子見、つまり先遣隊なのだ。しかも地球に突入する際、事故で一機を失っている。このことから、彼らは本気で人類を滅亡させにかかるのではなく、まずは地球の通信所を乗っ取って母艦に応援を呼ぼうとしている。文明的にはエイリアンが圧倒しているが、戦力としてはまだ人類に勝てる見込みがあり、応援を呼ばれる前に潰さなければならない――この部分が本作のキモだ。まるで戦略シミュレーションゲームのような刻一刻と変わる展開が面白い本作だが、ボードゲームが原案と聞けばそれも納得。ゲーム的な展開をハリウッドが本気で実写化するとこうなるんだぜと言わんばかりだ。

物語はラストに向かうにつれてさらに斜め上に進んでいく。「え、そんなのアリなの!?」と思わずツッコんでしまう超展開からの盛り上がりは最高潮だ。細かいツッコミどころを言い出したらキリがないが、本作はそういう楽しみ方をする映画ではない。人類 VS エイリアン。主人公とライバルの成長と友情。ハリウッドが本気を出して作った、ド派手で緊張感あふれるバトルシーン。それでもって最後は誰も予想しなかった展開を迎えて気持よくスッキリ!これぞエンターテインメント映画だろう。

前述した通り、今年のゴールデンラズベリー賞を前に、「スノーホワイト」と「バトルシップ」がWOWOWで放送される。放送日は「スノーホワイト」が3/2(日)深夜3:50、「バトルシップ」が3/2(日)深夜1:35だ。(スノーホワイトは他特集にも登場し、2/11(火・祝)午前9:35と2/15(土)よる6:45にも登場する)詳細はこちらをご覧いただきたいが、まだ見たことがないという人は、この機会にぜひ。

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