いよいよ本格普及が始まったAndroid 5.0はどこがいい?
Android界隈の話題は、早速、次期OS「Android M Release」に移っているが、市場には夏モデルから、ようやくAndroid 5.0「Lollipop」を搭載した端末が出揃い始めたところだ。Android 4.xと比べて何が変わり、なにが便利になったのか、改めて確認してみよう。
○新UI「マテリアルデザイン」
Android 5.0で最も大きく変わったのが、ユーザーインタフェースのデザインだ。Android 5.0のインターフェースは「マテリアルデザイン」といい、見た目はiOS 7以降のようにフラットな感じになっているが、よく見るとボタンなどに影がついている。Googleは今後、Android Wearのようなウェアラブル端末からChromecastやAndroid TV、Android Autoといったさまざまなサイズ・ジャンルの製品に至るまで、共通のUIとしてこのマテリアルデザインを採用していく。Androidのインターフェースを統一することで、どのデバイスを使ってもすぐに操作を理解し、対応できるようにするわけだ。
細かいところを見ていくとインタフェースの挙動がわかりやすくなっているなど、あちこちに手が入っているのだが、画面のレイアウトなど基本的なところは見た目ほど大きく変わっているわけではないので、安心してほしい。
マテリアルデザインの短所としては(フラットデザインにも通じるのだが)、ユーザーの気付きをインターフェースの動きに頼るところがあり、静止状態で見ても直感的に何を押せばどうなるのか、がわかりにく部分だ。
慣れてしまえば使いやすいが、慣れるまでに少し時間がかかるようになったといってもいいだろう。
●マルチユーザーサポートなどの新機能
○機能面での改善も多数
インタフェースの変更に目を奪われがちだが、OS全体の機能や使い勝手も大きく改善されている。たとえばスクリーンロックの画面には通知が表示されるようになり、電話やカメラアプリを直接起動するボタンが追加された(これはUIによってはすでに実現している機種もある)。通知センターも改良され、たとえば通話関連の通知も作業を中断せずに確認できるようになっている。
このほか、 「マルチタスク」が「マルチアクティビティ」に変わり、タスク切替えの際にChromeのタブも同時に選べるようになっている。システム全体にかかわる大きな変更点のひとつに、マルチユーザーサポートもある。これはAndroid端末で複数のユーザーを設定し、ユーザーを切り替えることで、環境を丸ごと変えられるというもの。ユーザーが変わればブックマークや音楽のライブラリ、共有していないフォルダーのファイルなどはアクセスできないため、丸々新しい環境として利用できる。
家族で1台のタブレットを共有するときに便利な機能だ。
また、いちいちユーザーを作らなくても、ゲストアクセスも可能なので、スマートフォンを他人に一時的に使わせるときにもプライバシーを守れるようになる。
Android 5.0では4.xと比べ、バッテリー持続時間が大幅に改善すると言われている。実際には機種ごとの装備や特性、使用状況により変動するが、最大で90分もの延長だと言われており、バッテリー消費の多いユーザーにとっては朗報だ。
このほかにも、Android 4.4でロックされていた、アプリからSDカードへのアクセス制限が撤廃され、写真やデータの書き込みが可能になるなど、改善点は多岐にわたる。とはいえ、基本的にその方向性は使い勝手を改善し、ユーザーの利便性を高めるものだと言っていいだろう。
●バージョンアップはすぐにやるべき?
○互換性は? バージョンアップはするべきか?
アプリを実行するエンジン(ランタイム)は、Android 4.xまでの「Dalvik」から、Android 5.0では「ART」(Android RunTime)に変わった。ARTではアプリの起動がDalvikyよりも早くなるが、代わりにメモリを多めに消費する。
この変更の影響もあり、一部のアプリでAndroid 5.0では動作しないなどの互換性問題が出ている。また、メモリ搭載量が少なめな機種では、アプリの起動や切替えに以前より時間がかかるかもしれない。
ただし、これらはOSのアップデート前に調べればわかる話。Android 5.0は登場から半年以上経っており、互換性やトラブルに関する情報もかなり集まっている。これまでは搭載製品が少ないからとアプリ側がサポートしていなくても、今後Android 5.0が主流になれば、少なくともメジャーどころはサポートせざるを得なくなる。デベロッパー頼りではあるが、あまり心配しなくてもいいのではないだろうか。
Android 5.0になることで、これまで慣れ親しんだ操作系が変わったり、いつも使っているアプリが動かなくなることを恐れている人もいるかもしれないが、OS自体の機能/性能向上やセキュリティの向上といった機能はそれ以上に恩恵が大きいといっていい。全体的には使いやすく、わかりやすさが増しており、すぐに慣れるはずだ。
また、昨年以降登場している64bit CPUを搭載した端末であれば、64bit対応のアプリと組み合わせることでさらなる性能アップも期待できる(そこまで劇的な効果があるわけではないが)。新しいものには新しいなりのメリットも多いので、そこまで恐れなくてもいいだろう。
いずれにしても今後機種変更をする場合、夏モデルの多くは5.0が標準になっており、この先はさらに搭載機種が増えてくる。マテリアルデザインはAndroid M Releaseにも引き継がれることになりそうなので、今のうちに慣れておいたほうがいいだろう。
問題はアップグレード可能な機種の場合だが、アップグレード開始直後は何らかのトラブルが起きる可能性もあるので、1週間くらいは慎重に様子を見ながら情報を集めておけばいいだろう。
(記事提供: AndroWire編集部)