ギリシャ問題について
先週の市場では、ギリシャ支援を巡る同国とEUなどとの協議がようやくまとまるとの期待が高まっていただけに、今回の展開を受けて、本日の市場ではユーロが売られ、東京時間12時時点で対米ドルで 1ユーロ=1.10米ドル前後、対円では1ユーロ=135.50円前後に下落しています。また、投資家のリスク回避の動きなどを背景に、アジアの株式相場が総じて軟調となっています。
6月30日は、ギリシャに対する現行の金融支援プログラムの期限であるだけでなく、同国がIMFに対して15億ユーロ超の債務を返済する期限でもあります。このため、同日までにギリシャ政府が方針を転換し、国民投票を取り止めて財政再建策の受け入れに応じて、債務不履行(デフォルト)を回避できるかどうかが注目されています。
また、ギリシャがユーロ圏に残るかどうかにも、市場の注目が集まっています。世論調査の結果からは、国民の過半がユーロ圏残留を支持しているとみられ、7月5日の国民投票が事実上、ユーロ圏に残るかどうかの意思表示の場になるとの解釈が国民の間で拡がれば、財政再建策が承認される可能性が高まると考えられます。
ただし、承認される場合でも、6月末時点で金融支援が一旦、終了することなどから、支援の再開に向けてEUなどと新たに交渉を行なう必要があります。また、ギリシャの現政権は、財政再建策の受け入れを拒み続けてきただけでなく、国民投票の実施に際しても、有権者に反対票を投じるよう訴え続けているだけに、国民投票で承認された場合、政権交代につながる可能性も考えられます。政権が維持される場合でも、EU側からの信頼が著しく損なわれているとみられ、協議開始の障害となることなども考えられます。
いずれにしても、ギリシャ政府が急転直下、姿勢を転換し、財政再建策の受け入れに応じない限り、ギリシャを巡る不透明感が解消するまでにはしばらく時間を要するとみられ、市場に不安心理が漂うとみられます。ただし、ギリシャの政府債務の約4分の3は、同国を支援している、EU、IMF、ECBおよび欧州各国中央銀行が保有しているほか、民間による保有分の多くはギリシャの銀行などによるものとみられます。また、欧州では、危機に陥った国を支援する制度が整えられ、一国で危機が起きても周辺国に波及するのを防ぐ「防火壁」として、欧州安定メカニズム(ESM)が設けられていることもあり、ギリシャ一国の問題が他の国へ波及する可能性は、かつてに比べて大きく低下していると考えられます。
(2015年6月29日 日興アセットマネジメント作成)
●日興アセットマネジメントが提供する、国内外での大きなイベント発生時の臨時レポート「フォローアップ・メモ」からの転載です。→「フォローアップ・メモ」
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