なでしこジャパンが逆境のなかで輝かせた、ひたむきな「折れない心」の源泉
前回大会の再現となった女子ワールドカップ決勝。アメリカの執念の前に一敗地にまみれ、銀メダルに泣いたなでしこジャパンだが、序盤に大量4失点を喫しても下を向くことなく宿敵にくらいついた。日本中のファンの胸を打った「折れない心」の源泉を探る。
○アメリカが開始早々から奇襲を仕掛けてきた理由
スタジアムに「U.S.A.コール」が鳴り響くなかで、新たな世界女王が歓喜の雄叫びをあげる。同じ舞台から日本中へ笑顔と勇気を届けてから4年。なでしこジャパンは宿敵アメリカの姿を脳裏に焼きつけながら、勝者を称える拍手を送ることを忘れなかった。
PK戦の末に苦杯をなめた前回大会の借りを返すべく、アメリカは奇襲を仕掛けてきた。前半わずか3分。
右CKをグラウンダーで蹴ってくる。虚を突かれ、反応が遅れたなでしこをあざ笑うように、フリーで走り込んできたMFロイドの一撃がネットを揺らした。
今大会で初めてリードを許す展開に、浮き足立つなでしこ。「らしさを取り戻される前に叩き潰せ」とばかりに、前半16分までに4ゴールを奪ったアメリカの鬼気迫る波状攻撃は、それだけなでしこの粘り強さを恐れていた証でもあった。
実際、なでしこの心は折れなかった。