ヤフー、IoT時代に向けたmyThingsプラットフォームを無料で提供
ヤフーは27日、IoT製品の実用化をサポートするプラットフォームサービス「myThingsプラットフォーム」の提供開始を発表した。myThingsを利用すれば、デジタル家電、ウェアラブル端末、Pepper等と、手元のスマートフォンが簡単に連携できるようになる。都内では記者説明会が開催された。
家電製品、自動車など身の回りの様々なものをインターネットと繋げ、新しい価値を創出するIoT(Internet of Things)分野に業界の注目が集まっている。ヤフーではそんな来るべき時代を見据え、IoT製品の実用化をサポートするmyThingsプラットフォームの提供を開始する。
○myThingsでできること
myThingsは、様々なスマート家電と連携できるのが特長。任意のスマートフォンアプリと連携できる点も大きなメリットだ。具体的には、デジタル家電の利用状況をYahoo!メールやGmailなどへ通知したり、Twitter、FacebookなどのSNSへ通知したり、Evernoteなどへ記録したり、といったことが簡単に行える。
まずは、記者説明会の会場に展示されていた実用例を紹介していこう。
例えばmyThingsを介せば、FacebookなどのSNSに投稿した写真を、自動的にデジタルフォトフレームにも送信できる。妻がSNSに投稿した写真を、単身赴任中の夫がリアルタイムで確認する、そんな利用シーンが考えられる。
スマートフォンで家の鍵を開閉できるスマートロックロボット「akerun」と、myThingsを連携。スマートフォンの位置情報をもとに自動で施錠するように設定すれば、鍵をかけ忘れても安心できる。また、解錠した情報をmyThingsに送ることで、連携した「Pepper」にお出迎えの挨拶をしゃべらせることなども可能だ。
腕に巻いたウェアラブル端末「Jawbone UP」が、利用者の起床を確認。すると、myThingsからロボット掃除機「COCOROBO」に指示が飛び、その日の天気などの生活情報をしゃべらせることができる。
同様に、自宅の見守りロボット「BOCCO」に音声メッセージをしゃべらせることも可能。
加速度センサーを搭載した「MESH」を、ごみ箱の蓋の裏に装着。夫が蓋を開けた瞬間に、妻のSNSへ「ゴミ出しやったよ~」といったメッセージを飛ばすことができる。同じ要領で、モップに装着したMESHが拭き掃除を何回行ったか、カウントして利用者に通知。あるいは、子どもの歯ブラシにつけておいたMESHが、子どもが歯を磨いた回数を記録するといった使い方も可能だ。
このほか、デジタル体重計と冷蔵庫とmyThingsの連携例では、体重の増減情報をもとに冷蔵庫が最適なレシピをアドバイスする、といった使い方が紹介されていた。
●街全体がIoT化
○街そのものがIoT化する
記者説明会に登壇したヤフー 執行役員CMOの村上臣氏は「近い将来、周囲にあるモノがインターネットに繋がり、相互に連携する時代になる。モノそれぞれが独自に能動的に考えて繋がりはじめる。
やがて、街そのものがIoT化する」と見立てる。2019年には、IoTデバイスは9億5,600万台になると予想。ヤフーではモノ、WEB、企業、人や街が垣根を越えてインターネットで結ばれる日を見据えて、サービス基盤を整えていく。
ヤフーが目指すのは、利用者がより快適に、安全に暮らせるようになる社会。村上氏は「私は極度の面倒くさがりなので、なるべく楽をしたい。例えばコーヒーが飲みたくなったときに、自動的に淹れてくれるコーヒーメーカーが欲しい。人類の歴史は、この面倒くさいを解決することで進歩してきた」と持論を展開した。また、ヤフーが得意とする防災、災害予知といった分野でもIoTが活躍すると言及。
「火事が起こったら、勝手に鍵を開ける。同時に、LEDで避難経路を通知する」といった未来の防災システムを紹介、こうした場合にもmyThingsプラットフォームが活躍すると期待感を示した。
myThingsプラットフォームは、すべての企業・開発者に無料で提供される。その狙いについて、村上氏は「まずは、IoTが日常生活をどのように楽しく便利にするものなのか、その世界観をお客様にご理解いただきたいので」と説明した。ヤフーでは、2,950万のYahoo! JAPANアクティブユーザー、3,000万IDのYahoo!ウォレット会員、月間約620億のPVという顧客基盤を活かし、myThingsプラットフォームの浸透をはかっていきたい考えだ。
続いて、ヤフー スマートデバイス推進本部の椎野孝弘氏が登壇。iOS/ Android向けに提供が開始されたアプリ「myThings」を紹介した。myThingsプラットフォームで開発されたアプリで、インターネットサービスやプロダクトを自由に組み合わせることができるのが特長。
例えば「一定数のイイね!を取得したらメールで通知する」「YouTubeに好みの動画が配信されたらメールで通知する」「Instagramから#海タグの写真を集めて、Dropboxに海まみれのフォルダを作る」などの機能を実現できる。現在、利用できるサービス・デバイスは30チャンネルで、自作できる組み合わせは60,000通り以上だという。
myThingsアプリは、IoT製品とmyThingsプラットフォームを結ぶためにも利用できる。今後、同アプリで利用できるIoT製品やインターネット家電は、順次、追加されていく予定だ。椎野氏は「ニッポンのIoTを開拓していく。インターネットを通じて、利用者のみなさんに更なる力を届けたい」と意気込んだ。