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大学デビューの落とし穴 (9) 8月:自由すぎる夏休みの理想的な過ごし方とは?

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大学デビューの落とし穴 (9) 8月:自由すぎる夏休みの理想的な過ごし方とは?
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大学1年生のみなさん! 「大学デビューのホントのところ」、知りたくないですか? 本連載は、かつて大学デビューに半分成功・半分失敗したトミヤマユキコ(ライター・大学講師)と清田隆之(恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表)が、過去の失敗を踏まえ、時に己の黒歴史を披露しながら、辛く苦しい学生生活を送らないためのちょっとした知恵をお授けする。そんな連載です。
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○過去最高に自由な夏休み

8月。待ちに待った夏休みです。大学1年の夏休みは、人生のうちでもかなり自由度の高い夏休み。受験勉強から解放され、仮に宿題があったとしても、過去最高に少ない(小学生の方がよっぽど大変)。就活や卒論に時間を取られることも、まだない。どうしたらいいかわからなくなるほどに自由!むしろ自由すぎる!

「この自由を存分に謳歌してください、以上!」と書いて終わりにしてもいいのですが、今から挙げるポイントを押さえておくと、よりよい夏休みになりますよ。


まず、文系理系関係なく「ヒマな時はむちゃくちゃ難しい本を読む」ことを習慣化してください。本は、難しければ難しいほどイイです。全く意味がわからなくても、数行読んで寝ちゃってもいいので、とにかく拾い読みをしつつ通読してみてください。

「一体なんの意味があるのか?」とお思いでしょうが、これは大変意味のあることなんです。というのも、ひとは大人になるにつれ「仕事などで必要な情報をコンパクトにまとめた本を必要に迫られ急いで読む」ことに時間を取られるようになっていきます。それは「情報収集」ではあっても「読書」ではない。

○社会人になると本を読むのがしんどい

つまり、情報を受け取るだけで終わってしまって、自分なりに本の内容を解釈したり、そこから新しいアイデアを生み出したりといったことがどんどんできなくなっていく。「そんなこと言ってないで、大人になってからも「読書」を頑張ればいいじゃないか」と思うでしょう? でもね、なんかもうダルさに負けるんですよ。
仕事で必要な本を読んだら、あとの時間は寝たりとかゲームしたりとかしたいの。わたしの周りの真面目なサラリーマンたちもそう言ってますので間違いありません。

難解な哲学書や、一生かかっても読み終わらなさそうな本(『失われた時を求めて』とか)を手もとにおいて、たっぷり時間を使い、あーでもないこーでもないと考えることは、ヒマな若者だからこそ行使できる特権であり、最高の「思考の筋トレ」です。興味のある本、面白い本を読むのも悪くないのですが、超軽装で富士山に登るみたいな「無謀な読書」をした方が、思考力は確実にアップします。「わからない」ことに立ち向かうことで、思考力が鍛えられてゆくんですね。

さらに付け加えておくと、老眼になると活字を読むのがしんどいので、読書は若いうちにするに限る。このことは、わたしも上の世代からさんざん言われており「まさか~」とか言っていたのですが、最近「みんなが言っていたのはこれか……!」と戦慄しております。

となると「いいコンディションで本を読めるの、あと何年よ?」という話になりますよね。
わたしが今36歳で、そこそこキツくなってきていますから、ハッキリ言って明日は我が身ですよ……。「無謀な読書」はヒマな若者の特権、という意味がわかっていただけましたでしょうか?

それと同じような話なのですが、歳を取ると過酷な旅行ができなくなってきますので、インドとか行きたいひとは早めに行っておいて! 青春18きっぷで鈍行列車の旅をするのも忘れずに! 社会人になってお金に余裕ができてからあちこち行こう、とか考えないで、行けるときにできるだけ遠くまで出かけて行く。これも、大学生のうちにやっておきたいことのひとつです。

○おすすめは非マニュアル系バイト

「読書とか旅行してるヒマなんかない! バイトしなきゃ!」という方にも、是非オススメしたいことがあります。それは「マニュアルが完備されてる系のバイトを避ける」こと。マニュアル系バイトは2年生以降のお楽しみにとっておいて、とにかく自分で考え、判断しなければいけないことが多い非マニュアル系バイトを選んでみてください。めちゃくちゃ鍛えられますから。

できれば、将来就きたい仕事に関係がありそうなバイトを選ぶとさらにいいと思います。
本格的な就活の前にバイトとして業界をのぞき見することは勉強になりますし、ここで肌が合わなくても今からなら余裕で進路変更できてしまいます。もし肌が合えば、いつか「1年の時から業界に興味をもってバイトをはじめた自分」として就活戦線に出て行けますし、もしかしたら就活を経ずにバイトから正社員になる道もあるかも知れません。ちなみにわたしは「編集っぽいことやりたい!」という漠然とした願い(実際に何をやるのかは知らないけど憧れてた)を口にし続けていたら、知り合いが編集プロダクションのバイトを紹介してくれて、そのバイトをけっこう長い間やった後、フリーライターになって、今に至ります。フリーになる上では、やはり非マニュアル系のバイトで柔軟な働き方をしていたことが有利に働いてるなと感じます(クライアントには色々なひとがいますからね)。

○「社会人目線」に気をつけろ!

ただし! 非マニュアル系バイトに慣れてくると「もう社会人みたいなもんだ」という気持ちになってきて、うっかりすると周囲の学生を見下す嫌なヤツになってしまうのでご注意を。

実際、大学で教えていると「ひと足先に社会を知ったオレがお前らにアレコレ教えてやるぜ~!」的な学生が一定数現れますが、その多くは空気の読めないひとであり、つまり学内で友だちができにくいひとであり、そして社会の側からは「あくまで学生」と思われていることに気付いていない、イタいひとでもあります……仕事にやりがいを感じるのは結構ですが、調子に乗るとロクなことになりませんから気をつけましょう。

このようなポイントを押さえつつ、でもまあ、クーラーの効いた部屋でアイスを食べたり、朝方寝て昼過ぎに起きたり、恋愛にハマって我を忘れたりもしてください。「勉強という足枷」がないと、自分がどこまでダメになってしまうのか知っておくのも悪くありません。
なんといっても、大学1年の夏休みは、この先2度と訪れないかもしれない「自由すぎる夏休み」なのですから。

トミヤマユキコ
ライター・大学講師。「週刊朝日」「文學界」でブックレビュー、「ESSE」「タバブックス」でコミックレビューの連載を持つライター。早稲田大学などでサブカルチャー関連講義を担当する研究者としての顔も持っている。「パンケーキは肉だ」を合い言葉に、年間200食を食べ歩き『パンケーキ・ノート』(リトルモア)にまとめた。
Twitter @tomicatomica

清田隆之/桃山商事
1980年、東京生まれ。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆など、何でも手がける"恋バナ収集ユニット"「桃山商事」代表。男女のすれ違いを考えるPodcast番組『二軍ラジオ』を更新中。
雑誌『精神看護』やウェブメディア「日経ウーマンオンライン」「messy」などでコラムを連載。著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』
(原書房)がある。
Twitter @momoyama_radio

(イラスト:谷口菜津子)

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