キヤノン、天体望遠鏡を高性能化するGeイマージョン回折素子を開発
Geイマージョン回折素子は、赤外領域におけるGe(ゲルマニウム)の透過波長である約3~11μmをカバーする、分光用の光学素子。イマージョン回折素子は一般的な反射型の回折素子と比較して、屈折率に比例して大きな分散を得ることができる。ゲルマニウムの屈折率は約4で、同サイズであれば一般的な回析格子の約4倍の分光性能を得ることが可能となる。
天文分野における赤外波長(1μm~30μm)を透過するイマージョン回折素子は半導体材料を用いるためもろく、精密な加工を施すことが難しいとされていた。同社は、独自の精密加工技術をゲルマニウム単結晶に用いることにより、100μm程度の格子構造を数nmの正確な間隔で階段上の溝を施し、実用的なGeイマージョン回折素子の開発に成功した。