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LINEスタンプに挫折したクリエイター必見の「制作のコツ」公開! - 副業としての「LINE Creators Market」(1)

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LINEスタンプに挫折したクリエイター必見の「制作のコツ」公開! - 副業としての「LINE Creators Market」(1)
●"副業"で150種類・6000点以上のスタンプをリリース
コミュニケーションのための身近なツールとして、今や切っても切り離せない「LINE」。中でも、会話の中で気軽に使える表現手段として、LINEスタンプは非常に身近なものとなった。

以前は企業配信のみだったLINEスタンプだが、個人で自作スタンプを制作・販売できるプラットフォーム「LINE Creators Market」が昨年から開始されたことにより、クリエイターの発表の場としても賑わっている。また、開設当初、そこから生まれたヒット作に対する高額な分配金が、世のクリエイターたちをLINEスタンプづくりへと駆り立てたのも間違いない。

そんな経緯もあり、現在登録されているLINEスタンプの数は15万種類以上! 同プラットフォームで作られたスタンプは「LINEクリエイターズスタンプ」と呼ばれ、プロもアマも同じ土俵に立つ、一攫千金のスタンプ戦国時代に突入した……のがちょうど昨年秋ごろ。筆者自身、一念発起してLINEスタンプを作ろうとしたものの、絵柄を必要な数だけ考えるのは想像以上に大変で挫折した経験がある。

そんな中、常に人気上位を維持し、本業と並行でLINEスタンプを制作し続け、確かな収益源としているクリエイターが存在している。「LINEスタンプ制作にIllustratorを使っている」という共通点を持つ人気スタンプクリエイター・Miho Kurosu氏とJellyFishDesignOffice氏のお二人に、キャラクターの生み出し方や制作に使用したツール、苦労した点など、LINEスタンプ制作のコツやヒットスタンプ作成の秘訣を伺った。


○150セット・6000種以上のLINEスタンプを続々リリース

「Illustratorを使っている」という共通点はあるものの、ふたりの制作スタイルは異なる。今回は、驚くべき数のLINEスタンプを生み出し続けている、JellyFishDesignOffice氏にお話を伺っていく。

JellyFishDesignOffice氏(以下、JellyFish氏)は、これまで150種類以上(スタンプ数にして6000点!)のスタンプを発売している驚くべきクリエイターだ。ご自身のサバサバとしたキャラクターは実際スタンプにも表れていて、氏のつくるスタンプは「毒舌あざらし」「ツンデレあざらし」 「ゲスくま」など、名前を聞いただけで一癖も二癖もある魅力的なキャラクターがそろっている。――普段のお仕事は何をされているんですか?

受託でモバイルコンテツのアバター画像制作やカードのデザイン、W媒体のデザインなどをしています。

――本業があるなかで、スタンプ制作を始めたきっかけは?

先ほど申し上げた通り、仕事が下請けということもあり、仕事量の割に収入が少なかったんです。正直なところ「LINE Creators Market」なら効率良く稼げるのではないかと思ったのがきっかけです(笑)

現在、全部で150セットほどのクリエイターズスタンプを販売していますが、今は新キャラはもちろん、リリースして人気のあったシリーズを追加でリリースしています。いかに短時間で効率良く描けるかも大切だと思っているので、半日~1日に1セットのペースで作っています。


――スタンプが1セット40種、それを半日~1日で完成させるというのは本当にハイペースですね。作成のプロセスなどを教えてください。

制作環境はWindows Vista、使うソフトはIllustratorのみです。わたしはまず絵から作り始めるんですが、友達との長電話中になんとなく落書きしちゃう、みたいなイメージで
Illustratorのキャンバスに直接ザクザクと描いていきます。その中から気に入ったものに文字を当てはめていくという感じです。

「この絵にどんな文字入れたらいいと思う?」と友達やTwitter上で大喜利形式で聞いてそこから面白いものを採用したりする作業が一番楽しいですね。わたしの場合、リジェクト(※)されることも多いです。ギリギリのものが多いので(笑)、明らかにNGの文字を思い切って伏字にして入れたら通った時は驚きました。


審査する人によって、通ったり通らなかったりするケースもあるので、その駆け引きも面白いです。かわいいキャラ+毒舌は良くても、気持ち悪いキャラ+毒舌はダメだったりするんです。キモキャラにソフトクリーム持たせただけでリジェクトですよ。くまにティッシュを持たせただけでもダメでした!

※リジェクト:LINE側が実施している審査を通過することができず、差し戻しされること。40種類1セットで販売を行うが、審査では各絵柄ごとに可否を決めている。

●スタンプづくりのコツは「考えすぎない」こと
○40種類ものイラストを考え、完成させるには?

ギリギリを突き詰めようとすると、たのしい中にもさまざまな葛藤もあるようだ。8月初旬にJellyFish氏が講師を務めたアドビの初心者向けスタンプセミナーが実施されたが、その場では「40種類もつくるのに心が折れないか」という質問もされたことがあるという。

JellyFish氏は、「最初にあまり考えすぎないことですね」とひとこと。
続けて、「『いいよ』『OK』『了解』『YES』『うなずく』などはたしかに"同じ用途"ではあるんですが、どれも使われる割合が高いので、定番のものは必ず入れるようにしています。40種類ぜんぶ違う用途にしなくちゃ!みたいなことはないと思うんです。微妙に違うニュアンスを日本人は使い分けるので、それはそれで便利に使ってもらえているんだと思います」と語った。

○制作にIllustratorをつかうメリットとは

LINEクリエイターズスタンプには絵柄に対する規約こそあれ、制作ツールには一切縛りがない。以前クリエイティブchで連載した「ヒットメーカーに聞く"LINEスタンプのつくりかた"」でもクリエイターたちに使用ツールを聞いていったが、Illustratorをメインで使うという人はどちらかというと少なかった。

では、なぜIllustratorを使うのだろうか? JellyFish氏は、その理由として「効率」を挙げた。「制作時間と売り上げは比例しないというのがスタンプの実情」と指摘し、「慣れてしまえば、1つひとつ40個絵を描くよりも作業効率は高い」と語る。

JellyFish氏は、作画には鉛筆ツールとペンツールを主に使用。
同じキャラクターはパーツをコピー&ペーストして使っている、そのほか、反転して右手を左手にしたりと、工数の短縮もメリットという。LINEスタンプを審査に出す上で、「背景の透過」はプロアマ問わず見落としやすいポイントだが、そうした透過ミスやゴミの消し忘れなど、ケアレスミスを防げるという側面も評価していた。

また、LINEスタンプはフォーマットが定められており、すべての絵柄を規定の枠内に収める必要がある。Illustratorで描画した線はベクターデータのため、リサイズしたても画質が劣化しないのもポイントが高いという。ただ、これまではイラストをひとつずつ規定のサイズに調整する必要があり、その作業にとても手間がかかったという。最近、アドビがIllustrator用のLINEスタンプ作成フォーマットの無料配布を開始したことで、その工程が劇的に効率化されそうだと喜びの声をあげた。しかし、「嬉しいですが、もっと早く作ってほしかった!」と、これまでのコメント以上に力のこもった言葉も口をついて出てきていた。

さらに、Illustratorを使う大きなメリットとして、「グッズ等の色々な媒体へ容易に転用できる」ことが挙げられた。
というのも、スタンプの規定サイズはグッズなどの印刷物の規定と比べると非常に低解像度のため、元データの解像度を超えた展開はしづらい。だが、Illustratorで描画したデータは拡大・縮小しても画質が劣化しないベクターデータのため、印刷のサイズを問わず転用が容易にできる。実際、JellyFish氏はGMOペパボのマーケットプレイス「SUZURI」などで、自身の人気スタンプキャラクターのさまざまなグッズ展開を行っている。

これから制作してみたいという人にアドバイスをと伺うと「リジェクトを恐れないこと!」そして「あまり1つひとつに時間をかけずにサクサクまずは作ってみること」と即答。150作品をリリースし、試行錯誤を繰り返してきた中で見えた答えが、そこにあるのかもしれない。

続いて、人気スタンプクリエイター・Miho Kurosu氏に、イラストのキャリアがない中でスタンプを作りはじめた経緯などを聞いていく。

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