東京都・京橋で、未来の食を考える展覧会 - 入場無料
同展は、食をテーマに創作活動を続けるアーティスト、謝琳(シェリン)による写真作品と間島領一による立体作品展示、“味わい教育”を専門分野とする食の研究家、農学博士・品川明によるトークイベントを通して、未来の「食」について三者三様のストーリーを語るもの。展示はアートディレクター・清水敏男の監修によるもので、2014年9月より同ギャラリーで開催されている企画「クリエイションの未来展」の展示のひとつ。日本の建築・美術界を牽引するクリエイターを監修者に迎え、独自のテーマで現在進行形の考えを具現化しており、今回はその第5回目となる。
謝琳氏は、お菓子で部屋の一部を実寸大に構築した「Mellow House」や私たちがいつも食べ慣れている食品を別の色彩に替えて提案する「晩餐会」など、「食」の視覚的、文化的イメージを覆すことを作品の手法としている。
展示作品「Dune」は、発砲スチロールを躯体に砂糖と卵白でつくられたインスタレーションを撮影したもので、正と負の両義的なイメージを持つ砂糖をテーマにした作品となっており、砂糖でつくられた都市や自然の光景に人間の恣意が重ねられている。間島氏は、TVを観ながらラーメンを食べる個食を風刺した「ヌードルボーイ/ガール」、ブロイラーやクローン、遺伝子組替をテーマにした「食欲連鎖」展など、カラフルでポップな明るさの中に批判とユニークさがあふれた作品を制作してきた。同展では、人間の欲望が際限なく拡張していくことをテーマとした作品が展示される。品川氏は、農学博士として「味わい教育(フードコンシャスネス論)」を専門に、環境教育、水圏生物化学・生理生態学などを研究範囲としており、しじみやアサリの研究者としても生息環境の重要性を説いている。同展では、会場でメッセージやコメントをパネル展示するほか、トークイベントが複数回開催される予定となっている。トークイベントに関しては、決まり次第ホームページにて案内されるということだ。
同展の開催に際し、清水氏は次のように語った。「危険に満ちた現代世界で最も危険なのは『食』ではないでしょうか。
軍事紛争、地球温暖化、環境汚染などは人間の外部から作用する危険ですが、『食』の危険は人間の内部からやってきます。しかし人類は生き延びるために、未来の食を考えねばなりません。」
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