REGZAやnasneと連携する8型Windowsタブレット - 東芝「dynabook Tab VT484」を試す (1) 東芝「dynabook Tab VT484」レビュー - REGZAやnasneと連携する8型Windowsタブレット
店頭価格で40,000円前後の製品が多い8型Windowsタブレットの中で、VT484/22Kは53,000円前後と少々高めだが、アプリの充実が大きな強みとなっている。ブルーレイレコーダーやnasneと連携したり、PCの操作を録画したり、搭載カメラで撮影した動画を編集できたりと、楽しさをたっぷりと味わえるのが魅力だ。
VT484は、CPUにAtom Z3740 (4コア4スレッド、1.33GHz)を採用している。インテル最新のタブレット向けSoC (System on a Chip)で、「Bay Trail-T」の開発コード名で呼ばれていたものだ。2GBのメモリ、1,280×800ドットの液晶解像度は、ほかの8型Windowsタブレットと横並び。
重量は約445gと若干重い部類に入る。
■[製品名] dynabook Tab VT484/22K主な仕様[CPU] Intel Atom Z3740 (1.33GHz)[メモリ] LPDDR3-1066 2GB[グラフィックス] Intel HD Graphics (CPU内蔵)[ディスプレイ] 8型ワイド液晶 (800×1,280ドット)[ストレージ] 32GB eMMC[サイズ] W135.9×D213.0×H10.7mm[重量] 約445g[バッテリ駆動時間] 約11時間[OS] Windows 8.1 32bit[店頭価格] 53,000円前後
○屋外でも見やすいHFFSパネルを採用
ディスプレイにIPSパネルを採用したタブレットが多い中、VT484はHFFSパネルを採用している。HFFSはHigh aperture ratio Fringe Field Switchingの略で、太陽光でも視認性が高いのが特徴だ。屋外でも利用することを考えているなら、この点は大きな強みといえる。タッチパネルは5点マルチタッチで画面の隅まで感度は良好だった。
ワイヤレス通信機能は、IEEE802.11a/b/g/nおよびBluetooth 4.0に対応。センサー類は、GPS、ジャイロ、加速度、電子コンパスに加えて、周りの明るさに合わせてディスプレイの輝度を変化させる照度センサーも備えている。
●DTCP-IP対応アプリで「REGZA」や「nasne」と連携
○DTCP-IP対応アプリで「REGZA」や「nasne」と連携
VT484には、ほかの8型Windowsタブレットにはない便利な機能がある。
それは標準搭載アプリ「RZスイート express」によって、同社の「REGZA」シリーズやソニーの「nasne」などDTCP-IP配信対応機器と連携できることだ(※)。
「RZプレイヤー express」は次の3つの機能で構成されている。DTCP-IP配信対応機器で録画した番組をワイヤレス再生できる「RZプレイヤー express」、放送中の番組を見られる「RZライブ express」、そして録画した番組をムーブして持ち出せる「RZポーター express」だ。
実際にRZプレイヤー expressを使って、nasneとの連携を試したところ、録画番組の一覧表示や再生、VT484へのダビング/ムーブとも問題なく行えた。テスト環境は、ルーターに対してnasneは有線LAN接続、VT484はIEEE802.11nの無線LAN接続。レスポンスもよく、寝室などnasneから離れた場所で録画番組を見るには十分な完成度といえる。
放送中の番組を見る際、通常はRZライブ expressを使うのだが、筆者のnasneでは放送中の番組も録画番組と同じ扱いとなるため、RZプレイヤー expressを利用した。デスクトップ版では問題なくリアルタイムに視聴できたが、ストアアプリ版ではライブチューナーにチャンネル一覧が表示されず、視聴できなかった。
nasneの録画番組をダビングするには、RZプレイヤー expressで番組を選択してダウンロードを選択する。ダウンロードの進行状況は、「ダウンロード履歴」にて確認ができる。そしてダウンロード後にRZポーター expressで再生するという流れだ。なお、RZプレイヤー expressに対応する同社のREGZAシリーズでは、テレビやレコーダー側からVT484を指定してのダビングが可能であるという。
※対応機種については同社Webページで確認を。
●「艦これ」も快適に動作
○「艦これ」も快適に動作
8型Windowsタブレットが人気を集めている理由のひとつに、「艦隊これくしょん ~艦これ~」が動作することがある。艦これは、Flashで作成されたブラウザゲームであるため、iOSやAndroidのスマホやタブレットで快適に動作しない (またはまったく動作しない)という事情がある。艦これを「手軽に持ち運べて快適にプレイできる端末」が8型Windowsタブレットというワケだ。
VT484で実際にプレイしたが、戦闘中の爆発などアニメーションの動きが激しいシーンでは多少コマ落ちするような感じもするが、ほとんど気にならないレベル。タッチ操作だと押しにくい箇所もあるが、動作自体は快適だ。それだけに、どこでも通信できるようにSIMフリー版のVT484がほしいところだ。
続いて、ベンチマークで性能をチェックしていこう。使用したのは、PC全体の性能を測定する「PCMark7」、3Dベンチマークソフト「3DMark」、人気のMMORPG「ファイナルファンタジーXIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」、ストレージのデータ転送速度を測定する「CrystalDiskMark v3.0.2f」の4種類だ。
Atom Z3740は4コア4スレッドといえどもタブレット向けのCPU。省電力性を重視しており、処理能力の面では大きな期待はできない。とはいえ、前世代のAtom(開発コード名:Clover Trail)に比べると性能は大幅に向上している。
2007年~2008年のネットブック一大ブームを知っている人にとっては「Atom=遅い」というイメージがあるかもしれないが、Atom Z3740はその印象を一気に変えるほど快適になっている。懐疑的な人ほど、店頭などで一度触ってほしい。
ストレージのeMMCは、SSDほどではないにしても、CrystalDiskMarkの結果を見てわかるとおり、十分に高速だ。Webブラウザやオフィスを使う限り、遅いと感じることはほとんどない。3D性能に関しては、Ivy Bridge世代のIntel HD Graphicsが統合されたものの、3Dゲームを遊ぶには少々厳しい。
バッテリ駆動時間は「bbench」を使ってテストした。電源プランはデフォルトのまま、bbenchのキーストロークとネット巡回機能を使いつつ検証した結果は6時間31分。公称の約11時間(JEITA測定法)までは届いていないが、1日持ち歩くには十分だ。
寝るときだけ充電するというスタイルで使えるだろう。
○スマートなデザインとAV機器との連携で満足度の高い一台
8型Windowsタブレットは軒並み品薄という人気ぶりだが、VT484は標準でREGZAやnasneと連携できるのが大きな強み。動画の撮影や編集用のソフトもプリインストールされており、本体のカメラを使って撮影して、すぐに編集といった活用も楽しい。
ストレージが32GBでMicrosoft Office Personal 2013が付属するVT484/22Kをはじめ、ストレージが32GBでMicrosoft Office Home and Business 2013が付属するVT484/23K、ストレージが64GBでMicrosoft Office Home and Business 2013が付属するVT484/26Kとバリエーションも用意されている。仕事にも遊びにも便利な8型Windowsタブレットを求めているなら、第一候補に挙げられる製品だ。