アップルの噂話はどこが信頼できるか
8月も下旬に入り、スマートフォン業界的には、そろそろ新型iPhoneの発表会が間近に迫ってきた。1モデル(最近は2モデルだが)で年間に1億台以上を売り上げ、世界シェアの10数%を占める超人気製品だけに、その噂に関する情報にも注目が絶えない。
ニュースサイトを始め、事前の予想や噂の記事も世界中で配信されるわけだが、それらの中でも特に信頼性が高いとされるニュースソースがいくつかある。今回はこうした精度の高い噂サイトや情報ソースについて紹介しよう。
○アナリスト編
アップルは(最近また少し変わってきたが)すべて自社工場で製造するメーカーではなく、主に設計やデザインを担当し、製造は製造専門の業者(ODM)に任せている。また資材調達についても、世界中から大量に資材を買い込む。もちろん協力業者には箝口令を布いているはずだが、人の口には戸が立てられないもの。特にここ数年は、中国系の製造業者内からのリークと思しきパーツ写真などの流出が後を絶たない。
こうした製造・流通関連の情報を専門に扱い、その中から精度の高い情報を拾ってくるのが、証券会社などのアナリストだ。本来は経済が専門のはずだが、ここしばらくはアップル関連の情報ソースとして名前が挙がることが多い。アップルとの取引は莫大な金額となり、 調達を受注できたメーカーにとっては浮沈に関わる(=株価も変動する)からだ。
アナリストの中でも特に精度が高い凄腕が、KGI Securitiesのアナリスト、Ming-Chi Kuo氏だ。Kuo氏は部品調達系の情報から、アップル製品の販売時期をかなりズバズバと言い当てており、その例は枚挙にいとまがない。ただし、アップル自身が計画を頻繁に変えることもあってか、同じ製品の話でもコロコロ時期が変わったりすることもあるので、その点は要注意だ。
なお、アナリストといってもKuo氏のように独自ソースを持っている人は精度が高いが、過去のデータから類推するタイプや、希望的観測だけで適当な予想をぶち上げる人も少なからずおり、こうした手合いはノイズでしかない。どちらかというと「アナリストの予想では」という文言があったら、話半分という程度にとどめておきたい。
●噂サイト/Blogはどこが信頼できるか
○噂サイト/Blog編
「9to5 Mac」は比較的新しいが、彼ら独自のニュースソースを持っており、その精度もかなり高いと評判のサイトだ。ニュースの更新頻度も高く、噂系サイトとしてはかなり有力なサイトと目されている。ただし、記事の読み方には注意があって、彼ら自身のニュースソースに頼っているものはいいのだが、アナリストの予想や、他サイトからの情報をそのまま孫引きしたものはさほど精度が高くない。
「MacRumors」も老舗の噂サイトとして評判が高い。ものすごいスクープは少ないが、全体的に取りこぼしが少なく読みやすい。製品ごとに状況をまとめた「Roundups」というページが便利で、いつどんな動きがあったかも克明に記録されている。サイト運営者の几帳面さを物語っているようだ。
ちなみに、かつて非常に高い精度の噂サイトとして「Think Secret」というサイトがあった。
その精度の高さはアップルがたまりかねて訴訟を起こすくらいだったが、このサイト、現役のハーバード大学生であるニック・シアレリ氏による運営だったと明らかになり、世間は二度驚かされることになる(彼がそのサイトを開始したのが13歳のときだった、というのが三度めの驚き)。残念ながら2007年末にアップルとの訴訟が和解する引き換えにサイトを閉鎖したが、訴訟沙汰は逆に、それまで表立った存在ではなかった噂サイトの信頼性を高め、大手メディアも注目するようになったというのは皮肉な話だ。
ほかにもSNSや個人運営のblogなど情報ソースはたくさんあるが、玉石混淆の中から正しい情報を見つけるのはプロでも非常に難しい。噂を鵜呑みにしたり、当たり外れに一喜一憂するのではなく、宝くじを買った時のように当たった時の夢を楽しむ程度にしておいたほうがいいだろう。