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動画配信サービスはモバイル回線でどれだけ見られる?

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動画配信サービスはモバイル回線でどれだけ見られる?
●ビットレートとは
今年前半の話題としてはApple Music開始に代表される音楽の定額配信サービスの登場が挙げられるが、スマートフォンでは動画配信サービスも大人気だ。大物動画配信サービスの上陸も目前だが、はたしてモバイル回線は、これらのサービスを支えることはできるのだろうか?

○動画でもビットレートが重要

音楽配信サービスの影響で、ビットレートという言葉はかなり市民権を得てきたように思われる。ビットとは、データを構成する最小単位のことだ。コンピュータは「ある(=1)」「ない(=0)」という2値の組み合わせで全てのデータを管理しており、データはこのビットに分解されて送信されている。ビットレートとは「1秒あたりのビット数」を表す言葉で、「bit per second」の頭文字をとって「bps」という単位で表す。たとえばLTEの「150Mbps」という単位は「1秒間に150メガビット(8ビット=1バイトなので、18.75メガバイト)転送できる」という意味だ。

データを転送する通信技術がビットレートで表されるように、時間に比例して大きくなる音楽やビデオといったデータそのものもビットレートで表すことができる。たとえば128kbpsのMP3ファイルであれば「1秒あたり128キロビット(=16キロバイト)のサイズになる」という意味だ。


ビットレートが高いデータほど、画面のサイズを大きくしたり、圧縮率を下げて圧縮ノイズの目立たない高画質な音声/映像を楽しめる。ちなみに市販のDVDビデオの場合、音声と映像を合わせて約9.8Mbps以内に、Blu-ray Videoの場合は約40Mbps以内に収まるように作られている。

●動画のビットレートは?
○動画配信のビットレートはどのくらい?

肝心の動画配信サービスだが、実は完全に定まったビットレートというものは存在しない。インターネットは回線速度が保証されていないサービスなので、配信環境に合わせて最適なビットレートになるよう、サーバー側で調整してデータを送っているのだ。

Youtubeの場合、アップロードされた動画はサーバー側で再度エンコードされ直すため、どんなに高画質なデータをアップロードしていても、配信時は必ずそれよりも小さいビットレートのデータになる。たとえばフルHD(1080p)の動画の場合、アップロード時のビットレートは8Mbpsが推奨されているため、受信時は8Mbps未満になっていると考えればいい。動画の内容等にもよるが、音声と合わせておおむね5~6Mbps程度になっているようだ。

ニコニコ動画の場合、ビットレートは1Mbpsが推奨されているが、実際は動画全体のサイズが100MBになるように調整されているようだ。
Huluの場合、最大で3.2Mbps。そして、全米トップの動画配信サービスとして今秋にも日本に上陸する「Netflix」では、2~3.5Mbps程度で配信しているという。画質的には国内サービスと同程度ということになりそうだ。

以前はモバイル端末向けには低解像度のデータを送っていれば良かったが、最近はフルHDを超える超高解像度のスマートフォンも増えており、回線も100Mbpsを超えるLTEが利用できる。そんなわけで、大半のサービスでは1080pのデータを送信している可能性がある。

●映画は2本から3本か
○何時間で7GBを食いつぶすか?

ビットレートがわかれば、あとは容量をビットレートで割ることで、その容量を転送するのに必要なバイト数がわかる。ここでは月間7GBのパケット容量のコースで契約していると仮定して、早速計算してみよう。

まずはYoutubeだが、1080pの動画が5Mbpsとすると、7GB/5Mbps=約186分、およそ3時間6分となる。
映画にして大体2本見れるか見れないかってところだ。ニコニコ動画の場合は動画が100MBいっぱいまで作っていると仮定するとおよそ70本。アニメの配信や生放送の場合はこの容量制限の限りではないと思われるが、といってもそんなに長時間見られそうにはない。

Huluの場合は7GB/3.2Mbps=約291分、4時間51分だ。映画2から3本分、あるいは連続ドラマ5本分といったところだろう。NetflixもおおむねHuluと同程度になるはずだ。ここで計算したのはあくまで純粋にコンテンツの転送のみであって、制御信号や番組選択時のサムネイルなど付随するデータは含まれていない。実際には配信サービスだけに絞っても、あと5~10分くらいは短くなってしまうのではないだろうか。


ここで挙げた例はあくまで理論値であり、実際には回線状況などによってサーバー側でビットレートを下げたデータを送ることも多いと思われる。だが、多く見積もってもこの予想の2倍を超えることはないはずだ。となると、5~10時間程度も再生すれば確実にパケットを消費しきってしまうのは確実。正直なところ、モバイル回線で動画配信を見るのはかなり無理がある行為と言わざるを得ない。

再生解像度を下げるなど延命措置はあるにせよ、基本的に動画はWi-Fi環境で再生し、どうしても外で見たい場合はストリーミングではなく、ローカルにダウンロード(キャッシュ)保存できるサービスを選ぶのがいいだろう。

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