子どものためを考えたパソコン選び - コヤマタカヒロのパパ家電
子どもと楽しく過ごし、奥さんにもラクしてもらうために「パパ目線」で家電製品を選ぶ本連載。今回は「パパ目線」で選ぶパソコン。仕事用じゃなく、家族のため、子どものためを一番に考えて、最新パソコンを選んでみた。
○子どもとデジタル機器の付き合い方
小さな子どもがいる家庭の多くで悩みの種になっているのが、子どもとデジタル機器との関係だ。スマートフォンやタブレット、PC、そしてゲーム機などを子どもにいつから触らせるか、これはいろんな学説や考え方、教育方針もあり、正解のない問いとなっている。
著者の周りでも、子どもにそれらを一切触らせていない家庭も多い。しかし、筆者の仕事柄、家庭には山のようにデジタル機器があり、両親ともにスマートフォンやタブレットを日常的に触っている。このような家庭では、子どもにデジタル機器を触らせるな、というほうが難しいのではと考えている。
そこで大切になってくるのが、子どもとデジタル機器の付き合い方だ。
現在、筆者宅では5歳になる長女には夕食後1時間だけ、タブレットで遊ぶことを許している。スムーズに辞めることもあれば、もっとやりたいと泣きながらだだをこねることもあるが、基本的にはそれで我慢している。過去には、筆者がプレイしている家庭用ゲームを横で見ていて、プレイしたがり、しばらくハマっていたこともあるが、さすがに家庭用ゲームは夢中になりすぎる傾向にあるため、現在はやらせないようにしているという状況だ。
そんな中、リビングに設置しているPCが古くなってきたこともあり、買い替えを検討することとなった。そこで子どもが使うことを考えて、PCを選んでみたいと思う。
現在、PC市場はスマートフォンなどに押されて停滞している状況だ。そんな中で売れているのは、マイクロソフトのSurfaceシリーズやアップルのMacBookなどのビジネス向けのモバイルノートが中心。
これらはコンパクトで場所を問わずに使えるが、子どもたちに使わせるのはちょっと心配だ。下手に持ち歩きできるサイズとなると、好き放題に扱ったあげくに、落として壊す姿が見えてしまう。
とはいえ、15型クラスのスタンダードノートを選ぶのも芸がない。5歳の長女となるとこれらも動かせるだけの力を持っており、モバイルノートと同じく落下の可能性が非常に高いといえる。これらを考えると選択肢はデスクトップPCになるだろう。
●RealSence対応ゲームに子どもが大喜び
○タッチ対応だと親が使いづらい問題
ではデスクトップPCなら何でもいいのかというとそうもいかない。小さな子どもがいる家庭で注意したいのが、最近のWindowsPCに多いタッチ操作に対応したモデルを選ばないようにということだ。
確かにペンや指で画面にお絵かきができたら、子どもは喜ぶかもしれないが、その時間はほんの一瞬だ。
むしろ親がパソコンを使っているときに、画面をタッチされて誤作動する回数の方が圧倒的に多いのだ。特にあまり状況を理解してくれない3歳ぐらいまでの子どもがいる家庭では、タッチ操作は使えないほうがいい。キーボードやマウスは隠せるが、液晶ディスプレイ(というかPC本体)は隠せないため、勝手にタッチされて、いろいろ操作されたり、設定を変えられてしまってPCが変なことになる、そんなパターンも待っている。
○RealSence対応ゲームに子どもが大喜び
持ち運んで落とす心配のないデスクトップPC、そしてタッチ非対応であることが、小さな子どものいる家庭におすすめしたいリビングPCの一例だ。しかし、それだけではつまらない。なにかポイントとなる機能はないだろうかと調べてみたところ、ひとつ面白いものがあった。それが「RealSence」だ。
インテルが開発したRealSenceは2つのレンズを搭載した3Dカメラを利用して、PCの前にいるユーザーを認識するという技術。
すでに多くのPCに搭載されており、デスクトップPCはもちろん、ノートPCやタブレットPCにも採用例がある。
筆者が最初にRealSenceの説明を受けたのは、昨年のことだったと記憶しているが、その段階ではまだ、具体的な用途やアプリケーションに落とし込まれていなかった。しかし、現在はいくつかのゲームが登場しているのだ。そこで今回、RealSence対応カメラを搭載したデスクトップPC、NECの「LAVIE Desk All-in-one DA970/BAB」を借りて、子どもに遊ばせてみた。
すでにRealSence対応アプリケーションは数多く登場している。今回は子どもが好きそうなゲームとして、画面に表示されるオブジェクトにあわせて手を動かすことで音楽を奏でられる「KAGURA」、画面にいる動物キャラクターの動きに合わせて手を動かす「マダガスカル Move It!」、そしてレースゲーム「レゴレーサー」の3本を用意した。
まずは「KAGURA」でRealSence対応ゲームの雰囲気をつかむ。子どもは画面に映っているのが自分だとわかっている模様。
一生懸命、画面に合わせて手を振ったり、オブジェクトをつかんだりしていた。とはいえ、自分でリズムを奏でるというゲーム性はまだあまりわからないようで、30分ほど遊んで終了した。
続いて遊んだのが、「マダガスカル Move It!」だ。画面上に表示されるキャラクターに合わせてテンポ良く、両手を挙げていく。ファーストステージは難なくクリア。だんだんと手の動きが速くなり、位置もリズムも複雑になっていくが、キャーキャーと騒ぎながらなんとか付いていく。これも子どもにとってかなり楽しめるゲームだったようだ。
そして、最後にプレイしたゲームに子どもがドハマリした。
レースゲームの「レゴレーサー」だ。レゴのキャラクターがわずかに浮かぶレースマシンを作りあげ、コースを疾走するというもの。身体を左右に動かすと、RealSence対応カメラがそれを認識して操作に反映。レーサーを左右に動かしたり、コース上に落ちているコインのようなものを拾ったりできる。
画面の前で身体を左右に動かしながら上手にコースをクリアしていく娘。最初は障害物にぶつかってレーサーが壊れていたが、そのうちに「ぶつからないように走るの?」と言い出し、最初のコースは難なくクリアするようになっていった。
その後、LAVIE Desk All-in-one DA970/BABがある間は、「レゴのレースしたい」言い、1日30分ほどプレイしていた。そのときいいなと感じたのが、RealSence対応ゲームは家庭用ゲームやスマホゲームと比べて、射幸性が低いことだ。
射幸性の高いゲームはどうしても子どもは夢中になりすぎて、終わらせるのに苦労する。ときには、トイレに行くのを我慢してまで続けてしまうことも。
しかし、RealSence対応ゲームは物理的に身体を動かすためか、適度に疲れるようで、時間になると自分でちゃんと終わらせることができた。それでいて、本人は十分にゲームをしたとう満足感を得ているようで、1日に何度もゲームをさせろと言わないのが良かった。
また、今回利用したNECの「LAVIE Desk All-in-one DA970/BAB」は、ヤマハ製の高音質スピーカーを搭載するなどAVユースのPCとしても優秀。また、テレビチューナーも搭載しているので、リビングのテレビを子どもに独占されているときでも、別のテレビ番組を見ることができるのだ。フラグシップモデルだけに決して安くはないが、搭載する機能を総合的にみると十分に選択肢に入ると言えるだろう。
●テレビをディスプレイにするならスティック型や小型モデルを
○テレビをディスプレイにするならスティックや小型モデルを
子どもには基本的に触らせず、両親だけが使うという場合、ノートPCでもデスクトップPCでもないもうひとつの選択肢がある。それが液晶テレビをディスプレイとして使う超小型PCだ。
その代表格が、テレビのHDMI端子に直結できるスティックPCだ。置き場所をまったくとらないのが特徴で、これにワイヤレスのキーボードやパッドを接続すれば、液晶テレビをPCとして使うことができる。大画面でWebを見たいといったニーズならこれでも十分だ。
もう少し高いPC性能やファイルの保存容量が欲しい場合は、手の平サイズのミニPCがおすすめ。これなら外部機器も接続できる。たとえば、日本HPの「HP Pavilion Mini 300-100jp」シリーズは小型サイズながら4K出力にも対応。パフォーマンスモデルなら、CPUにインテル Core i5-5200U、1TBの大容量HDDを搭載している。
子どものいる家庭でのリビングPCの選び方。今回はあえて、売れ筋のノートPC以外で考えてみた。どの家庭でもこれが正解という訳ではないが、ひとつの提案として考えてもらえるとうれしい。