「Hey Siri,give us a hint.」は何を暗示するのか - Apple招待状の真意を読む
Appleのスペシャルイベントが9月9日(日本時間では9月10日午前2時~)に開催されることが発表された。例年のパターンからいって新型iPhoneの発表が濃厚とされる同イベントだが、今回のキャッチコピーは「Hey Siri,give us a hint.」(Siri、ヒントをちょうだい)となっている。毎回発表内容と微妙にリンクしてくるキャッチコピーだが、今回のコピーは一体何を意味しているのだろうか? 予想してみよう。
○質問してもスッとぼけるSiri
今回のキャッチコピーは、ストレートに読めば「Siriに聞いてみろ」だ。しかし、実際にSiriに聞いてみると「9月9日に何か発表があるらしいですよ」と煙に巻かれるだけである。
とぼけ続けるSiriはさておいて、キャッチコピーの謎に挑んでみよう。
まずSiriについてだが、ご存知の通りiOSに搭載された音声アシスタントだ。充電状態で「ヘイ、Siri」と呼びかけるか、ホームボタンを長押しにして起動し、ユーザーが自然言語で問いかけた質問に対し、文字と音声で答えてくれる。
Googleの「OK Google」や、マイクロソフトの「Cortana」と同等のものと考えればいいだろう。
このSiriだが、iPhoneとiPad、それにiPod touchには搭載済みで、iOS 9である程度機能が強化されるとはいえ、わざわざ言及するほどではない。まだ搭載されていない機器は2つあり、そのうちのひとつがMac。OS XにSiri搭載となれば、Windows Phone/Windows 10のCortanaと競合するデスクトップ/モバイル対応の音声アシスタントとしてユニークな位置付けになるのだが、残念ながらOS Xの発表はもう少し先だし、6月のWWDCでもSiriについては言及されていなかったため、その線は薄い。
となると、もうひとつ残ったデバイスが怪しい。そう、Apple TVだ。
●Apple TVとは
○お茶の間にSiriさん参入か?
読者の皆さんはすでにご存知のことかと思われるが、Apple TVはアップルが販売しているテレビ用セットトップボックスだ。故スティーブ・ジョブズ前CEOの時代から「これはホビーだ」という但し書き付きで販売が続けられており、iPhoneやiPadでブイブイ言わせているアップルの中ではほとんど採算が取れていないのに、細々と続いているプロジェクトになる。
元はパソコンのiTunesライブラリや、オンラインのiTunes Storeで購入した映画や楽曲をテレビで再生するための機器で、今はライブラリがほとんどクラウド上に置かれるため、パソコンなしの単独でもコンテンツ再生用デバイスとして利用できる。
独自のインターフェースを採用しているが、中身はiOSベースで動作しており、やがて登場する新型では、アプリでの拡張が可能になったり、ゲームコンソールになる、iOS 9の「Home kit」に対応したスマートホーム機器の管理が可能になる、などさまざまな噂があった。
現在販売中のAppleTVが、発売以来3年以上モデルチェンジしていないこともあり、いいかげんそろそろアップデートするはず、という見込みも、また確度の高い情報筋からの噂もある。現行モデルはApple A5のシングルコア版を搭載しており、デュアルコア版A5を搭載する iPhone 4Sの半分程度の性能だが、これが新モデルでは、最新のA8になるという噂もある。こうなるとフルHDの画面でゲームをするのも苦ではなくなるし、Siriを始めとする、処理の重いさまざまな機能も実現可能になるはずだ。
●Siriが発表会のキーワードに!?
○リモコンに加えて音声でも操作可能に?
そもそもSiriのような音声アシスタントは、リビングなど家庭でこそ使い勝手がいい技術だ。Amazonの音声アシスタント搭載スピーカー「Echo」(日本未発売)や、GoogleのNEXUS Playerは音声入力による操作が可能になっており、Apple TVもここに加わるのではないか、というのが筆者の予想だ。
コンテンツの再生はもちろん、噂に上がっているHome Kitとの連動でも、音声で「Siri、子供部屋の電気を消して」や「Siri、温度をもう少し下げて」などと操作できれば、かなり便利なはずだ。
「Hey Siri」の呼びかけ方が共通だと、Apple Watchや充電中のiPhoneなども反応してしまうのではないかと気がかりだが、このあたりはうまく解消する手段が用意されているのかも含めて興味深い。
ということでiPhoneを差し置いてイベントではApple TVが脚光を浴びる、というのが筆者の予想だが、当たるかどうかはまったくの未知数。案外いい線をいっていると思うのだが……。