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高橋メアリージュン、女優転身や難病と闘う不屈のルーツとは? "感涙"の奥にあった父と監督「弱音を吐かず、涙も見せず」

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高橋メアリージュン、女優転身や難病と闘う不屈のルーツとは? "感涙"の奥にあった父と監督「弱音を吐かず、涙も見せず」
●「優等生」で縮こまっていた演技
高橋メアリージュンが、朝ドラ『純と愛』で鮮烈女優デビューを果たしてから3年。『るろうに剣心』、『闇金ウシジマくん Part2』などの人気シリーズ映画のほか、今年に入っても『リアル鬼ごっこ』や『ヒロイン失格』、1月期の連続ドラマ『残念な夫。』(フジテレビ系)など出演作が続き、順調に女優としての足場を固めている。

役柄も遊女、借金取り、アンドロイド、OL、専業主婦と幅広い。9月4日に公開される『映画 みんな! エスパーだよ!』で演じるセクシー美人教師・ポルナレフ愛子役は原作にはないオリジナルキャラクターだが、園子温監督から現場で具体的な指示がなかったことからも、すでに女優として信頼を得ているといえるのではないか。

こうして3年間の実績を振り返ると順風満帆のようだが、実情を聞くとそうとも言い切れなくなる。モデルから女優への苦労を伴った転身の末、『るろうに剣心』撮影時は大役と向き合いながら難病との闘いも強いられた。その不撓不屈の精神はどこで養われたのか? そのヒントは今年7月のイベントで発した「お涙頂戴系とか絶対にやらないと決めていた」という言葉にあった。


――今回演じられたポルナレフ愛子役は、原作に登場しないオリジナルキャラクターでしたね。

教師ですが、ほかの登場人物と同じように”セクシー”を求められる役でした。物語の鍵となる役で、”教祖さま”をイメージしました。エロスではなく、純粋に愛を求めているような情熱的な人物と捉えて。だから、身ぶり手ぶりが割りとオーバーで、生徒や周りの人にも魔法をかけているように話しています。園監督からは何も言われていなかったので、自由にやらせていただきました。

――園監督作品は『リアル鬼ごっこ』に続いて2作目。前作は短命で登場シーンも少ないキャラクターでしたが、監督の演出で違いはありましたか。


どちらも具体的な指示はいただいてなかったので、それはプレッシャーでした。私がどのように表現するのかを試されているというか。違いといえば『リアル鬼ごっこ』は撮影が1時間ぐらいだったこと。現場では一切言葉を交わすことなく「スタート!」「カット!」の声しか聞かなかったので、本当に怖い方なんだろうなと思って緊張してしまいました(笑)。でも撮影が終わって私のところまで来て、目も合わさずに「すごく良かったよ」と声をかけてくださって。すぐに去って行かれましたが(笑)、クールで優しい方というのが伝わりました。

何も言われなかったのは今回も同じで、最初のシーンを終えて「大丈夫かな…」とドキドキしていたら、その時も私のところに来て「大人の色気が出てすごくいい感じ」と声をかえてくださったので安心したと同時に、その後の撮影も不安なく臨むことができました。

―― 一番印象的だったのがウインクでした。


ありがとうございます。実はウインクをすることは決まっていなくて、台本には「うなずいてニコッと笑う」と書いてありました。やっぱり長年モデルを経験していると、”モデルスマイル”が染み付いてしまっているので、「ニコッと笑う」では”モデルスマイル”になってしまいます。そこを”外す”意味でのウインク。園監督にも相談せずにやってみたら、特に何も言われなくて不安だったんですけど、映像で使われていたのでうれしかったです。

――そういうお話を聞くと、演技をはじめた頃と比べて余裕を持って臨めているのではないかと想像しますが、いかがですか。

全然余裕ありません(笑)。でも、確かに最初の頃は言われた通りにやるだけでした。
もちろん今でもそういう自分を自覚することはありますが、現場での駆け引きや、もっと自分を出していこうとする姿勢は徐々にできるようになっていると思います。洋画のメイキングを見た時、皆さんすごく自由にやられていたんですよね。大胆に自由に。挑んで失敗したら使われないだけなんだから、いろいろ試して行こうと思うようになりました。

――7月25日付のブログに「もっと自由に大胆に生きていきたい」と書かれていたのは、そういうことですね。

そうです。縮こまっていた自分に気づきました。「優等生」できっちりやろうとして、ある先輩から「監督に言われたことだけやってるでしょ。
いいんだよ、もっと自由にやって」と言われたことがあったんです。今から3年前、演技をはじめた頃のことです。ただ、そんな自分に気づいている今でも、現場で挑戦するたびにためらってしまいますし、「やらなきゃ! よし!」と毎回気合を入れています(笑)。

――最近では妹のユウさんもバラエティなどでよくお見かけします。今年7月1日に行われた「第3回ベストエンゲージメント2015」表彰式では、姉妹で出席されました。今でも一緒に暮らしていらっしゃる2人ですが、ユウさんが読み上げた手紙に涙する場面がありました。そうですね(笑)。

●妹・ユウの手紙は「必死に耐えた」

――『るろうに剣心』の取材でも、難病である潰瘍性大腸炎との闘いだったお話をうかがいましたが、身内であるユウさんの「目の焦点も合わないまま、ベッドに倒れこんでいた」という言葉からも壮絶な日々だったことがよく分かりました。
その不屈の精神はどこで培われたんだろうとブログを読んでいたら……小学校2年生からはじめたバレーボールが相当スパルタだったと書いてありました。関係ありそうですか。

とってもスパルタでした。詳しく話すと今の時代だったら問題になりそうなくらい(笑)。最初にはじめたきっかけは同じクラスの友だちに「遊びに来てみたら?」と誘われて、遊びに行っているうちに気づいたら入団していました。特にバレーボールに興味があったわけでもなく、「学校終わりに遊びに行く場所」という感覚で。スパルタの実態を知ったのは、入団した後のことです(笑)。

――それでも中学3年生まで続けたそうですね。


バレーボールの楽しさに気づくことができたからです。あとは習慣になっていたので、「辞めたら悔しい」という思いが強かったんだと思います。でも、「辞めたい」と思ったことは何十回もあって(笑)。小学校4年生の時、辞めると決めて、練習に行かずに家にいたら、監督が家まで来たことがありました。両親も含めて話し合うことになって、いつも厳しい監督が優しく「メアがおらんと試合にならへん」「体育館で待ってるし良かったら来てや」と説得してくださいました。ズルいですよね(笑)。

その後、両親にも説得されたので「分かった…続けてみるわ…」みたいな感じで渋々でしたけど(笑)、続けることにしました。当時長かった髪をバッサリ切ってショートヘアにして体育館に行ったら、いつもは厳しい監督が笑顔で待っていてくれました。「髪切ったんか!」と大喜び(笑)。その日は練習試合だったので相手チームもいたんですが、監督は私の頭を触りながら「見てみい! このベッピン!」って(笑)。すぐに試合に出してくれて、アタックを決めた時に「そうやメア! お前がおらな、試合にならへんわ!」と言ってくれた時は本当に感動して、続けていこうと決意しました。

その後もまた厳しいトレーニングが待っているわけですが、監督のそういう一面を知ることができましたし、自分がいることで喜んでくれるのであればがんばって続けていこうと思いました。先ほど「不屈の精神」とありましたが、監督から学んだのは「あきらめないこと」と「続けることの大切さ」です。

――ブログにも書いてありましたが「『疲れた』と言わない父」も精神的な影響に関係ありそうですね。

本当に一度も「疲れた」と聞いたことないんです。すごいですよね。経済的に厳しい時もありましたが、子どもたちには絶対に弱い部分を見せない人でした。バレーボールの監督もそうですけど、父からの影響も大きいと思います。私は人前で弱音を吐きたくないですし、涙も見せたくないのでやっぱり似ているんでしょうね。悩みごとも人にあまり相談せずに、解決してから話すことが多いみたいです。最近友だちにも言われました。

――すごくその言葉に納得してしまいました。「第3回ベストエンゲージメント2015」の表彰式で、ユウさんの手紙に涙を流してしまった時に「お涙頂戴系とか絶対にやらないと決めていた」とおっしゃっていました。

そうです(笑)。妹が手紙を読むわけですから、状況的に見ても泣きそうなシチュエーションですよね。わざと泣いてると思われるのも嫌ですし……。だから、涙があふれないように必死で耐えてたんですよ! でも、妹の思いが伝わったからこそ出た涙なので、しょうがないなと思います(笑)。

■妹・ユウが姉・メアリージュンに送った手紙

お姉ちゃんへ

お姉ちゃん、いつも一番近くで時に厳しく、時に優しく接してくれてありがとう。私にとっての一番のライバルであり、そして親友でいてくれてありがとう。

今だからこう言えるけど、実は少し前までは素直にこう思えなかった自分がいました。テレビや人に紹介されるたびに「高橋メアリージュンの妹」と言われることが嫌だった時期もありました。「ああ、またや…また比べられた」「こんなに比べられるんだったら、もうお姉ちゃんから離れたい」と思ったりもしていました。

そんな時にお姉ちゃんが「潰瘍性大腸炎」と診断された。ご飯も食べられないほどの症状と映画の撮影というハードスケジュールが重なって、お姉ちゃんの体調はどんどん悪化して、見る見る痩せていったよな? 撮影から家に帰ってきても目の焦点も合わないまま、ベッドに倒れこんでいたお姉ちゃん。そしてまた数時間後には這うように起きて、撮影に向かっていたね。

そんなお姉ちゃんを見て、私はものすごく自分のことを責めました。お姉ちゃんと比べられたくなくて、お姉ちゃんから離れたいと考えていた自分がすごく小さくて、情けなくて。ごめんなさい。お姉ちゃんから離れたいなんて嘘です。「比べられても何をされてもいいから、お姉ちゃんと離れ離れにしんといてください」って何度も何度も神様に祈っていました。そして、心の底から変わりたいと思っていました。

それでもお姉ちゃんは一切弱音を吐かなかったよね。本当はものすごくつらかったと思う。あの時もっと頼ってもらえるように、もっともっと声を掛ければよかった。それでもお姉ちゃんは強い心で回復していきました。今では一緒においしいご飯を、大好きなお肉を食べられる。「お腹いっぱい!」とか「おいしかった!」とか満足気に言うお姉ちゃんの顔を見るのが実はめちゃくちゃうれしいです。

今は胸を張って、「私が高橋メアリージュンの妹です」と言えるよ? もちろん、自立もしなあかんけど、それでもお姉ちゃんは私にとって心から尊敬する女性、女優であり、たった一人の自慢のお姉ちゃんです。

これからも末永く、お互いがいつかお嫁さんになってもずっと親友でいてください。いつもありがとう。愛しています。

ユウより

■プロフィール
高橋メアリージュン
1987年11月8日生まれ。滋賀県出身。2004年からファッション誌『CanCam』(小学館)の専属モデルとして活躍。2012年に同誌を卒業し、同年のNHK連続テレビ小説『純と愛』の狩野マリヤ役に抜てきされ、女優デビュー。昨年から今年にかけて『闇金ウシジマくん Part2』、『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』、『キカイダー REBOOT』、『リアル鬼ごっこ』、『ヒロイン失格』(2015年9月14日公開)などの映画に出演。今年1月期のフジテレビ系ドラマ『残念な夫。』にレギュラー出演した。

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