新Apple TVはどうなる? - Appleスペシャルイベント直前予想
9月9日のアップルスペシャルイベントが近づいているが、やはり気になるのは、一体どんな製品が登場するかだ。本稿では新型Apple TVについて、ネットで流れている噂などを総合し、製品像を予想してみる。
○まずは現行機のおさらい
Apple TVはテレビに接続して利用するセットトップボックスの一種だ。当初はLAN上のiTunesライブラリをホームシェアリングで共有して再生したり、iTunes Storeから映画をレンタルする程度だったが、やがてチャンネルが増え、YouTubeやVimeoといったビデオ配信や、MLBやNFLなどのスポーツ系オフィシャルチャンネル、さらにHulu PlusやNetflixといったビデオ配信、日本ならバンダイチャンネルなどが参入して、オンラインビデオ配信をテレビで手軽に楽しむための端末としても機能している。
また、若干本道から離れる使い方ではあるが、iPhone/iPadやMacの画面をApple TVにミラーリング表示(OS Xではマルチディスプレイ扱いも可能)する「AirPlay」にも対応しており、プレゼンテーション用のツールとしても密かに人気がある。
ハードウェア的にはApple A5プロセッサのシングルコア版を搭載し、フラッシュメモリを8GB搭載。OSはiOSベースの専用UI版を搭載するなど、iPhone 4Sや第5世代のiPod touchに近い作りだ。CPUの性能に制限があるためか、ほかのiOSで使えた機能、たとえばSiriなどは利用できなかった(もっともApple TVにマイクはなかったので、どのみちSiriは使えなかっただろうが)。
今年3月のスペシャルイベントで値下げが発表され、現在の価格は8,200円 。Chromecastほどではないが、かなり手頃な値段になってきている。
●新型Apple TVはどうなる?
○新型Apple TVはA8を搭載?
現行のApple TVは登場してから3年経つため、そろそろモデルチェンジがあると昨年あたりから噂は続いていた。現在噂されている新型Apple TVのスペックは以下の通りだ。
ハードウェアは現在と同様のコンパクトなサイズ(若干大型化するとの噂もある)で、金属筐体になるという噂もある。4Kに対応しなかったのはiTunesで4K配信をしていないせいだろうが、Apple TVのチャンネルを持つYouTubeやNetflixが4K配信を行っているので、もしかすると4K対応の目も若干だがあるかもしれない
通常、Apple TVのような比較的低価格の機器には新しく高価なCPUは載せないのだが、Apple A8は記録的ヒット商品となったiPhone 6/6 PlusやiPod touch(第6世代)にも搭載されており、量産高価で十分価格が下がっているのだろう。あるいはA5がiPhone 4SやiPad 2、iPad mini、Apple TVに搭載され長く使われたように、A8が次のスタンダード的な位置づけになるかもしれない。
CPUが新しくなることのメリットは2つ。
ひとつは処理速度の向上で、これは単純に高速化するだけでなく、Siriを始めとするさまざまな新機能の追加を可能にする。もうひとつはGPUも最新になることだ。Apple A8はGPUとしてPowerVR GX6450を搭載する64bit CPUだ。GX6450はかなり強力なGPUで、フルHD解像度でもグリグリと美麗な3Dグラフィックを動かせるパワーがある。
以前より、新型Apple TVにはApp Storeが追加されるという噂で、特にゲーム市場をターゲットとしているらしい。テレビ画面上で付属のリモコンまたはiPhone、Bluetooth接続のゲームパッドなどを使ってアプリの操作ができるようになる模様。タッチ操作などが特徴的なiPhone用ゲームがそのまま動くとは思えないため、Apple TV向けに改めて開発する必要があるだろう。
前述したようにGPUはかなり強力なものが搭載されているので、ゲーム機として考えた場合でも、一~二世代前のコンシューマ機クラスのグラフィックが実現できるはずだ。
PS4やXbox Oneと比べるのは厳しいが、PS2以上PS3以下といったところだろうか。最新の据え置き機と比べると見劣りするが、ヘビーゲーマー層以外は十分満足できるはずだ。
●気になる価格は?
○Siri対応で串刺し検索が可能に
ソフトウェア面では前述したアプリの追加が大きなトピックだが、もうひとつSiriの統合が挙げられる。Apple TVにSiriが搭載され、iTunes Storeを始めとする各配信チャンネルを串刺し検索し、目的のコンテンツを探し出せるようになるというものだ。これまでは各チャンネルはApple TV上に置かれてはいるものの、一度入るとそこから先は完全に別世界という感じだったので、検索だけでも統合されるのはありがたい。
また、IoTの管理機能であるHome KitもApple TV対応となり、家中の各機器をテレビ上で確認できるほか、Siriを使って音声でオン/オフなどの制御もできるようになりそうだ。
○価格は値上がり?
現在8200円(69ドル)のApple TVだが、さまざまな機能が追加され、強力にパワーアップしていることもあり、価格は値上がりする見込み。今の所フラッシュメモリの搭載量によって149~199ドルになる説と、149ドルの一仕様に統一される説がある。
149ドルということは現在のほぼ2倍で、日本円に換算すると1万8000円前後になるだろうか。それだけのスペックはあると思うが、やはりこのままでは高価なため、おそらく現行モデルも引き続き併売となるだろう。その場合、App StoreやSiri対応などの新機能は新モデルでのみの対応となるはずだ。
Apple TVはテレビという、家庭内における最大ディスプレイを持ち、家族みんながアクセスするリビングに置かれるデバイスだけに、家族の情報共有ハブとしての役割も果たせるはずだ。このあたりはソフトウェアの進化次第だが、ハードウェア的には十分なパフォーマンスを持っているはずなので期待したい。