2015年9月7日 15:03
日米の太陽観測衛星「ひので」と「IRIS」、太陽コロナ加熱問題で大発見 (1) 太陽における長年の謎「コロナ加熱問題」とはなにか
皆既日食が起こると、太陽の周囲に、真珠色に淡く輝く部分が見える。これは「コロナ」と呼ばれる高温の大気で、その温度は100万℃もの、猛烈な熱さをもっている。
ところが、太陽の表面の温度は6000℃しかなく、さらにコロナは太陽表面から数百kmから数千kmも離れている。にもかかわらず、なぜコロナは太陽の表面より、100倍以上も高温になっているのだろうか。
この不思議な現象は「太陽コロナ加熱問題」として、数十年間にわたって多くの研究者を悩ませ続け、そして現在も未解決のままだ。
その謎を探るべく、国立天文台と宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所は、2013年に日本の太陽観測衛星「ひので」と、米国の太陽観測衛星「IRIS」(アイリス)による共同観測を実施し、さらにスーパー・コンピューター「アテルイ」による数値シミュレーションを組み合わせた研究が行われ、そして2015年8月24日、その研究成果が発表された。
はたして、太陽コロナ加熱問題に終止符は打てるのだろうか。
連載の第1回となる今回は、「太陽コロナ加熱問題とはなにか」について見ていきたい。
○太陽コロナ加熱問題
8月も下旬に入ると、いくぶんか過ごしやすくなるが、それでも毎日うだるような暑さが続いている。