万年筆には"インク沼"がある - 文房具カフェ店長オススメの「自分だけのインク」入門
近年、安価な万年筆が充実してきたこともあり、万年筆を持つことがぐっと身近になった。定番の"クラシックで重厚なデザイン"以外の選択肢が増えたこと、特にパイロットの「カクノ」やペリカンの「ペリカーノジュニア」などをはじめ、ポップなデザインでよりカジュアルに持てる物が増えてきたことは、以前おすすめ万年筆の記事で取り上げたところだ。
今回は、東京都・表参道「文房具カフェ」の奥泉輝店長に、最近の万年筆まわりの話題と共に、1本目の万年筆を持ったら次に着目したい「インク」についての情報を教えてもらった。
○静かに高まる万年筆フリークの熱気
万年筆ユーザーの広がりは、今年の「日本文具大賞」に、万年筆のためのアイテムが選ばれたことからも実感できます。文具見本市「ISOT」内で発表される、毎年注目の文房具が選ばれている賞ですが、文房具フリークから見ても、今年のグランプリは意外なものだったと話題になりました。
グランプリに選ばれた「SUITO」は、インクを吸入する際などに汚れてしまう万年筆のペン先をきれいにするための専用紙です。吸い取り紙を万年筆の手入れに最適化したもので、手を汚さずにインクの拭き取りができる、万年筆ユーザーにとってはかゆいところに手が届く一品です。
こうした一見マニアックな用途の文具がグランプリを受賞したのは、今の万年筆の人気を反映したものと言えるでしょう。
○黒だけじゃない、万年筆インクの世界
万年筆のインクというと、現代では黒が一般的で、伝統的なブルーブラックを使う方もいます。ですが、その他の選択肢も実はたくさんあるんです。
紫陽花、天色、朝顔、竹林、冬柿、冬将軍、稲穂、孔雀、秋桜、紺碧、霧雨、紅葉、紫式部、深緑、深海、松露、竹炭、土筆、露草、躑躅、月夜、山葡萄、山栗、夕焼け…突然、四季折々の花鳥風月を思わせる美しい名前を並べましたが、実はこれ、すべてパイロットの万年筆用インクの名前です。
このインクシリーズ「色彩雫」は実に24色もの種類があり、昨年はそのミニボトルバージョンも発売された人気商品。万年筆のインクというとブルーブラックの印象が強いですが、服を選ぶように好きな色のインクを選ぶことができるのも、万年筆の人気を加速させる一因と言えそうです。ちなみに、万年筆=ブルーブラックという印象は、万年筆が筆記具としてメジャーだった時代、長期保存に耐えうるよう開発されたインクの色から来ています。
●オリジナルインクを作る3つの方法
○欲しい色を自ら作る人が増加中
さらに、市販のカラーバリエーションでは満足できない人たちには、また別の世界「オリジナルインク」があります。いくつか入手する方法はあるのですが、ここでは3つ紹介しましょう。
■オリジナルインクを作る方法:その1
2014年9月、東京・蔵前にある有名店文具店「カキモリ」が、オリジナルのインクを調合できるお店をオープンしました。カウンターテーブルには、16種類のインク原液、スポイト、カップ、試し書き用の紙とガラスペンが置いてあり、自分でインクを調合していきます。
気に入ったものができたら、その調合比率を店員さんに伝えると、15分ほどでボトルに詰めたオリジナルインクを受け取ることができます。明るいバーカウンターのようなおしゃれな店内で、バーに立ち寄るような気軽さで、自分だけのカラーを見つけることができるお店です。
■オリジナルインクを作る方法:その2
その名の通り、混ぜあわせて自分ごのみのカラーを作ることができるインクです。調合サポートキットも販売されていて、カラーチャートも掲載されているため、化学の実験のように、自分の部屋でじっくりと色を追求することができます。
■オリジナルインクを作る方法:その3
インクのプロ「インクブレンダー」に、その場でオリジナルインクを作ってもらえるという「インク工房」という催事があります。この催事の特筆すべき点は、首都圏のみならず日本全国を巡回しているところ。
インクブレンダー・石丸治氏がまるでバーテンダーのようにシェイカーを使い、ユーザーの話を丁寧に聞き取ってインクを調合してくれます。
カラーバリエーション豊かな市販インクだけでなく、自分だけの色を追求できる方法も豊富にあり、万年筆の"インク沼"は思った以上に深そうだ。次回は、「オリジナルインクを作る方法」で挙げられた「ink stand by kakimori」へ行き、自分の好きな色を調合したレポートをお送りする。
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