PCレスでHD画質の映像をライブ配信 - Cerevo、小型軽量化した「LiveShell」後継機を発表
Cerevoは9月10日、都内で開催された記者発表会において、ライブ配信機器新製品「LiveShell 2」の発売をアナウンスした。同社の直販サイト「Cerevo official store」では同日より販売が開始されており、9月下旬から順次出荷される予定。発表会会場では新製品の実機も用意され、機能はほぼ同等ながら小型・軽量化した本体と、既存製品のサイズなどを比較することができた。ここでは、その様子をお伝えしよう。
○ひとつの製品を複数のエンジニアが担当
発表会では、製品開発を担当したフロントエンドエンジニアの國舛等志氏がプレゼンターとして登壇し、Cerevoという会社の企業理念や新製品についての説明を行った。
"グローバル・ニッチ"を掲げ、他にない製品の開発を目指すCerevoでは、ひとつの製品を開発するため複数のエンジニアが協力する形でプロジェクトを進めており、「私のようなフロントエンドのエンジニアだけでなく、電気やメカ、組み込みソフトウェア、サーバサイドのエンジニアなど、複数のエンジニアが関わっている」とする。
そういったエンジニアたちによって開発された製品は、現時点で世界40カ国以上で販売されており、そのなかには大きな反響を呼んだ製品も少なくない。たとえば、今年1月のCESで披露されたスノーボード用のスマホ連携バインディング「SNOW-1」や、アニメ「PSYCHO-PASS」に登場する拳銃を精巧に再現した玩具「DOMINATOR MAXI」、鍵を回すという物理的な行為でWebサービスを制御できるキースイッチ「Hackey」などは国内外で大きな注目を集めた。
今回新モデルが加わった「LiveShell」シリーズも、そうしたヒット商品のひとつ。同シリーズは2010年に発表された世界初のUstream配信対応コンパクトカメラ「CEREVO CAM live!」に源を発するライブ配信機器で、「LIVEBOX」および「LiveShell」(2011年)、「LiveShell PRO」(2013年)、「LiveWedge」(2015年)などの製品がこれまでに発売されている。
●デジタルに特化して小型・軽量化を実現
新モデル「LiveShell 2」は、2011年に発売された初代LiveShellの後継機となる製品。LiveShellには搭載されていたオーディオ入力やアナログの映像入力を省略してデジタル入力(HDMI)に一本化したことで、上位機種のLiveShell PRO並みの機能を持ちながら小型・軽量化と低価格化(直販価格:39,800円)を実現したことが特長となっている。映像配信のクオリティはLiveShell PROと同じで最高720/30p(1,280×720ドット)、音声は最大256kbpsのAAC-LCに対応している。
本体のHDMI端子にビデオカメラを直接接続することで、PCを介さずにライブ配信することもできる。また、LiveShell 2本体がサーバとなって再生用端末から1対1の配信環境を構築できるRTSPサーバ機能や、インターネットに接続することなく特定LAN内でのみ配信可能なローカルモードなども搭載しており、さまざまな形でのライブ配信が可能だ。
インターネット接続は有線LANと無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n/ac)に両対応する。
國舛氏は「5GHz帯に対応しているので、ネットワークが混雑しやすいイベント会場などでも、より安定した配信が可能」とメリットを挙げた。
なお、本体に内蔵されるリチウムイオンバッテリは、容量自体は初代LiveShellより少なくなっているが、アナログ入力を排除したことで駆動時間は逆に伸びており、最大約3.3時間の連続配信が行えるという。充電には付属のmicroUSBケーブル付きACアダプタを使用するが、モバイルバッテリの利用も可能という。
○LiveShell PROは併売、11ac無線LANアダプタも発売予定
発表会では、LiveShell 2の開発に関わった他のエンジニアも登壇し、それぞれ製品にかける思いが語られた。
外装デザイン・設計を担当した鈴木氏は、「LiveShell 2は、撮影機材と対になって初めて役に立つデバイス。カメラはいろんなプロダクトの中でも洗練されたフォルムを持ったものなので、それに引けを取らないような、それでいて自己主張しすぎず使いやすくなるようデザインした」とコメント。また、電気設計を担当した森田氏は「今回はコストダウンが重要だったので、できるだけ中の構造をシンプルにしながらも、それが機能制限にはならないように設計した。より多くの人に使っていただけると嬉しい」と語った。
タッチ&トライコーナーではLiveShell 2の実機が用意されており、実際に手に取ることができた。前モデルの初代LiveShellと上位機種のLiveShell PROも一緒に並べられておりサイズを比較できたが、サイズ感は初代LiveShellとほぼ同じで、LiveShell PROよりはかなり小さく感じた。
LiveShell PROはアナログ入力が必要なユーザー向けに引き続き販売される。同機では後日オプションとして無線LANアダプタが発売される予定で、それを使用することでIEEE802.11ac(5GHz帯無線LAN)が使えるようになるとのことだ。