香港で特別な時間を! 建築も楽しめるレトロモダンで癒やしのグルメたち
キラッキラに輝くネオンサインは香港の顔。活気に満ちあふれた街の喧騒こそがこの街のお楽しみどころ……いやいや! このところ香港で目覚ましいのが、古い建築物をリノベーションしてオシャレに生まれ変わったレトロモダンな店の数々。香港ならではでありながら洗練された雰囲気のレストランは、"ここ一番! "という時にぜひ利用したいところ。そんなとっておきの2店を紹介しよう。
○元質屋の"知る人ぞ知る"レストラン
まずひとつは灣仔(ワンチャイ)エリアから。灣仔はコンベンションセンターや高層ビルが立ち並び、スーツに身を包んだビジネスマンが闊歩するビジネス街でありながら、ちょこっと裏手に入ると昔ながらの建物も数多い。行き交うトラムや渋滞するタクシーを見下ろして優雅なたたずまいが印象的なのが「The Pawn」。日本語に訳すと「質屋」を意味するとおり、かつては質屋だった建物だ。
MTRの灣仔駅から徒歩約1分でたどり着けるこの建物は、古めかしい看板はそのままに、レトロな雰囲気をかもしだしているものの、近づいてみると1階にはインテリアショップ、2階から上には洋風のレストランが入居となかなかファッショナブル。オープンは2008年と新しくはないが、レストランの看板はないし入り口も小さく分かりづらい(正面にはなくて、横手にある)こともあって、"知る人ぞ知る店"なのである。
だが中へ入ると、内装はそこここにレトロ感を漂わせているもののかなりモダン。ソファ席あり、テーブル席ありと広々としており、都心にいることを忘れさせてくれる。天井が高く、大きな窓から入るやわらかな光が照明だ。だが客層はやはり都心部らしく、ランチミーティングのビジネスマンや駐在員妻的な雰囲気の外国人女性グループなどでいっぱい。テラス席までほぼ満席というにぎわいぶりだ。
○英国のミシュランシェフが監修
料理は「英国西洋料理」とのことだが、これはシェフが英国人であるということでローストビーフやフィッシュ&チップスの専門店というわけではない。
だが、もちろんカルテにはアンガスビーフやシェファーズパイといった英国ならではの食材や料理が並んでいるほか、英国のミシュランシェフであるトム・エイキンズ氏による監修もされているという。運ばれてくる料理も美しく、ワンランク上を感じさせる。
ランチコースはスターターとメイン、デザートがついて195香港ドル(約3,020円)。ランチでこれならば、夜はさぞやぜいたくなことだろう。記念日など特別な時にもオススメだ。なお、ランチタイムという明確は区切りは設けてなさそうだ。
●やっぱり点心が食べたい! 高級店でお得に食べ放題
そしてもう1軒は、香港のヘリテージビル再開発の代表格「1881ヘリテージ」。読んで字のごとく、1881年に建設された元水上警察をリノベーションした商業施設で、高級ブランドやレストランが入居する。
建物だけでなくその周辺もヨーロッパ調に整備されており、香港きってのオシャレゾーンである。MTRの尖沙咀(チムサアチョイ)駅から徒歩約1分という立地もうれしい。
○観光地の中の穴場的なレストラン
まるで博物館のようなこの建物。中庭へと続く廊下のレトロな空気にうっとりしつつ、開けたその先には広東料理の「隆濤院」の入り口が。隆濤院はホテル「Hullet House Hotel」のメインダイニングで、まるで時が止まったかのような静かなたたずまいが魅力。外の喧騒もここまでは聞こえてこない。ホテルのダイニングゆえか、はたまた平日だからか、ランチタイムにもそれほど多くの客がいるわけでもない、やはり穴場的なレストランである。
内装はモダンチャイニーズ。
落ち着いた雰囲気で大人の空間、といった趣だが子連れでも問題なく入店可能だ。ここでのお目当てはやはり点心。アラカルトと食べ放題から選ぶことができ、メニューの内容はだいたい同じ。だが、食べ放題にはない料理もあるので、どちらにしようかおなかの具合とよく相談する必要がある。ちなみに、この店の人気メニュー「紅粉香檳蝦餃(ロゼシャンパンの海老餃子)」は食べ放題にもあるのでご心配なく。
○オーダー式でいつでもできたて
香港の飲茶というと点心の入ったせいろを山積みにしたカートがテーブルの間を練り歩き、呼び止めて好きなものを注文、というスタイルが多いが、こちらはオーダー式。渡された紙にチェックマークか、ほしいだけ数を書き入れる。
できた順に料理が運ばれてくるが、やはりテーブルいっぱいにせいろが並ぶのを見ると気分がアガる。
2皿目以降は紙に書かなくても「同じものを」と注文すればまた持ってきてもらえるので、常にできたてをいただけるようゆっくりオーダーするのもいいだろう。これだけのロケーションの良さ、高級感、そしてメニューの数々とあって平日のランチ食べ放題は大人ひとり198香港ドル(約3,070円)と、なかなかのお得感だ。
ランチは、平日は11:30~14:00、土日曜日・祝日は入れ替え制で11:00~13:15、13:30~15:30までとなる。なお、土・日曜日のランチは大人ひとり248香港ドル(約3,840円)となる。
香港には手軽に楽しめる下町グルメがいっぱいあるが、「たまにはゆっくりしっとりした時間を」という人は、こんなリノベーションされた空間でレトロモダンなひとときを楽しんでいただければと思う。
※1香港ドル=15.5円で換算。記事中の価格・情報は2015年8月取材時のもの