ドコモ版iPhone、9月25日から国内最速の下り262.5Mbpsが体感可能に
NTTドコモは15日、iPhone 6s/6s Plusの発売に合わせて、現在提供中のLTEネットワーク「PREMIUM 4G」を国内最速の下り最大262.5Mbpsに引き上げると発表した。今秋から、都市部を中心に集中展開する予定。本稿では、都内で開催された記者説明会の模様をお伝えする。
○都市部で下り262.5Mbpsに
記者説明会には、NTTドコモの大松澤清博専務が登壇して概要を説明した。同社では2015年3月にLTE-Advancedを導入、キャリアアグリゲーションによる高速化を実現したPREMIUM 4Gを提供してきた。iPhone 6s/6s Plusが発売される9月25日からは、従来の通信速度を大幅に向上させたPREMIUM 4Gを東京都、愛知県、大阪府、京都府などの大都市を中心に展開する。対応エリアでは、下りの最大速度が従来の225Mbpsから262.5Mbpsへ引き上げられるという。
ドコモでは4つの周波数(2GHz、1.7GHz、1.5GHz、800MHz)から最適な2波を組み合わせる、4通りのキャリアアグリゲーションを提供。
利用者の端末1つ1つの能力とその時々の電波状況に合わせて、基地局(高度化C-RAN)が最適なキャリアアグリゲーションをセレクトするという技術により、利用者にとっては快適さが向上した、ドコモにとっては電波効率が向上したネットワークを構築する。ちなみに前述の下り最大262.5Mbpsのネットワークは、2GHzと1.7GHzの組み合わせで実現させる。
大松澤専務は「単純に電波を切り替える制御とは異なり、直近の電波状況に即したベストセレクトが行われる。端末と基地局の間で情報をやりとりし、いわば”申し合わせて”電波を切り替える。これにより、いつでも快適な通信環境をお客様に提供できる。また、複数の周波数を束ねることでデータを隙間なく送れるため、電波効率が向上する」と説明した。
●年度末にはさらなる高速化
対応エリアは9月末の時点で全都道府県の640都市。2015年度 第4四半期には900都市以上に拡大させる。
また、PREMIUM 4Gに対応した基地局も18,000局に拡大させる予定だ。
大松澤専務によれば、利用者はPREMIUM 4Gにより、最繋時の実効速度が大きく向上したことを体感できるという。ドコモでは、山手線の主要6駅でPREMIUM 4Gの実効速度を計測。その結果、平均して約4倍の速度向上が見込めたとしている。同社では最繋時の平均速度について、都市部では20%向上し、全国では10%向上すると見ている。
○11月には下り300Mbpsに!
今後、ドコモでは4K、8Kといった高画質な動画配信サービスにも対応できるよう、ネットワークのさらなる品質向上に努めていく。その足掛かりとして、2015年11月には3つの周波数(2GHz、1.5GHz、800MHz)を束ねたキャリアアグリゲーション(3CC)による、受信時最大300Mbpsを実現させる。その後、2016年度には3.5GHz帯(TDD)を利用した同370Mbps、2017年度以降にはMIMO(複数のアンテナから異なる信号を同時に送受信する技術)の高度化による同1Gbpsを実現させる方針。
大松澤専務は「最高の快適さを目指す」と言葉に力を込めた。
ドコモでは、技術革新を先導する先進のネットワーク、サービスを進化させる効率的なネットワーク、バランスのよいシンプルなネットワークを実現させると説明。大松澤専務は「これからもドコモのネットワークの進化を期待していただきたい。新しいiPhoneで、最高の快適さをご体験いただければ」と言葉に力を込めた。
○周波数700MHz帯も準備中
記者説明会の最後に、質疑応答の時間がもうけられた。2015年11月から提供予定の、3つの周波数を束ねた3CCで下り最大300Mbpsを実現させるという技術について、新型iPhoneは対応するのか、という質問に大松澤専務は「新型のiPhoneは3CCには対応しない。また、既存のスマートフォン、ルータも対応しない」と回答。今冬モデル以降の端末が、3CCに対応するものと予想される。
新たに取得した周波数700MHz帯の提供開始時期について質問がおよぶと、大松澤専務は「現在、まだ使用している方がいらっしゃる周波数帯なので」と明言を避けた。整備を進めてはいるものの、提供開始時期は依然として不明なようだ。