2021年9月5日 12:30
白石和彌監督、作り手の倫理観が問われる時代に試み…若手とベテランの意識の差も実感
——Me too運動といえば、『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019』で白石監督が、故キム・ギドク監督の作品を上映することについて「公式にコメントを出すべき」と提言されたことが印象に残っていて、今回のような試みと地続きのようにも思いました。
映画祭の役割は色々あって、なかなか観られない映画を上映するのが重要だということもわかるのですが、キム・ギドク監督がどんなことをやっていたのかわかった状況で、世界のどの映画祭でも上映しない中、あえて……というのであれば、説明する義務があるんじゃないかな、と。それからやっぱり、映画祭に参加する若いスタッフや監督、俳優たちが戸惑っているのも感じました。僕はたまたま審査委員長で発言できる立場にあったので、みんな疑問を持っているのだと言っておかないと、というところはありました。
——やはり若い人の方が、そういった意識を持っていると感じますか?
若い人の方が敏感ですよね。色んな人とハラスメントのことを話したけど、業界のベテランはもう、鈍感もいいところだな思うんです。取り残されていると言っても良いし、愕然とすることもあります。
——作品は作品、と思うところもあるのですが、観ている方としては切り離せないところも感じます。