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大学教育は、学生の成長に繋がっているのか - ベネッセ調査

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大学教育は、学生の成長に繋がっているのか - ベネッセ調査
●大学教育改革を、いま見つめ直す
ベネッセホールディングスは9日、「大学での学びと成長に関するふりかえり調査」の発表会を行った。同調査の対象は、23~34歳、40~55歳の日本の短期大学、四年制大学、六年制大学を卒業した1万9,833名。2015年3月12日~13日、5月1日~8日に実施された。

○2020年大学入試改革に向けて、「大学教育」を調査

今回の調査を行った「ベネッセ教育総合研究所」は、社内のシンクタンクとして35年の歴史を持ち、これまで子供の教育に関する研究成果を400本以上世の中に発信している。今回同所は、大学時代の学び、及びその後の成長をテーマに調査した。1990年代以降の大学は、世界的潮流であるユニバーサル化、市場化、グローバル化、日本独自の少子化、長引く景気の低迷、規制緩和といった要因を背景に、様々な制度・組織改革を実施してきたという。

ベネッセ教育総合研究所の所長 谷山和成氏は、調査実施の背景について「2020年に向けて、かつてない大学教育改革の『大学入試改革』が進んでいる。そこで大学生の教育を改めて見つめ直すため、1990年以降の大学教育改革がどうなったのか、この先どのように大学改革を見ていけばいいのか、明らかにするために行った」と語った。


同調査では、「大学教育」と「学びの充実」や「成長実感」、卒業後の「自己効力感」がどのように関連するのかを調べた。調査対象は、教育改善の動きが本格化する前に大学教育を受けた層(40~55歳)と、教育改善の動きが本格化した時代に大学教育を受けた層(23~34歳)の2つの世代とした。

●学生の"成長実感"の裏にあるもの
○大学教育は、学生の"成長実感"につながっているのか

調査を担当した、ベネッセ教育総合研究所 高等教育研究室 研究員の松本留奈氏が今回の結果を発表した。

大学時代全体を通しての成長を聞いたところ、実感したと回答した割合は、23~34歳で、「とても実感した」(19.6%)、「まあ実感した」(57.9%)の合計77.5%となった。一方、40~55歳では、「とても実感した」(19.6%)、「まあ実感した」(57.9%)を合わせた72.5%が「実感した」となり、23~34歳が5.0pt上回った。これを受け、松本氏は「大学改革前後で、多少成長実感が高まっていることがわかります」と解説した。○"主体的な学び"が、成長実感を促す?

大学教育を通した学びの機会を示す6項目に関して、「よくあった」「たまにあった」を合わせて「あった」と回答した割合を世代間で比較した。結果、最多項目となったのは「少人数で学ぶ」。
40~55歳は75.1%、23~34歳は85.7%となり、10.6ptの差があった。「研究テーマの選択において、自主性が尊重される」では、40~55歳は、75.1%だったのに対し、23~34歳は83.4%で8.3ptアップ。「教員と学生とで双方向のやりとりがある」では、40~55歳は75.1%、23~34歳で8.2ptのびていた。

大学時代の主体的な学びが「多い群」と「少ない群」に分け、大学時代全体を通しての成長を実感した(「とても実感した」「まあ実感した」の合計)割合で比較した。卒業生全体において、主体的な学びが「多い群」の成長実感の割合は93.2%だったのに対し、「少ない群」は73.4%で19.8pt差となった。世代別にみると、23~34歳は「多い群」が93.0%に対し、「少ない群」が75.7%と17.3pt差に。一方、40~55歳は「多い群」が93.7%、「少ない群」が70.7%と23.0ptの差をつけた。

●大学教育のこれからとは
○学びの重要性に気付くのは、卒業後!?

大学教育に対して、現在の考えに近いほうを選んでもらった結果を、2012年に大学生4,911名を対象に行った調査の結果とあわせて世代間で比較した。
授業について、「単位をとるのが難しくても、自分の興味のある授業がよい」と回答したのは、2012年の在学生では45.2%だったが、23~34歳の卒業生は70.6%、40~55歳の卒業生は79.3%となった。

また、「学生が自分で調べて発表する演習形式の授業が多いほうがよい」と回答した割合は、2012年の在学生は16.7%、23~34歳の卒業生は42.8%、40~55歳の卒業生は54.2%だった。

「在学中はどうしても楽な方向に流れ受け身の姿勢を取ってしまいがちですが、主体的学びの重要性は、卒業後社会に出て時間が経てば経つほど身にしみてわかるという結果だと考えます。これこそが現代の大学教育の課題です。このギャップを解消していくためには、学生自身が在学中に学びの価値を理解し積極的に学習することが大事だと考えます。」と松本氏。

○これからの大学教育、"教室外"がポイント?

今回の調査の結果から、学生が主体的学びの価値を理解し、積極的に学びに向かう姿勢を持てるような支援の必要性が浮き彫りとなった。同社は、大学教育改革によって、より充実する学びの機会を余すことなく享受するには、学生自身の意識改革が必要だと指摘した。


課題に対し、大学ではどのような取り組みをしていけば良いのか。同調査で監修を務めた、追手門学院大学 学長補佐・アサーティブ研究センター長池田輝政氏は、「大学が提供できるのは、教室内または教室外での学びの支援です。教室内での学びは、大学は理論を実践するものが多く、学生の6割~7割は、そういった学びばかり経験しています。学びをより豊かにするには、学生が課外で色々な経験をするが大事です。大学側としても、教室内と教室外での学びの経験値を重ねていく支援が必要だと考えます。それは教員だけでなく、大学全体が支援しなければいけないと思います」と語った。

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