SIMフリーのおすすめはこれだ! - モバイルルーターの選び方(第5回)
前回まではキャリアから販売されているモバイルルーターを紹介してきたが、世の中にはどのキャリアでも利用できる、SIMフリーのモバイルルーターも販売されている。今回はSIMフリーモバイルルーターの特徴とおすすめ機種について紹介しよう。
○SIMフリーのモバイルルーターとは
もともと国内ではキャリアから販売されるモバイルルーターが中心だったが、海外では現地のSIMに入れ替えられないため、レンタルのモバイルルーターを借りて使う人が多かった。レンタルも便利だが、普段使っているルーターがそのまま持ち出せればもっと便利だし、現地のSIMを使ったほうが通信料も安い。
日本でもMVNOキャリアが徐々に増え、キャリア以外の選択肢が増えてきたこともあり、モバイルルーターでもSIMを自由に入れ替えられるSIMフリーの端末が販売されるようになってきたという経緯がある。
海外での利用を前提とした使い方が主のように見えるが、もちろん、国内でMVNOのSIMと組み合わせて使うのにも利用できる。この場合は型落ちの安くなったルーターと安価なデータ専用プランを組み合わせてコストパフォーマンスを追求するといった使い方もアリだ。
現在販売されているSIMフリーのルーターは、主に3G(W-CDMA)とLTEが使えるものが中心で、WiMAXやAGXPなどの通信方式には対応していない。
古い端末では75Mbpsにしか対応していない場合もあるので、サポートしている速度やWi-Fiの規格については注意したい。
●最強ルーター「MR04LN」
○“最強”一択!
SIMフリーのモバイルルーターはキャリアのモバイルルーターと比べても、さほど数は多くない。基本的には多くのバンドと通信方式に対応したものが、長く使えるため、おすすめだ。
現在販売されている機種のなかで「最強」と謳われているのが、NECの「Aterm MR04LN」だ。最強の理由は、WAN側がLTE-Advanced(Cat.6)対応で下り300Mbpsの通信が可能である点と、LAN(Wi-Fi側)がIEEE 802.11ac対応で、しかも2×2 MIMOの867Mbps通信が可能である点。WANもLANも現行のモバイルルーターでは最高の規格をサポートしているわけだ。LTE-Advancedの300Mbpsは先日NTTドコモが11月に開始すると発表したばかりだが、規格的にはそれと同じものなので、おそらくMR04LNでもファームウェア更新などで使えるようになるはず。9月25日からの、iPhone 6sのみを対象としているという262.5Mbps通信についてはどうなるか不明だが、技術的に対応可能だとしても1~2カ月のみの対応になるので、11月を待って300Mbpsまで飛ばしてしまうかもしれない。
さらに対応するLTEバンド数が非常に多く、日本の3大キャリアが保有する帯域のほとんどをカバーしている(すべての帯域ではない)。実際、ドコモとソフトバンクのSIMはメーカーが公式にサポートしており、明言されていないauのSIMも、使ってみるとちゃんと通信できる(ただし、ユーザーの自己責任という形で)。唯一利用できないのはau回線も利用可能なUQコミュニケーションズのWiMAX 2+用のSIMで、これだけは認識しないが、それを除けばMVNOを含めてほぼ全てのSIMに対応している。
●デュアルSIMスロットも搭載
○至れり尽くせりの「MR04LN」
前述したポイント以外にも「MR04LN」は強みを持っている。デュアルSIMスロットを装備しているのもそのひとつだ。SIMはソフト的に切り替えられるので、スロット1に国内向けのSIMを、スロット2に海外で購入した現地向けのSIMを挿して、切り替えつつ利用できるというわけ。
普通にSIMを挿し替えるのでは、使わないほうのSIMを紛失してしまう恐れがあるが、挿したままにしておけばその心配はない。以前の記事でモバイルルーターに求められる要件をリストアップしたが、そのほぼ全てを網羅している点も“最強”の名にふさわしい。
とにかく至れり尽くせりの「なんでもあり」モデルなので、ほとんどの需要はこの1台で完結してしまうはずだ。強いて弱点を挙げれば価格がやや高め(実売価格で2万円代半ば)なことだが、サポートする規格のことを考慮しても、かなり長く使えそうなことから、割高とはいえないだろう。
SIMフリーのルーターには、このほかにも大容量バッテリーを内蔵しているモデルなどがあるが、迷ったらこの1台にしておけば間違いがない。これ以外の機種を選ぶ場合は、通信速度よりも導入コストなどを優先したい場合と考えておけばいいだろう。