Android界への挑戦状か、はたまた救世主か - Move to iOSの使い勝手をチェック
アップルは同社初のAndroid用アプリとなる「Move to iOS」をGoogle Playで公開した。AndroidからiOSへの環境移行に利用するアプリだが、アップルによるiOS陣営からの「挑戦状」「侵略」と受け取るユーザーも多く、感情的なレビューが横行している。実際のところ、どの程度簡単に移行できるものなのか、普段iOSをメインに使っている筆者が確認してみた。
○何ができるアプリなのか?
スマートフォンには写真やメール/メッセージなど、さまざまな個人的データがたっぷり詰め込まれている。こうしたデータは、iOSならiCloud、AndroidならGoogleの各種クラウドサービスを介して共有したり、ほかの機器に引き継ぐことができるが、異なるプラットフォーム間での移行は、ベテランユーザーでもなかなか面倒臭いものだ。携帯電話キャリアでも、機種変更の際にデータ移行をサービスしてくれる場合、iPhoneだけ別扱いというケースが多い。
Move to iOSはこうしたデータの移行をユーザーに代わってやってくれるアプリだが、移行できるのはメール、写真、連絡先、ブラウザのブックマーク、Googleアカウントだ。アプリそのものやネットワークの設定などは移行できないので、ユーザーが自分でやらねばならない。
今回はシャープの「AQUOS SHL25」からiPhoneへの移行を試してみた。筆者の場合メイン端末はiPhoneで、Androidのほうは画面撮り程度にしか使っていないため、データ量としてはかなり軽めだった。ヘビーユーザーで大量のデータを溜め込んでいる方にはあまり参考にならないかもしれないが、まずは手順を紹介していこう。
●使う上での手順
○Androidにアプリをインストール
まずはAndroid側。こちらはAndroid 4.0以上を搭載した端末が必要だ。Google Playで「Move to iOS」アプリをダウンロードしてインストールしよう。
続いてiPhone側はiOS 9にアップデートした上でリセットして、初回のセットアップ画面にしておく。進めると、「Appとデータ」という画面が出てくるので、ここで「Androidから移行」を選択する。
iPhone側の準備ができたらAndroid側で「Move to iOS」を起動し、あとは画面の指示に従って進めよう。まずアプリを起動したら、「コードを検索」画面まで進んで待機状態にしておく。
次はiPhone側の操作。「続ける」をタップするとiPhoneにコードが表示される。ちなみに、このコードは毎回変わるので、メモする必要はない。今度はAndroid側がコード入力画面になるので、iPhoneを見ながらコードを入力しよう。
コードを入力すると、両社が転送の準備を開始する。
Android側に転送するものが表示されるので、チェックをつけて右上の「次へ」をタップする。
するとデータが転送される。量にもよるが数分から数十分程度かかるので、電源アダプターは接続しておいたほうがいいだろう。
これで転送完了となる。iPhone側はこのあとApple IDの設定などをすれば使い始められる。Android側はアプリを終了して完了だ。
●使い勝手はどう?
○どのデータが転送される?
今回テストした端末には、ブラウザが標準のウェブブラウザとChromeの2種類インストールされていた。また、電話帳はローカルのデータと、Google上のデータを別々に閲覧するタイプだった。いったいどのデータが転送されるのかが気になっていたが、ブラウザは標準のウェブブラウザ、電話帳はローカルに保存したデータがそれぞれ転送された。
また、メールはGmailのアドレスが登録されていたのだが、設定自体は転送されたものの、メールパスワードは転送されず、再入力の必要があった。写真についてはスクリーンショットと合わせてきちんと転送されており、問題はなかったようだ。
冒頭で述べたように、アプリそのものはiOS側に同じものがあっても転送されず、またアプリのデータも転送されない。このあたりは結局自分で転送するしかないため、Move to iOSは電話機として最低限使える状態に持っていけるアプリ、という認識でいいだろう。
なお、Android側から転送されるデータ量が多くiPhone側の容量を上回ってしまう場合、転送中に止まってしまうようだ。この場合はiPhoneのデータを消して再度やり直すしかないようで、事前に容量を比較できるような仕組みがほしかった。
無料の割にはちゃんと機能してくれて、操作もわかりやすく、これといった問題は感じなかった。万が一失敗してもiPhoneをリセットするだけで済むし、Android側は何のデータ汚染もされないので安心感がある。
iPhoneへの乗り換えを考えているAndroidユーザーは、一度試してみてはいかがだろうか。