ビジネスマンのための「スーツに合う財布選び」 - 三越伊勢丹バイヤーに聞く
毎日持ち歩く財布。以前にマイナビニュースで紹介したアンケートでは、非常にたくさんのこだわりポイントが寄せられた。本レポートでは、財布のプロに聞いた「ビジネスマンのための財布の選び方」を紹介する。お話を伺ったのは三越伊勢丹 紳士第一商品部 鞄、革小物 バイヤー 井波亮さん。
井波さんによると、5年ほど前には小さめの財布(いわゆる"チビ財布")、ここ2~3年は3辺にファスナーがついたラウンドジップ財布が注目を集めたそう。カラーは黒が不動の人気を誇るが、ダークグリーンやレッドなどの色物に挑戦する人も多いのだとか。色や形が豊富になった現在は、トレンドを追いかけるよりは個人の好みに準じたセレクトをする人が増えている。
○長財布3種の特徴
続いて、財布の種類ごとの特徴とおすすめポイントを紹介する。
井波さんいわく、「スーツとの組み合わせが最もエレガントに決まるのは長財布」だという。「ジャケットの内ポケットに入れてもシルエットが崩れないもの」という観点からみると、薄型の財布がおすすめだ。ただしシンプルな長財布の中には、小銭が落ちやすかったり、収容量が少ないものもある。持ち歩く中身を厳選した上で、コインケース・カードケース等と併用するのが良さそうだ。
長財布の中でも「ラウンドジップ」タイプは、小銭が落ちることがなく持ち運びも簡単だ。ドレス感があるものは、コーディネートのポイントとしても使えるという。ただし、厚みがあるものは、スーツの内ポケットに入れるとスタイルが崩れてしまうというデメリットも。かばんに入れて持ち歩く、あるいはクラッチバッグのように手持ちで使うとよいだろう。
井波さんに聞いた注目のアイテムは、2辺にファスナーのついた「L字タイプ」の長財布。ラウンドジップより薄く、ジャケットの内ポケットにすっきり収まるのが特徴だ。マチ(※底面の奥行き)無しでも大きく開くため、中身の出し入れがスムーズにできる。また、2辺のファスナーのおかげで、小銭が飛び出す心配もないという。「お会計もスマートに決まります。機能とエレガントさを兼ね備えた、ビジネスシーンにおすすめのアイテムです」(井波さん)。
○2つ折り・マネークリップ
「2つ折り・3つ折り財布」は、パンツのポケットに入れられる持ち運びやすさが最大のメリット。長財布に比べるとカジュアルな印象になるため、普段使いとして活用するのがいいかもしれない。
小銭入れは、小銭があまり入らない薄型長財布と併用する、あるいはコンビニ等ちょっとした買い物のためのワンマイルウォレット(近距離用財布)としての使い方も。最近はカードやお札が入るものもあるので、どんな使い方をしたいかを考えて選びたい。
●革財布の選び方と買い替えの目安
○革財布の選び方とお手入れ
財布を選ぶときに注目したいもう1つのポイントは素材だ。ビジネスパーソンにおすすめなのは、丈夫でエレガントな「革」。財布によく使われる革素材について、代表的な「カーフレザー」と「ブライドルレザー」の2つを紹介する。
キメが細かく柔らかい「カーフレザー」は、生後2~6カ月の子牛の革をなめしたもので、牛革の中でも最高級として知られる。「上質で美しくスーツに合いますが、傷がつきやすいので丁寧に扱う必要があります」(井波さん)。
デイリーユースにおすすめなのは、牛革に蜜ろうなどのワックスを染み込ませた「ブライドルレザー」。
蜜ろうは革に強度を与える役割があり、触ってみるとカーフレザーよりも堅い。多少傷はつくが、普段使いに向いているという。
他にも「コードバン(馬革)」など、一口に「革」といってもたくさんの種類がある。見た目の美しさ、丈夫さ、どのような使い方をするかで選ぶとよいだろう。
なお革財布を使用する場合、表面の乾燥を防ぎ、潤いを与えるケアが必要なものも多い。特に冬は乾燥する季節なので、素材別のクリームで保湿する必要がある。こまめに手入れをすることで、革特有のツヤと美しさが生まれるのだ。
○買い替えのタイミング
最後に、買い替え時の目安を紹介したい。
「そろそろ替え時?」という判断基準の1つとなるのが、裁断面と折りたたみ部分のダメージだ。ちなみに革の裁断面を専門用語で「コバ」、革を内側に折り返して裁断面を包んだ製法を「ヘリ返し」と呼ぶ。
井波さんによると、折りたたみ部分はダメージが現れやすい箇所だそう。ここの破れや汚れは案外目立つので、この部分がボロボロになってきたら買い替えを考えるタイミングと言える。
○おわりに
以上、「スーツに合う財布」というテーマでプロに聞いた財布の選び方を紹介した。「財布はお金の寝床」という言葉もあるように、お金にとって居心地の良い環境を作ることはお金を貯める第一歩とも言える。自分にとってベストな財布を見つけ、仕事もお金の管理もビシっと決めたいものだ。