2015年10月5日 15:48
東京医科歯科大学、運動中の突然死に関連する新遺伝子を同定と発表
東京医科歯科大学はこのほど、同大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野の古川哲史教授らの研究グループが、国立循環器病研究センターや理化学研究所などとの共同研究によって、運動中の突然死に関連する新たな遺伝子をつきとめたことを明らかにした。
マラソンなどの運動中において、約1万人に1人の頻度で突然死が発生しており、その原因としては肥大型心筋症などの遺伝性疾患の関与が知られている。心臓に一見異常がない人でも、運動時の突然死は同程度の頻度で見られるが、その原因はほとんど分かっていないという。
心臓には、静脈から血液を受け取る心房と動脈に血液を送り出す心室があるが、そのメカニズムは異なっている。心房は下方に位置する心室に血液を送るため、電気信号が上から下に伝わるが、心室は上方にある大動脈・肺動脈に血液を送り出すため、下から上に伝わる。
この電気信号伝達の逆転を可能にしているのが、心室に特異的に存在する細胞集団・His-Purkinje系だ。多くの臨床データが、致死的な不整脈の発生にHis-Purkinje系が関与することを示唆しているが、その機序はほとんど分かっていなかった。
そこで、致死的不整脈とHis-Purkinje系の関係を明らかにするため、His-Purkinje系に選択的に発現する遺伝子・IRX3と不整脈の関連性を検討。