オーディオテクニカ、新製品を大量発表 - 低音重視「SOLID BASS」のハイレゾヘッドホンなど19製品
オーディオテクニカは10月8日、新製品発表会「audio-techinica experience」を開催。ハイレゾ対応ヘッドホンなど19製品を初公開した。発表会には音楽評論家でラジオパーソナリティのピーター・バラカンさんが登場。試聴ブースではアナログレコードとハイレゾ音源の聴き比べを行うなど、会場に集った関係者を大いにうならせる内容となっていた。
今回発表されたのは、低音重視の「SOLID BASS」シリーズから8製品、プロ向けの「ART MONITOR」シリーズから4製品、「EARSUIT」シリーズから2製品。特にSOLID BASSシリーズとART MONITORシリーズはフルモデルチェンジとなり、ハイレゾ対応プロダクトを投入している。
○ヘッドホン販売台数6年連続ナンバーワン
発表会ではまず、オーディオテクニカ 代表取締役社長 松下和雄氏が登壇。ヘッドホン発売から40周年を迎えたオーディオテクニカの取り組みと近況を語った。
同社はヘッドホンの国内販売台数において、6年連続で首位を獲得。松下氏は「ハイレゾ需要の高まりを感じていると同時に、アナログ音源も脚光を浴びている」とし、アナログとハイレゾという相反する高音質オーディオに注力する姿勢を表明。実際に今回の新製品にも、ハイレゾ対応ヘッドホンとアナログレコード用のカートリッジを投入した。アナログ関連製品は今後も開発を続けていくとのこと。
○ヘッドホン2シリーズをフルモデルチェンジ
ART MONITORシリーズは、ドライバーユニットを全面改良し「ATH-A2000Z」「ATH-A1000Z」「ATH-900Z」「ATH-A500Z」をラインナップ。ウイングサポートを改良し装着感を向上させている。また、立体縫製のイヤーパッドを使用することで、長時間リスニングの際も疲れにくい。ハイクラスのATH-A2000Zには国内の職人が丹念に作ったアルミハウジングを採用し、音の駆動力を大幅に改善している。
高いファッション性と高音質を両立させたEARSUITシリーズでは、ATH-ESW9の後継「ATH-ESW950」と、ATH-ES700の後継「ATH-ES750」を発表。EARSUITシリーズは、男性がスーツ姿で装着しても違和感がないようシックなデザインを採用。ハイレゾ音源を再生できるほか、リケーブルに対応している。ATH-ESW950は音響特性に優れたシカモア材を使用。繊細なサウンドを再現する。
そして、今回特に力が入っているSOLID BASSシリーズは、オーディオテクニカのイメージを「中高域が良く伸び、解像度が高い」というものに変革した、重低音強化ラインだ。SOLID BASSシリーズからは、ヘッドホン3機種、イヤホン4機種を発表した。
ヘッドホン、イヤホンともに重低音を犠牲にせずハイレゾを楽しむため、新設計の専用ドライバーを搭載。
また、最上位イヤホン「ATH-CKS1100」には2カ所のチャンバー(空気室)を設けることで、きょう体内部の空気をコントロールしている。
●ピーター・バラカンさん登場
○ピーター・バラカンさん登場
発表会の終盤では、ゲストとして音楽評論家でラジオパーソナリティのピーター・バラカンさんが登場。アナログオーディオへの思いを語った。
パーソナリティを務めるラジオの「名盤片面」コーナーで、アナログレコードの名曲をリスナーに届けているバラカンさん。CDに比べて曲送りに手間がかかるのは「面倒」としながらも、音楽を丁寧に聴くようになること、時間に余裕を持って聴けることがアナログレコードの魅力であるという。
また、現在のアナログ再浮上について「ブームでは終わらないだろう」と分析。実際に、アナログオーディオに触れたことがなかった若者が、その音質のよさに気づくシーンを何度か目撃してきたという。ハイエンドなプレーヤーだけでなく、「コンシューマー向けの手が届くアナログオーディオ製品が充実してくれれば」と、メーカーに普及価格帯の製品をリクエストする場面もあった。
○SOLID BASS最上位モデルを試聴
発表会後に開放された試聴ブースでは、発表されたばかりの新製品をさっそく手に取ることができた。筆者はSOLID BASSシリーズの最上位ヘッドホン「ATH-WS1100」と同じく最上位のイヤホン「ATH-CKS1100」を、FiiOのポータブルプレーヤー「X5」とオーディオテクニカのポタアン「AT-PHA100」につないだ状態で試聴した。
低域の重厚感にフォーカスされがちなSOLID BASSシリーズだが、ヘッドホン・イヤホンともに高域も伸びる。特にヘッドホンATH-WS1100は、ボーカルのかすれ声や息づかいが繊細に表現されていた。イヤホンATH-CKS1100は、低域のキレがよくスピード感が高い印象。それでいて重厚感があるので、力強く伸びる高域をきちんと支えられている。リズムセクションの量感が重ためで、ロックバンドの演奏とマッチしていた。