シャープ、幅60cmのスリム冷蔵庫 - 大容量冷凍庫「メガフリーザー」は買い物カゴ4個分
シャープは10月15日、プラズマクラスター冷蔵庫の新製品として、大容量冷凍室「メガフリーザー」を搭載する定格内容積410Lの「SJ-GT41B」を発表した。発売は11月19日。価格はオープンで、推定市場価格は税別260,000円前後。本稿では、同日に開催された製品発表会の様子をレポートする。
○より多くの人へメガフリーザーを
最大の特徴は、幅60cm、容量410Lという冷蔵庫のクラスで最高となる、150Lの大容量冷凍室を実現している点。冷却ユニットのコンパクト化や庫内レイアウトの効率化を図ったことによって、同等クラスの前年度機種と比較すると、冷凍室の容量は126Lから約20%アップ。買い物カゴでいうと、従来は約3個分しか入らなかったが、約4個分の食品を収納できるようになった。
シャープは2014年に初めて、冷凍庫の容量アップを図った「メガフリーザー」と呼ばれる冷蔵庫「SJ-GT50A」「SJ-GT47A」の2機種を発売した。
いずれも横幅は68.5cmで、定格内容積は501L、474Lと大型。今回発表された新モデルは、それより小さい410Lでメガフリーザ―のコンセプトを実現しており、さらに多くのユーザーの要望に応える。
冷凍室の容量アップのために、先述の第1弾製品でも冷蔵・冷凍室の配置が見直されていた。SJ-GT41Bは第1弾製品のレイアウトを踏襲せず、幅60cm用に最適化。これまで最下段に配置することが多かった野菜室を、上段の冷蔵室内に一体化させ、中段左側を製氷室、中段右側を浅型冷凍室、最下段を深型の大容量冷凍室にした。
下段にある深型の冷凍室こそがメガフリーザーで、さらに3段の冷凍ケースに分かれている。1番上にある深さ約15cmの冷凍ケースには、メガフリーザー初代モデルから引き続き、「4切り(しきり)名人」を採用。冷凍ケース内を自由に区切り、積み重ねていきがちな冷凍食品を立てて収納できるため、見やすく取り出しやすい。
そのうえ、収納量は約20%増加する。
2段目のフリージングケースは深さ約6cmで、魚の切り身や冷凍ご飯、カップアイスなどを、3段目の大物ケースは深さ約21cmで、箱に入ったアイス、冷凍ピザなどを収納するのに適している。メガフリーザーは、安定した低温をキープして冷凍やけを防ぐ「新鮮冷凍」を搭載しているのも特徴だ。○野菜室を冷蔵室内へ一体化
冷蔵室内に集約された「シャキット野菜室」は、浅型と深型の上下2段に分かれ、小さなものから大きなものまで見やすく、整理しやすくなっている。さらに、野菜に直接風を当てない「高湿シールド構造」を採用。乾燥を防いで鮮度を保つほか、Ag+イオン加工が施されており、雑菌の繁殖も抑える。野菜室専用のLED照明も装備し、奥まで見やすいよう配慮されている。
このような大きな配置変更により、冷蔵室の高さが床面から約84cmと低めの「出し入れラクラクライン」も実現している。
開閉する頻度の高い冷蔵室の高さが、平均的な身長の女性の腰位置よりも低くなったことで、大物野菜やペットボトルなど重いものも取り出しやすい。
SJ-GT41Bにはサイズごと4段に分けて調味料を収納できる「段々スパイスラック」が付属。サイズがバラバラで整理しにくい冷蔵庫内の調味料・スパイスを見やすく、取り出しやすく収納できる。
○トレンドを反映したカラバリ
発表会でプレゼンテーションを行った、シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンパニー 健康・環境システム事業本部 メジャーアプライアンス事業部 国内商品企画部の山本愛子氏は、「今回はシステムキッチンに美しくフィットするようなカラーをそろえた。システムキッチンは5つの色調に大別される。その5パターンいずれかに調和するようなラインナップを考えた」とする。
●設置幅が限られていても大きな冷凍室がほしい
○ジャンル確立を目指す
シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンパニー 健康・環境システム事業本部 メジャーアプライアンス事業部長の菅原靖文氏は、「2014年度にメガフリーザーを新規投入し、潜在需要の掘り起こしを図った。推定では、幅65cm以上のいわゆる大容量冷蔵庫の需要は約37万台。
これに対して、2人以上世帯向け(容量400L前後)の冷蔵庫需要は212万台。今回の新製品は、ラインナップの拡充により、『メガフリーザー』というジャンルを市場で確立していくのがねらい。2人以上世帯向けのなかでも幅60cmクラスの冷蔵庫需要は75万台と予想しており、この層に向けて今回の新製品を投入する」と戦略を説明。新たなラインナップの投入により、「メガフリーザー元年」の2015年度(2014年10月~2015年9月)と比較して、2016年度では2.5倍の販売台数を目指すという。○人気を集めるメガフリーザー
第1弾メガフリーザーの購入者256人を対象に行ったアンケート結果によると、購入の決め手で最も多かったのは「メガフリーザー」。62.6%の人が決め手として挙げており、以下は「野菜室が真ん中」が40.0%、「プラズマクラスター」が37.4%の順で続く。
さらに、冷凍室容量を重視して冷蔵庫を買い替えた209人に対して独自に行った別調査では、幅60cmのスリムタイプ冷蔵庫のユーザーのうち、60%が容量不足を感じているとのこと。冷蔵庫の幅が大きくなればなるほど不満度は下がる傾向にあり、60cmを購入した層で最も不満度が高かった。
設置スペースなどの都合上、幅60cmのスリムタイプ冷蔵庫しか置けない消費者は、全体の約35%を占めるとシャープは推定。35%がスリムタイプを選ばざるを得ない現状がある一方、幅60cmで大容量の冷凍室を備えた製品はこれまで存在しなかったといい、「今回のSJ-GT41Bでニーズに応えたい」と菅原氏は意気込む。加えて、「基本性能の向上、使い勝手の進化、デザインの強化も合わせて行い、独自性を高めることで、メガフリーザ―の商品価値向上に努めた」と、開発での注力ポイントについて明かした。