ダイソンのロボット掃除機「360 Eye」ついに発売 - 吸引力もナビも「死角なし」
ダイソンは10月21日、「ダイソン 360 Eye ロボット掃除機」(以下、360 Eye ロボット掃除機)を正式に発表した。ダイソンの旗艦店「Dyson表参道」では10月23日、量販店では26日に発売する。価格はオープンで、推定市場価格は税別138,000円前後だ。世界に先がけてまず日本で発売する。
360 Eye ロボット掃除機は2014年9月に発表されていたロボット掃除機。発表当初は2015年春に発売する予定だったが、日本の住環境に合わせて調整をしていた関係上、10月下旬にずれ込んだ。
ロボット掃除機で肝要となるナビゲーションシステムには、カメラを用いた「360°ビジョンシステム」を採用。天面に配置されたカメラで、360度見渡しながら周囲の環境を把握する。
カメラは秒間最大30コマの撮影が可能で、その情報をもとに詳細な間取り図を作っていく。シャッタースピードとロボット掃除機の移動速度は連動しており、現在位置やまだ掃除が完了していない部分を正確に把握できるという。赤外線センサーにより障害物を回避する仕組みだ。360°ビジョンシステムで室内を規則正しく、効率良く掃除していく。
掃除面については、これまでダイソンが掃除機で培ってきた技術を惜しみなく投入している。毎分最大78,000回転する「ダイソン デジタルモーター V2」は、小型軽量ながらパワフルなモーターで、吸引力と小回りのきくボディを両立。ボディと同じ幅(230mm)のブラシバーは、カーボンファイバーブラシ(黒)と硬いナイロンブラシ(赤)で構成される。カーボンファイバーブラシが静電気の発生を抑えながらフローリングのゴミを除去し、ナイロンブラシがじゅうたんなどに入り込んだゴミをかき出す。
吸い取ったゴミは、ダイソン独自の「ラジアルルートサイクロンテクノロジー」によって空気と分離。0.5ミクロンの微細なゴミまでキャッチできる。
360 Eye ロボット掃除機は、ダイソンで初めてクラウド連携に対応した製品でもある。無料の専用アプリ「Dyson Link」をインストールしたスマートフォンやタブレットを通じて、外出先からでも360 Eye ロボット掃除機を操作したり、掃除スケジュールを設定したり、実際に掃除したルートを確認したりできる。サイズはW230×D242×H120mm、重量は2.42kg。ダストボックス容量は0.33L。約2.75時間でフル充電され、最大で約45分の連続運転が可能だ。掃除中にバッテリー残量が少なくなった場合は、自動で充電ドックに戻り、充電完了後は再び中断した箇所から掃除を始める。
カラーはニッケル/ブルーとニッケル/フューシャの2色。
次ページでは、開発に携わった、ダイソンのマイク オールドレッド氏も登場した製品発表会についてレポートする。
●規則正しく、効率良く
発表会には、ダイソンのマイク オールドレッド氏が登壇。フローリングやカーペット上に重曹をまいて、360 Eye ロボット掃除機の集じん力を見るためのデモンストレーションも行われた。
○ロボット掃除機でも掃除性能ありき
マイク オールドレッド氏はこれまで、17年間かけてロボット掃除機の開発に携わってきた。会場には、ダイソンが手がけた初代のロボット掃除機「DC06」も展示。DC06はすでに規則正しく掃除できたが、多くのバッテリーやセンサーを積んでおり、主にセンサーのコストがかさんだ結果、製品化にはこぎつけられなかった。そこで考えたのが、ビジュアル(カメラ)でナビゲーションをするシステムを持つロボット掃除機だった。
これまでサイクロン掃除機を数々手がけてきたダイソンは、ロボット掃除機を開発する際も「まずは掃除性能ありき」だと考えていたそうだ。マイク オールドレッド氏は「パッと見はごく一般的なロボット掃除機かもしれないが、中身の、特に掃除に関する技術は他のメーカーとはちがう」と強調している。日本では背の高さ10cm以下のロボット掃除機が多いが、360 Eye ロボット掃除機は12cmとわずかに高い。しかし、この高さは「妥協せずに」サイクロン技術を搭載するために必要だったとか。高さはあるものの、幅が小さいため小回りがきき、狭い場所にも入り込めるのが強みだという。
○「死角なし」のナビゲーション
360 Eye ロボット掃除機のナビゲーションには、一度に360度を見渡せるカメラを用いている。カメラで得た画像情報から「自分が今どこにいるのか?」、赤外線センサーで得た障害物情報から「何があるのか?」を把握し、最適なルートを選ぶ。掃除している途中で出合った障害物に目印を付けていくので、一度掃除した箇所には戻らない。
そのため、効率良く掃除できるとする。
ランダムにではなく、規則正しく四角を描きながら掃除し、360 Eye ロボット掃除機がたどったルートはスマートフォン向けアプリ「Dyson Link」から確認可能だ。マイク オールドレッド氏は、「360 Eye ロボット掃除機の動きは人間から見ると、ヘンに思えるかもしれない。だから、きちんと掃除していると信じてもらえるよう、どこを掃除したかアプリで確認できるようにした」と説明した。なお、今回実現された360°ビジョンシステムは、今後他のプロダクトにも活用できると考えているそうだ。
○ロボット掃除機をもっとメジャーに
2015年春発売という予定から遅れた理由について、マイク オールドレッド氏は「英国でテストしたときには問題なかったのだが、日本でテストした際に玄関から落っこちてしまうという問題があった。日本の玄関に合わせるために時間がかかってしまった」と語った。ダイソンが日本市場をいかに重視しているかを物語るエピソードでもある。
そのほか、運転音について日本のモニターから不満が寄せられたため、大きなデザイン変更に踏み切ったことも明かした。今後も、ユーザーからの声を反映したアップデートは随時行っていくそうだ。
日本の掃除機市場において、ロボット掃除機が占める割合はわずか4%。マイク オールドレッド氏は「ロボット掃除機市場自体をさらに拡大していきたい」と意欲を見せた。