空気階段「幸せな気持ちになってもらいたい」 貫くポリシーやKOC優勝後の変化を語る
●KOC優勝で仕事増「こんなことになるなんて」 タクシー移動に喜び
コント日本一を決める『キングオブコント2021』で優勝したお笑いコンビ・空気階段(鈴木もぐら、水川かたまり)にインタビュー。優勝特需に沸いている今の状況や、お笑いにおいて大切にしていること、また、俳優業への挑戦などについて話を聞いた。
『キングオブコント2021』のファーストステージで歴代最高得点となる486点を記録し、3年連続3回目の決勝進出で14代目キングに輝いた空気階段。優勝後、さまざまなテレビ番組に出演し、レギュラー番組『空気階段の空気観察』(テレビ朝日)もスタートした。11月12日には、2人が出演する映画『たまの映像詩集渚のバイセコー』が公開。インタビュー当日もスケジュールが詰まっていた2人は、取材部屋で慌ただしくマクドナルドのハンバーガーを昼食として食べてから取材に応じてくれた。
――優勝後の変化をどう感じていますか?
もぐら:こんなことになるなんて。たくさんお仕事をいただけてうれしいです。
かたまり:マクドナルドをこんなに急いで食べることなんて今までなかったですから。でも、どんな状況でもマクドナルドはおいしいです(笑)
――優勝後、何が一番うれしかったですか?
もぐら:僕は『くずパチ』(YouTubeで配信中のパチンコ・パチスロ実戦バラエティ番組)を辞めなくてよかったというのが大きいですね。あと、ゴールデンの番組にも出させていただくようになりましたし、情報番組にも出させていただけてうれしいです。
かたまり:全部うれしいですけど、タクシーで移動させてもらえるようになったのはとてもうれしいですね。今まで基本的には電車で、間に合わないときはタクシーを使っていいという形でしたが、今はたくさんお仕事をいただくのでタクシーじゃないと間に合わないという感じになっていまして。
――吉本さんは、賞レースで優勝するとグリーン車になるという話も聞きますが。
もぐら:これはまだ決まってないです。チャンピオンはグリーン車という慣例があると僕も聞いたことあるので期待ですね。
かたまり:期待しています!
――ファンの方からの反響も感じていますか?
もぐら:優勝した直後のライブは、「おめでとう」という空気がありました。かたまり:拍手が大きくて長かったですね。街中で『おめでとう』とお声がけいただくこともあり、うれしいです。
――空気階段さんのお笑いとして、貫いているポリシーはありますか?
かたまり:明確なものはないですが、自分が客席で見て笑えるものというのは前提としてあるのかなと思います。
――ハッピーエンドを意識されているというお話を聞いたこともあるのですが、そこは大切にしているポイントなのでしょうか。
かたまり:そうですね。目的は笑ってもらうことなので、後味悪いことはやりたくないなと。見て幸せな気持ちになってもらいたいという思いはあります。
――もぐらさんはいかがですか?
もぐら:子供からお年寄りまで楽しんでいただけるものを目指しています。
――『キングオブコント』決勝進出が決まったときのインタビューで、今年はファミリー層が多い東京以外の劇場でウケがよく、アットホームさに磨きがかかっていると話されていましたが、目指している方向性に進化しているということですよね。
もぐら:ファミリー層の方たちがウケてくれるようになったのはうれしかったですね。
――ファミリー層にウケるようになったきっかけはありますか? ネタを意識的に変えたのでしょうか?
もぐら:“ファミリー層”という石で僕らをバンバン殴ってもらった結果、丸くなったんじゃないですか(笑)
かたまり:尖がっていたり、いびつだったものが、“ファミリー層”という石のおかげで、ファミリーに見やすいものになったのだと思います。
――その変化がやはり、『キングオブコント』の優勝につながったと感じていますか?
もぐら:そうですね。ファミリー層の方たちにも笑っていただけるようになり、これはいけるなという確信があったので。
――『キングオブコント』優勝を目指す中で大事な基盤ができたようですが、今後もファミリー層を意識されていくんですね。
かたまり:はい。
劇場に見に来てくださる皆さんに笑ってもらいたいですから。
●俳優業にも挑戦「コントの芝居とは全然違って難しい」
――優勝で注目度が高まっている中、吉本興業と岡山県玉野市がタッグを組んだ映画『たまの映像詩集渚のバイセコー』も公開に。かたまりさんは玉野育ちの浩、もぐらさんは東京から玉野へ移住した拓を演じられましたが、いかがでしたか?
かたまり:僕は岡山県出身で、仕事で地元に帰ったのが始めてだったのでそれがすごくうれしかったです。撮影場所も子供の頃から行っていた馴染みのある場所で、映画の仕事で行けるというのは喜びもひとしおでした。
もぐら:遠いところで仕事するって、それだけでテンション上がるじゃないですか。そのワクワク感もあって、楽しく撮影させていただきました。この映画は、日本だけでなく、全世界の人に見てほしいです。ジャパンのビューティフルな景色も見どころなので。
ちょっとルー(大柴)さんっぽくなってしまいましたけど(笑)
――近年、俳優として活躍される芸人の方も多いですが、お二人は演技に対してどのように感じていますか?
かたまり:コントで演技はやってきていますが、全然違います。コントの演技は人を笑わすことが目的で、そこに向けた芝居になりますが、俳優としての芝居は、感動させる、泣かせるなど目的がいろいろあり、その中での演技というのは難しいです。
もぐら:コントはいかに笑わせられるかというのが技術になりますが、俳優としての演技はそうではない。これまでやってきたこととは全然違い、未知の世界です。
――俳優としての演技の面白さはどう感じていますか?
もぐら:面白さはコントと同じで、自分とは違う人を演じるというところかなと思います。
かたまり:舞台という空間ではなく、外で撮影するのも楽しいなと。今回の映画ではヤギも出てきて、ヤギかわいかったですね~。
もぐら:元気なギーヤーがね(笑)
――もぐらさんは現在放送中のTBS日曜劇場『日本沈没』にも居酒屋の店長役で抜てきされました。
俳優としても注目度が高まりそうですね。
もぐら:いや~、なぜ『日本沈没』で僕に声がかかったのか謎ですよ。店長っぽいということで選んでいただけたんですかね。吉本の力が働いているのか、リスナーの仕業なのか。「なんでこの仕事?」と思ったら、リスナーの方が関わっていたというのもありますから。
――いろんなところに『空気階段の踊り場』(TBSラジオ)のリスナーの方が潜んでいるわけですね。
かたまり:はい。「なぜ僕らなんだろう?」と思っていたら、「いつもラジオ聞いてます」って言われることがあるんです。
――『たまの映像詩集渚のバイセコー』では競輪に行くシーンが描かれます。ギャンブル好きのもぐらさんにぴったりだなと感じましたが、ご自身は今後もギャンブルは続けていくのでしょうか?
もぐら:奥さんがなんて言うかですね。仕事ではやっていいと言われているんですけど、プライベートではどうなるんだろうという状況です。状況は芳しくないですけど、引き続き交渉していこうと思います。
かたまり:プライベートでも続けてますけどね。
もぐら:いえいえ、仕事では! ですよ!
――今年『キングオブコント』に出場したタイミングでは、借金550万円とのことでした。かたまりさんは、もぐらさんがギャンブルを続けて莫大な借金を抱えたらどうしようと心配になりますか?
かたまり:さすがにそれはないと思っています。1人だったらあるかもですけど、息子2人いて家庭崩壊するようなかけ方はさすがにしないかなと。
もぐら:そんなことはしません!
●もぐら、かたまりの両親から小遣い「僕にとってもパパとママ」
――相方がかたまりさん、もぐらさんでよかったなとお互い感じていることも教えてください。
かたまり:時々重い物を持ってくれるところでしょうか。僕はあまり腕力がないので、持ってくれるのはありがたいなと。
もぐら:親父さんとお母さんが、会うたびに小遣いをくれるんですよ。最高です(笑)
――かたまりさんのご両親がもぐらさんに?
もぐら:そうです! 僕ももう息子ってことなんだなって思っています。
かたまり:お金あげてますね。我が家で一番無駄な出費です。
もぐら:優勝してからまだパパとママに会えていないので、早く会ってねぎらっていただきたいなと(笑)
――ご両親の優しさがわかりましたが、かたまりさんご本人の魅力という点ではいかがでしょうか?
もぐら:そういう両親を持っているということです。僕にとってもパパとママになりました。このインタビューをパパとママが読んでくれることを願います!
――念願だった『キングオブコント』優勝を果たされ、今後についてはどのように考えていますか?
かたまり:単独ライブ全国ツアーをずっと目標にしていたのでそれを実現したいというのと、ラジオ(『空気階段の踊り場』)もめちゃめちゃ活動の軸なので、引き続きという感じですね。劇場とラジオを軸に、新しいお仕事もいただけているので、いろいろやっていけたら。とにかく楽しくやっていきたいと思っています。
■空気階段
水川かたまりと鈴木もぐらによるお笑いコンビ。東京NSC17期。2011年に結成。独特な世界観の実力派コント師として知られ、『キングオブコント2021』で優勝。TBSラジオ『空気階段の踊り場』、テレビ朝日『空気階段の空気観察』にレギュラー出演中。俳優として映画『劇場版 ほんとうにあった怖い話~事故物件芸人2~』(2021)やフジテレビ『イチケイのカラス』(2021)などにも出演している。