ドコモ加藤社長、「プラス200億円は狙える」とスマートライフ領域に期待
NTTドコモは30日、2015年度第2四半期決算を発表した。昨年、新料金プランの導入により1,000億円を超える大幅な減収減益となった同社だが、今期は回復傾向にあるようだ。本稿では、質疑応答における加藤薫社長の発言などを中心に紹介していく。
○もう少し上を目指す!
第2四半期は、対前年同期比で増収増益となった。加藤社長は、都内で開催された決算発表会の中で「昨年は新料金プランで減収減益となったが、今期は回復傾向が継続している。10月7日には、その新料金プランの契約者数が2,400万契約を突破した。でも我々の目指すところは、もう少し上」と話している。
○新事業領域で+200億円
スマートライフ領域の成長が、業績の回復に貢献している。
同社によれば、コンテンツサービス(dマーケットなど)、金融・決済サービス(クレジットサービスなど)が伸びているという。
dマーケットの中で大きなウェイトを占めるのが「dTV」。契約者数は、9月末の時点で476万契約に達しているという。一方で、最近ではNetflix、Huluなどに代表される他社のサービスが伸びている。これについて聞かれると、加藤社長は「各サービスとも、コンテンツが魅力的。世界的に見ても、大きな市場になってきている。私どもも、4年ほど前からdビデオ(後のdTV)を頑張ってきた。現在、500万弱の契約者がいる。
dTVのコンテンツ数は世界でも有数。今後、これをさらに充実していく。他社サービスは良いライバルと考えている。お互いに切磋琢磨していければ」と回答した。
金融・決済サービスに関して、NTTドコモでは日本生命保険と保険事業で業務提携している。そこで金融決済サービスへの期待感を聞かれると、加藤社長は「私たちは、保険は素人。ニッセイさんのお力をお借りしながら進める。突然、全てのドコモショップで保険事業を始めるわけではなく、意欲のあるショップで用意が整い次第、スモールスタートする。
お客様の通信料金と一緒に徴収すれば、お客様にとっても便利になる。これらの効果も加味すると、スマートライフ領域でプラス200億円は狙えると考えている。来月には発表できると思うが、金融決済の仕組みをベースに、dポイントを絡めたコラボレーションなども考えている」と明かした。ちなみに、上半期におけるスマートライフ領域の増益の約3割は、こうした決済サービスが寄与しているという。
●利用料金はどうなるのか
○利用料金は安くなる?
携帯電話の利用料金の見直しに関して、政府ではタスクフォースを開いて議論を進めている。この件に絡み、記者からもっと低容量のプランも提供した方が良いのでは、と提案された加藤社長は「まだ議論の行方が分からない。ドコモでは昨年、新料金プランを出した。長期利用の方々に喜んでいただける、家族でパケットをシェアしてもらえる、時間を気にせず通話できる、などの仕組みなどを導入した。
これまでも、サービスに何が足りないか、ということは常々考えてきた。今後とも、どのようなことがポイントとなるか見極めながら検討を進めていきたい」と回答した。
9月25日に開始した「カケホーダイライト」。より安価に利用できる料金プランだが、加藤社長によれば契約者の伸びは想定内で、収支に与える影響は限定的だという。この理由について聞かれると、同氏は「カケホライトを選んでいるのは、いまのところ新規契約者の約3割にとどまっているので」と説明している。
タスクフォースでは、2年契約の見直しについても議論されている。この件について聞かれると「ドコモでは、色いろなことを考えている。そう遠くない時期に、お話できるのではないか」と話した。
○MVNO、スマホの買い換えサイクル
純増に占めるMVNOの比率を聞かれると、「純増の半分くらい、と思っていただければ。いわゆる、格安、というキーワードで、サービスの多様化に寄与してもらっている。今後とも、お客様の選択肢がどう広がるかを見極めて協調、競争していきたい」と回答した。
MNP改善の要因について聞かれると、加藤社長は「端末のラインナップで良いものを揃えられた。一方で、不健全なキャッシュバックをしない、という決意をお客様にも理解してもらえている。油断せず、さらにお客様の要望に応えていきたい」と回答。また、総販売数が伸びているが、スマホ、タブレット以外にガラケー、ガラホも伸びているのか、と聞かれると「モジュール系、MVNOも含まれている」と回答した。
利用者はスマホ1台を何か月くらい使っているのか、と聞かれると「買い換えサイクルは少し伸びている。
機能、性能の面、新しいスマホの魅力などで、そうなっているのかなと思っている」と回答。具体的には、従来は24か月ほどだったが、ここ最近では29か月~30か月くらいに伸びているという。