2015年のグッドデザイン賞の大賞候補を発表 - 受賞作が一堂に会する「G展」も開幕
公益財団法人日本デザイン振興会主催の「グッドデザイン賞」の2015年度特別賞と大賞候補が10月30日、発表された。ここでは、同日に行われた記者発表会、および同日から開幕した「GOOD DESIGN EXHIBIYION 2015(G展)」の展示の様子をお届けする。
○そもそも、グッドデザイン賞とは? 概要をおさらい
グッドデザイン賞は、1957年に当時の通商産業省(現・経済産業省)が創設した「グッドデザイン商品選定制度」が母体のデザインの推奨制度。日用雑貨から家電などの工業製品や建築物といった製品は構造物だけでなく、ソフトウェアやサービス、取り組みなどあらゆる物事を対象とし、これまでに受賞総数4万件を超える、世界でも有数の規模と歴史を持つデザイン賞だ。受賞したデザインには"Gマーク"を付けられることでも知られている。
審査は、毎年春の応募から書類による一次審査、現物による二次審査を経て、まずは「グッドデザイン・ベスト100」が選出され、さらにその中から特別賞が選ばれる仕組み。審査員には日本のデザイン界を代表するデザイナーや建築家など約80人で構成される審査委員会で行われる。
○今年の「グッドデザイン・ベスト100」一例
今年の応募総数は3,658点。
9月28日に、その中からまずは1,337点が2015年度グッドデザイン賞として選出され、このほど審査委員会の協議により、5つの部門の特別賞が計50点決定し、発表された。
まずは「グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)」は19点が選出。時代的課題をより高度に解決した質の高いデザインに送られる賞で、身近なところではパイロットコーポレーションのボールペン「フリクション」やパンをスチームで焼き上げるバルミューダの「ザ・トースター」、4月8日に開港した成田国際空港第3ターミナルのプロジェクトなどが受賞した。
○「グッドデザイン金賞」一例
その他には、中小企業の浴的な取り組みを顕彰する「ものづくりデザイン賞」(9点)、地域活性化をめざす総合的な取り組みに授与される「地域づくりデザイン賞」(4点)、来るべき社会の礎を築くデザインに与えられる「未来づくりデザイン賞」(17点)、震災復興に寄与するデザインを表彰する「復興デザイン賞」(1点)の各特別賞が発表された。○「グッドデザイン・ものづくりデザイン賞」一例
また、グッドデザイン賞の最高の栄誉にあたる「グッドデザイン大賞」の候補8点も合わせて公表された。同賞は、審査員、グッドデザイン賞受賞者、および11月4日まで開催される「グッドデザイン賞の展示会場内で受け付ける来場者の投票(投票受付は11月3日まで。4日に結果発表)により決定する。
●「グッドデザイン大賞」の候補を公開
○審査員の総評
10月30日に行われた「グッドデザイン賞特別賞発表会」に登壇した、日本デザイン振興会理事長の大井篤氏は「近年、社会の中でデザインの役割がますます大きくなっている。
こうした時代環境を踏まえて、審査の過程においては、新たな試みとして社会やわれわれ一人ひとりが解決しなければならない問題・課題について、12の"フォーカス・イシュー"という形にまとめて、それらにデザインがどのように働きかけるかに目を向けることで、デザインの本質的な役割はもとより、これからの暮らしや社会を形づくる上で種になりうるもの見いだすことに努めた」と説明した。
フォーカス・イシューとして掲げられたのは、「地域社会・ローカリティ」、「社会基盤・モビリティ」、「地球環境・エネルギー」、「防災・減災・震災復興」、「医療・福祉」など、社会が抱える12項目の課題だ。
また、審査委員長を務めた永井一史氏も「グッドデザイン100の中から、暮らしを豊かにしていく審美性に加えて、フォーカス・イシューの視点を導入することで、より広い観点から評価したものが特別賞として選ばれている。デザインが社会の中で毛細血管のようにあらゆる場所や地域に流れはじめている今、特別賞の中にあるデザインの多様な領域や外見だけでなく、その中にあるプロセスやそれがもたらす価値やそういう観点でデザインを注目していただければありがたい」と語り、今年度の審査における新しい試みへの理解を求めた。
同じく今年度から審査副委員長に就任した柴田文江氏は「これまでデザインというのはプロジェクトや問題に対して対面して物をつくってきた傾向にあったと思うが、今年は問題の内側に入って当事者が抱える問題を丁寧にひもといたものが今回ベスト100の中に多く見られたと感じる」と総評した。
○グッドデザインを一覧できる「G展」
2015年度のグッドデザイン賞受賞デザインやロングライフデザイン賞などを集めた「GOOD DESIGN EXHIBIYION 2015(G展)」は、東京・六本木の東京ミッドタウンで11月4日まで開催。開場時間は11時から20時まで(最終日は17時30分まで)。入場料(6日間共通)は大人1,000円、中学生以下は無料。
展示の他に、グッドデザイン・ベスト100に選ばれたデザイナーによるプレゼンテーションやトークイベントなども予定されている。
ちなみに、参加することで同展のチケットが無料で入手できる参加型コンテンツ「MEETinG」も実施中。気になる人はぜひ参加してから、会場に足をはこんでみては。