2015年11月2日 13:15
カーエレクトロニクスの進化と未来 (78) ビデオと音声を同期しながらEthernetで通信できる - Connected OSの背景
Mentor Graphicsが発表した、クルマのインフォテインメントやADAS情報を設計する新しいソフトウェアプラットフォーム「Connected OS」の狙いは、車内でオーディオ・ビデオを楽しむことであった。運転席から後部座席にいる人たちがビデオを楽しむためにAV信号を、Ethernetを通して送り、一緒に楽しむことができるようになる(図1)。実は、これまでクルマ内でのEthernetは、クルマの診断といった限られた応用にしか使われてこなかった。ビデオ映像を流すという応用は難しかったからだ。
Ethernetは、100Mbpsだけではなく今や1Gbpsを超す高速データ伝送ができる時代にはなった。しかし、クルマ用では、オーディオ信号とビデオ信号を合わせ、同期を取り、映画やテレビ映像を、Ethernetを通じて流してもこの2つの信号の同期をリアルタイムでとることが難しかった。同期や遅延などの仕様が標準化されて間もないからだ。
オーディオ信号とビデオ信号の同期がとれていなければ、出演者の口の動きと音声が合わなくなってしまい、まるで腹話術師の「いっこく堂」が得意としている時間差芸のような状態になってしまう。