Windows 10 Mobileデバイス、ひと足お先に選ぶツボ - 阿久津良和のWindows Weekly Report
日本マイクロソフトがLumiaシリーズではなくOEMパートナーを優先し、コンシューマー市場よりも法人市場を強く意識する理由の一つに「Windowsとビジネスの親和性」がある。改めて述べるまでもなく、企業で使われるPCの大半はWindowsだ。もちろんOfficeも活用されている。そこに「One Windows」構想が加わると、ユーザーは社内でも社外でも同じUX(ユーザーエクスペリエンス)を得られることになる。
このアドバンテージを活かして、日本のモバイル市場に再チャレンジする日本マイクロソフトは10月14日、Windows 10 Mobileデバイスの開発パートナーとして6社が名乗りをあげていることを明らかにした。
だがこの時点で、ジェネシスホールディングスやその親会社であるネオスの名前は上がっていなかった。以前、日本マイクロソフトの関係者は「発表した6社以外にも数社と交渉中」と話していたので、ジェネシスホールディングスもその1社なのだろう。
気になるのは「WPJ40-10BK/WH」のスペックだ。そのディスプレイは4インチWVGA(800×480ピクセル)。Windows 10 Mobileデバイスのシステム要件では、ディスプレイの解像度をWVGA以上と定めており、WPJ40-10BK/WHは必要最小限のスペックであることがわかる。
もちろんエントリーモデルを否定するつもりはない。WPJ40-10BK/WHの市場想定価格は12,800円と企業努力も見られる。ただし同等のスペックを持つアジア向け低価格デバイス「Lumia 430」が、並行輸入品価格で10,000円前後であることを踏まえると、ハイスペックに慣れた国内のユーザーは物足りなく感じるだろう。
筆者がWindows 10 Mobileデバイスのスペックにこだわる理由の一つが「Continuum」の存在だ。例えばLumia 950なら、Microsoft Display Dock経由でディスプレイやキーボードなどを接続して、PCのように使用できる。MicrosoftはContinuumのシステム要件を明らかにしていないが、Lumia 950はSnapdragon 810、3GBのメモリーを搭載している機種だ。
ContinuumやユニバーサルWindowsアプリによって、ユーザーはPCでもスマートフォンでも同じ作業を実現可能になる。このようにPCとモバイルの境界線が曖昧になる世界は、iPhoneやAndroidデバイスがなし得なかったものだ。それだけにWindows 10 Mobileの成功はContinuumの完成度にかかっているとも言える。
日本マイクロソフトには、DOS/Vマシンブームの初期のように玉石混交の製品が並ばないよう、ユーザーがWindows 10 Mobileに落胆するような要素を取り除き、華々しいスタート市場形成に努めてほしい。そして我々エンドユーザーも、Windows 10 Mobileの可能性を引き出せるデバイスを見極める眼を持つようにしたい。
阿久津良和(Cactus)
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