理研、重イオン加速器施設で鉄・クロム原子核の異常変形を確認
同成果は、理研 仁科加速器研究センター 上坂スピン・アイソスピン研究室のクレメンティーヌ・サンタマリア 客員研究員、アレクサンドレ・オベルテッリ 客員研究員、上坂友洋 主任研究員、櫻井RIビーム物理研究室のピーター・ドルネンバル 研究員、櫻井博儀 主任研究員らを中心とするSEASTAR国際共同研究グループによるもので、米科学誌「Physical Review Letters」に掲載されるのに先立ち、11月3日付けのオンライン版に掲載された。
今回の研究では、重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」で、光速の70%となる核子あたり345MeVまで加速したウラン(238U:元素番号92、中性子数146)ビームを標的となるベリリウム(Be、元素番号 4)に照射し、核分裂反応でマンガン67Mn(元素番号25、中性子数42)とコバルト71,73Co(元素番号27、中性子数44,46)のRIビームを生成。その後、超伝導RIビーム生成分離装置で輸送したRIビームを高機能水素標的装置「MINOS(ミノス)」に照射し、水素原子核との反応により中性子過剰クロム66Cr(元素番号24、中性子数42)と鉄同位体70,72Fe(元素番号26、中性子数44, 46)の励起状態を生成した。そして、水素原子核との反応で生じたガンマ線を高効率ガンマ線検出器(DALI2)で検出することで、核構造変化の指標となることが知られている第一・第二励起状態のエネルギー決定に成功。66Cr、70,72Feの第一励起状態のエネルギーが、おのおの386 keV、480 keV、520 keV、第二励起状態のエネルギーが1,069 keV、1,346 keV、1,330 keVであることが分かった。
実験結果から、66Crと70,72Feの第一励起状態のエネルギーが、中性子数40、42を持つ同位体とほぼ同じであり、中性子数40で見つかっている変形がさらに中性子数の大きい領域まで広がっていることが明らかになった。
このように異常変形が広い中性子数領域に広がる現象は、中性子数20~26のマグネシウム同位体で見つかっているものと非常に似ており、重いマグネシウム領域で生じている大きな核構造変化が、ほかの元素領域でも起きているという証拠が得られたことになる。
理研によると、同成果は原子核構造の統一的理解を図るうえで重要なものであり、今後この現象が中性子魔法数50まで広がっているのかなど、さらに測定の領域を広げた検証実験の実現が期待できるとしている。
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