Windows 10 Insider Previewを試す(第36回) - 完成版TH2候補のビルド10586が現れる
MicrosoftはWindows 10の大型アップデート「Windows 10 Fall Update(開発コード名はThreshold 2)」を今秋リリース予定だったが、噂レベルでは開発も完了し、大きなバグが発見されなければ、そのまま11月10日頃のリリースを行うことだろう。もっとも、僅かなバグフィックスといくつかの機能拡張を行ったビルド10576が最終検証版であり、ビルド10586が完成版という見方もある。10日と言えば残すところあと数日である以上、そのままCB(Current Branch)ユーザーに提供されるのが自然だろう。
Windows 10 Insider Buildの進捗を報告するMicrosoftのGabriel Aul氏は、今回のビルド10586リリースについても公式ブログで「バグフィックスと一般的な改善に焦点を当てた」と述べている。実際に使ってみると、前ビルドと比べても大きな変化はなく、短時間の確認においては大きな問題は確認できなかった。
アップデートを終えて目に留まったのが、デスクトップ右下に浮かんでいたウォーターマーク(電子透かし)がなくなっている点である。Microsoftは慣例的に試用版やベータ版に対してウォーターマークの表示を行い、Windows 10 Insider Previewも同様だった。ビルド10240リリース時はウォーターマークが一瞬消えていたことを思い出す方も少なくないだろう(その後のビルド10525では復活した)。この変化だけを取り上げても、ビルド10586がWindows 10 Fall UpdateのRTMに相当すると断言できるだろう。
手早く設定項目などを見比べた限り、ビルド10576との違いは確認できなかったが、Aul氏は公式ブログで以下の改善項目を取り上げている。「Grooveミュージック」や「映画とビデオ」でメディアファイルを再生している際にトースト通知が現れると、オーディオ再生に75パーセントの遅延が発生していたが、この点を改善している。
Surface Pro 3の電源ボタンを押すと、スリープではなくシャットダウンを実行する問題を修正した。
「Disksnapshot.exe」実行時、希にコマンドプロンプトが点滅する問題を修正した。
Windows 10がサインインオプションを忘れる問題を修正した。
Microsoft EdgeでWebページの先頭を表示しねいない場合、タブのプレビューが正しく表示されない問題を修正した。
以前のビルドで発生していた小型タブレットのアップデートが正しく行われない点や、アップデート後に画面ローテーションが動作しない問題を改善している。
気になるのはサインインオプションだ。Aul氏は「サインイン時にPINを使った場合、次回は異なるサインインオプションを求める」と説明しているが、筆者はビルド10576でそのような現象に出くわしていない。一部の環境でAul氏が述べたようなトラブルが発生していたのだろう。
このように、ほぼ完成したWindows 10 Fall Updateだが、筆者が試した環境ではCortanaに関する問題が已然と残っている。具体的にはデスクトップPC+Bluetoothマイクの構成でCortanaが動作しないのだ。
Surface Pro上のWindows 10 Insider Preview ビルド10586は問題なく動作するため、ハードウェア環境固有の問題と思われる。ちなみに合成音声は若干改善したように感じられるが、日本マイクロソフトが発表会で見せた、すらすらと喋るエンジンには切り替わっていないようだ。
また、Aul氏は注意点として「メッセージング&Skype」のメッセージ&履歴消去を挙げていた。筆者環境では前ビルドですべて消えているため動作を検証できないが、デスクトップアプリ版Skypeはそのままのため、現時点では大きな問題とならないだろう。
いずれにせよ、多くのユーザーが必要とするデスクトップ周りの改善は落ち着き、安定して使えるようになった。来週の11月10日(日本は11日)頃には、Windows Update経由でWindows 10 Fall Updateの公開が始まるはずなので、本稿の読者には、重要ファイルのバックアップなど事前の準備をお薦めしたい。阿久津良和(Cactus)
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