25歳のあなたへ。これからの貯"金"講座 (27) VW問題の裏側にあるもの
フォルクスワーゲンは、米国の顧客に、プリペイドカードで1000ドルの金銭補償すると発表した。リコール(無償の回収・修理)に加えて、直接的金銭補償という異例の対応だ。慰謝料でも払っておかないと、米国では集団訴訟でどれだけの金額の損害補償を求められるか、見当もつかないので、「示談」のごとき意味合いの措置のようだ。有害な窒素酸化物NOxを吸わせてしまって、もうしわけない。これでひとつ、なんとか、というわけか。
○来年いっぱいは「現状でお構いなし」
いっぽう、欧州では、窒素酸化物の許容排出上限を最大100%引き上げ、排ガス試験合格を簡単にすることで、事態を乗り切ろうとしている。しかも、実験室内ではなく、実走行での排ガス試験への移行は2017年。来年いっぱいは、現状でお構いなしという措置だ。
現行モデルは、許容レベルの7倍に上るNOxを排出しているので、この汚染物質により「数千人の人を殺す決断と解釈することもできる」とまで、お堅い英フィナンシャルタイムズが書いている。その背景には、「EUの遺伝子ともいえる生産者のカルテル」志向があるという。
更に、VW社の特殊な企業性も問題視されている。株主構成を見ると、52.2%がポルシェ家とピエヒ家という「同族企業」