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日本マイクロソフト、初メジャーアップデートのWindows 10を詳しく解説 - 日本ユーザーからのフィードバックを大募集

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日本マイクロソフト、初メジャーアップデートのWindows 10を詳しく解説 - 日本ユーザーからのフィードバックを大募集
●200以上の機能が加わった「Windows 10 November Update」
11月18日、日本マイクロソフトは、11月12日にリリースした「Windows 10 November Update」や日本独自で行った開発への取り組みについて記者説明会を開催。米MicrosoftからはWindows&Devices Group Cortana担当パートナーグループプログラムマネージャーのMarcus Ash(マーカス・アッシュ)氏も来日し、Windows 10 November Updateから使用可能になったパーソナルアシスタント「Cortana(コルタナ)」の概要について説明した。

○200以上の機能が加わった「Windows 10 November Update」

最初に登壇した日本マイクロソフト Windows本部本部長 三上智子氏は、Windows 10 November Updateがコンシューマー向けと法人向けで異なるアプローチを持ち、「200以上の機能追加を行った」と説明している。

Windows 10は「WaaS(Windows as a Service)」として2015年7月29日に無償アップグレードが始まったが、今回のWindows 10 November Updateは初めてのメジャーアップデートにあたる。無償アップグレード開始時点では、法人向けの機能はあまり多く備えておらず、今回のメジャーアップデートでも実装数はそれほど多くない。これはMicrosoft Azureの一部サービスがローンチに至っていないため、歩調を合わせているからだろう。

まずはコンシューマー向け機能に注目したい。三上氏はWindows 10 November Updateの特徴として、まもなく登場するスマートフォン向けOSのWindows 10 MobileやXbox One向けWindows 10のリリース決定について「クロスプラットフォームの強化」とアピールした。
また、法人・開発向けの話題となるが、組み込みデバイス向け「Windows 10 IoT」各エディションの国内発表も相まって、"One Windows"の勢いはますます高まっている。

Windows 10 November Update自身に関しても「1,000万を越えるフィードバックに耳を傾けて、改良を加えてきた」という。そのWindows 10 November Updateが備える特徴として三上氏は4つのポイントを掲げた。1つめは各国の文化や生活を反映させた「Cortanaの初公開」。2つめはリーディングリストやお気に入りの同期機能、タブプレビュー機能を備えた「Microsoft Edge」。3つめはSkypeビデオやメッセージング、Swayなどを新搭載し、メールやフォト、カレンダーを改良した「標準搭載アプリの改善」。4つめは遊ゴシックや遊明朝ファミリーの品質向上を図った「日本語フォントの改善」だ。

特に日本語フォントの改善は、日本からのフィードバックがもっとも多かったという。
三上氏は「国内に開発拠点(=マイクロソフト ディベロップメント)があるため、比較的迅速な対応ができた」と述べる。無償アップグレード前のWindows 10 Insider Previewでも日本語フォントに対するフィードバックは多く、無償アップグレード前に改善が加わったように記憶している。詳しい変更点は後述するが、Windows 10 November Updateはさらに日本語フォントが見やすくなったようだ。

法人向け機能としては、Windows Update for Businessやビジネス向けWindowsストアのサポートを筆頭に、モバイルデバイス管理の強化やAzure Active Directory Joinの強化、各セキュリティ機能を組み合わせた企業の安全性を確保した5つのポイントが大きいという。やはり注目すべきは前半の2つだ。

Windows Update for Businessはアップデートや新機能のインストール時期などを制御できる機能だが、現時点(ビルド10586.3)では、グループポリシー設定で時期を選択し、今後は既存の管理ツールからの制御方法も加わる予定だ。任意のアプリケーションを企業内で配信するビジネス向けWindowsストアも既に利用できる。使用するにはMicrosoft Azure Active Directoryや企業向けOffice 365のアカウントなどが必要になるものの、LOB(基幹業務)アプリケーションの配布などは、今まで以上に簡素化するという。
なお、企業が制御できないアプリケーションなどを通じてデータが漏洩するリスクを軽減するEDP(Enterprise Data Protection)は、今後のWindows 10 Insider Previewで提供を予定していると説明した。●日本語版Cortanaのポイント
○日本語版Cortana初披露を本社担当者が解説

次に、マイクロソフトディベロップメント(MSD)代表取締役社長 安達理氏が登壇すると、自社が各製品の多言語化ではなく、WindowsやOffice、Bingなどの製品開発に取り組んでいることを説明。先ごろリリースした「Office Lens」もMSDが開発したことをアピールした。

安達氏は「WaaSの"Service"は、Outlook.comやOneDriveと同じSaaS(Software as a Service)と同じ意味を持つ。従来のWindowsは数年の間、開発したコードをサーバーに蓄積し、ビルドやパッケージングといったプロセスを必要としていたが、(昨今は標準化しつつある)アジャイル開発にそぐわない。Windowsという巨大なソフトウェアのアジャイル開発を行うのが我々の目標である」と、Microsoft全体の開発スタンスが変化したという。

さらに、新規開発した機能を全体の0.01%(のユーザー)に提供して、その結果をフィードバックや使用頻度などを踏まえて判断し、うまく行けば0.1%、1%、10%……と段階的な展開を行う仕組みで開発や機能提供を行っていくと説明した。現時点のWindows 10 Insider Previewに同様の仕組みは備わっていないように見受けられるが、2016年リリース予定の「RedStone(開発コード名)」完成までには、段階的な展開が加わるのだろう。


Windows 10 November Updateでは、一般ユーザーが初めてCortanaを使えるようになったため、ここでMicrosoftのMarcus Ash氏が登壇した。Ash氏は「ユーザーが複数のデバイスを所有し、異なるUIで操作が煩雑なる将来を予測していた。2012年から始めたCortanaへの取り組みは、最適なUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供することを念頭に開発した」と、パーソナルアシスタントの成り立ちを説明した。

続けて「Cortanaはユーザー個人を理解し、好みや行動を学んでいく。長く使えばスマートになり、ユーザーの先を見越した助言や手助けを行う。我々は"コンピューティングの正しい姿"として、このような行動をCortanaで実現しようとしている」と語る。Ash氏はWindows 10やWindows 10 Mobileなど、"One Windows"プラットフォームすべてで動作するCortanaの未来を語り、現時点で10億以上の質問がCortanaに対して寄せられていることを明らかにした。

米国と日本で提供するCortanaの違いについては、「Cortanaはグローバルな製品だが、各国で異なる文化にフィットしたスタイルを身につけなければならない。
日本であれば『丁寧さ』を表現するため、アイコンが挨拶するが、これは日本独自のスタイルだ」と、国ごとにCortanaが異なるスタイルを持つことを説明。スライドでTwitterのフィードバックを紹介し、「日本でも期待を集めていることを感じる。より多くのフィードバックを得て、Cortanaを成長させていく」と締めくくった。

なお、Cortanaに関しては、Ash氏およびMSDの開発メンバーに詳しい話を伺ったので、後日その内容をご報告する。

●November Updateで変わった日本語フォントとCortana
さて、本発表会で注目すべきは、Windows 10 November Updateに対するMSDのコミット領域である。安達氏の説明によると、フォントの描画品質の改善や語類の拡充、そして前述した日本語版Cortanaの開発など、日本語に携わる部分を主に行った。

MSDの渡邊飛雄馬氏はデモンストレーションを交えながら、具体的な変更点として、「レンダリングエンジンを改良し、文字の見栄えがよくなった」と説明。下図で示したように「で」のジャギーが発生していた部分を修正したり、「饗」という漢字がつぶれずに正しく表示されるようになったりしている。


また、標準UIフォント「Yu Gothic UI」のヒンティング(アウトラインフォントを表示する際の最適化技術)を修正して、文字間のバランスを調整し直したという。こちらも下図で示したように、「かつては『デ』が小さくアンバランスに見えていた部分を調整している。漢字とカタカナやひらがなとのバランスも再調整した」そうだ。

語類の拡充は、Bingのオートサジェスト機能を利用したMS-IMEの「クラウド候補」によって、使用できる語彙(ごい)を増やしたというものである。検索エンジンのデータベースを使っている関係から、語類が拡充するのは自明の理だ。筆者が以前MSD関係者に尋ねたところ、「一定のしきい値を使って採用する語句は取捨選択している」と説明されたが、芸能人の名前や新作アニメ、ニュースなどで話題になった医療用語など、ビルド10240時点よりも語類を増やしたようだ。

Cortanaに対するアプローチとしては、サードパーティー向けAPIの公開と日本独自の機能を披露。前者はCortanaからサードパーティー製アプリケーションの操作を可能にする機能だが、今回は「ジョルテ カレンダー&ダイアリー」のベータ版を用いて、Cortanaから表示モードの切り替えや配色変更を行うデモンストレーションを見せた。
後者は「最近の地震は?」とCortanaに話しかけ、直近の地震情報をカードおよび音声で示す機能を紹介した。こちらはMSDが企画・開発し、世界に先駆けての提供となる。

再び登壇した安達氏は「日本語版Cortanaパブリックになってから約1週間。まだまだ成長の余地が大きい。ユーザーの皆さんに使って頂き、一緒に成長させてほしい」とした。その後の質疑応答で、多くのユーザーが気にしている「フィードバックの重視具合」について質問が上がると、Vote(投票。Windowsフィードバックの「そのコメントに一票」という部分)の数を重視していることを明らかに。

「残念ながら日本からのフィードバック、投票は少ない。グローバルで見ると全体に埋もれてしまう。日本人的な特性かもしれないが、ぜひ多くの意見を寄せてほしい」と、安達氏はWindowsフィードバックの活用を求めていた。筆者も意識的に投稿&投票するようにしているが、多くの場面で後回しにしてしまうことも少なくない。だが、次期アップデートとして名が上がっているRedStoneの使い勝手を、自らの意見で左右できることを踏まえると、能動的に意見を発信した方が、自分たちの利益につながるのではないだろうか。そんな考えが頭の片隅をよぎった発表会だった。

阿久津良和(Cactus)

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