AMD、「Radeon Software Crimson Edition」の概要を公開 - 安定性と性能の両立を目指した新ドライバ
まずは2014年に発表されたCatalyst Omegaを振り返り(Photo03)、多数のダウンロードがあり、かつ顧客満足度もそれまでより高くなっていることを紹介した。続く2015年では、Catalyst Omegaを含む3つのメジャーリリース(WHQL取得リリース)と9つのBeta、さらに特定ゲームに対応したバージョンをリリースしたが、2016年はWHQL取得ドライバを最大6つリリースする予定で、これまでより少し減らすという(Photo03)。
○安定性の向上とパフォーマンスの改善を目指した新ドライバ
さて、「Radeon Software」として最初の製品が"Crimson Edition"となる(Photo05)。Catalyst Omegaと同じように、あくまでもこれは最初のリリースだけの話で、今後のRadeon Softwareのすべて名前が付くわけではないとのこと。
そのRadeon Crimsonは、安定性を基板に、操作性・機能・性能・効率のすべてを改善したもの(Photo06)だと、具体的にな数字も挙げて改善の度合いを紹介した(Photo07)。
まずは基盤となる信頼性について。
Radeon Crimsonでは、従来比でテスト項目を大幅に増やし、より安定性を高める努力がなされている(Photo08)。また、Catalyst Omegaの時と同様にコミュニティからバグレポートを集め、これのTop 10から優先的に解決するという手法をとった(Photo09,10)。
ちなみに現在も引き続きバグレポートを待っているとのことだ(Photo11)。
次が機能であるが、まずUIは従来のCatalystのCCC(Catalyst Control Center)が.NETベースのものだったのに対し、新しくQtで新規に作り直され(Photo12)、Interfaceも一新された(Photo13)。加えて、画面の初期化する時間が3倍高速になったとしている(Photo14)。さらに古いドライバを完全に消すCLEAN Uninstall Utilityも新たに提供されることになった(Photo15)。
○新機能も数多く追加
設定画面以外の部分としては、一般的に利用できるドライバとして初めてバーチャルリアリティ(VR)向けの技術「LiquidVR」(Photo16)や「Asynchronous Shaders」(非同期シェーダ)サポートされた(Photo17)。
FreeSync周りにも機能が追加された(Photo18)。
今回サポートされたのは、LFC(Low Frame Compensation)で、実表示フレームレートが、ディスプレイ側が対応できる最小フレームレートよりも低い場合に、動きをスムーズにしたり揺れを削減できるという。
フレームレートを一定に保つ機能も改善されており、DirectX 9~11、さらにはCrossFire環境でも動作しており、これは特にeSPORTSの様なシーンで効果的であるとのことだ(Photo19)。気になる点としてHDMIによるFreeSyncの対応が挙げられるが、現在販売されているFreeSync対応ディスプレイのHDMIですぐに利用できるとはならないようだ。
また、独自の解像度設定を追加することが可能になった(Photo20)ほか、Windows 10環境下では仮想解像度機能が現実的に利用可能になったとしている(Photo21)。
ビデオ関係では、第6世代APU(Carizzo)上でビデオ再生支援機能が使えるようになったことに加え、被写体ブレの軽減や動画のディテールを強調する「Advanced Detail Enhancement」といった新機能も追加されている(Photo22)。
映像のスケーリングの際に、いわばAnti-aliasに近い処理を行うAdaptive directional filteringが追加された(Photo23)や、動画ごとに最適なコントラストを調整するAdaptive Dynamic Contrastが新たに加えられた(Photo24)。
○パフォーマンスや電力消費の改善も
ここからは性能周りの話。まずRadeon Crimsonでは新たにShader Cacheが設けられた。
これは一度Shaderにロードした内容をHDDにコピーしておけるというものである。これにより、Shaderのプログラムを入れ替える場合の速度が改善したとしている(Photo25)。資料によると絶対性能はともかく、性能のバラつきがやや低くなり、結果としてよりスムーズにプレイができる様になったとする。
DirectX 12での性能も20%ほど改善した(Photo26)。もっともこれは改善の度合いがかなり高くなった場合のものであり、全般的に言えば5~10%程度(Photo27)ということのようだ。また、Linux環境における性能(Photo28)や、Radeon Crimsonでは従来よりも早くCPUを描画処理から開放するので、マシンの反応時間も改善するとした(Photo29)。
次が省電力性の話。まずはFRTC(Frame Rate Target Control)で、これを利用する事で大幅に消費電力を改善できるとする(Photo30)。
もっともこのFRTCは全てのGCNで23%改善できる(Photo31)というわけではなく、製品によってはもう少し改善率が低かったりほとんど効果がなかったりするので、ここまで消費電力を削減できるのはRadeon R7 350/370とR9 270シリーズのみとのことだった(Photo32)。
最後が開発者絡みの話であるが、OpenCL 2.0の追加機能のサポート、それとCodeXL 1.9のリリースが挙げられた。ただ実はこれには続きがあるのだが、取りあえずそれは後に回して、Photo33が全体のまとめである。最後のスライドがこちら(Photo34)。Makedon氏いわく「開発者向けが薄いのは、この後大きな発表が予定されているからで、もう数週間待ってほしい」とのことであった。