米ブルー・オリジン、宇宙に達したロケットを垂直に着陸させることに成功
ブルー・オリジンは2000年9月に設立された会社で、ネット通販大手のAmazon.comを設立したことで知られるジェフ・ベゾス氏によって立ち上げられた。
ニュー・シェパードは単段式のロケットで、垂直に打ち上げられ、高度100kmの宇宙空間まで上昇した後、そのまま垂直に着陸し、整備と推進剤の補給を行い再び打ち上げることができる能力をもっている。ロケット・エンジンには液体酸素と液体水素を使う「BE-3」を使う。ロケットの先端には人や実験装置などを積んだカプセルを搭載することができ、地球をまわる軌道には乗れないが、宇宙観光や簡単な宇宙実験などを行うことはできるようになっている。今年4月に初の試験飛行を行っており、その際は高度93kmまで到達したものの、ロケットの着陸には失敗した。
今回の飛行は11月23日に実施され、4月のときと同じ、西テキサス地方にある同社の試験場を使って行われた。ロケットは垂直に上昇し、最高速度マッハ3.72で高度100.5kmに到達した後、カプセルを分離。そしてロケットは安定翼を展開し、上空の強い風の中を安定して降下し、発射台から上空約1.5kmのところでエンジンに再点火し減速。そして機体を制御しながらさらに降下を続け、最終的に着陸脚を展開し、着陸施設に降り立った。一方のカプセルもパラシュートで着陸している。
ニュー・シェパードは今回が2回目の飛行で、初めての完全な成功となった。さらに宇宙空間に到達したロケットが、そのまま垂直に着陸することに成功したのも史上初めてのこととなる。次の試験飛行の予定は明らかにされていないが、今回成功した機体を再使用するものと見られている。
ブルー・オリジンでは今後もニュー・シェパードの試験飛行を繰り返し行い、2年以内にも同ロケットを使った宇宙観光や宇宙実験をビジネスとして展開したいとしている。○開発競争激化のきっかけとなるか
再使用ロケットの構想は古くからあり、今回のニュー・シェパードのように垂直に打ち上げられ、垂直に着陸できるロケットもいくつかの実験機が開発されている。
近年では特に、ブルー・オリジンと同じ米国の宇宙企業であるスペースXも、人工衛星を打ち上げた後の「ファルコン9」ロケットの第1段機体を、海上の船で回収し、再使用する試験に挑戦し続けている。同社はこれにより、ロケットの打ち上げコストの大幅な低減を目指している。
今回の成功で、ブルー・オリジンはスペースXに先んじたようにも見られるが、ニュー・シェパードは高度100kmに到達することのみを目的としているため、地上からまっすぐ空に向けて打ち上げ、高度100kmに達した後、そのまままっすぐ帰ってくるだけで良い。
しかし、ファルコン9は人工衛星を打ち上げるロケットであるため、衛星を打ち上げられないニュー・シェパードよりも要求される技術が高く、開発も難しい。また、第1段機体は高度80kmの高さから、さらに水平方向への速度もついている状態で、機体を制御して着陸させなければならない。技術的な難易度はファルコン9のほうが高く、今回のニュー・シェパードの成功により、ブルー・オリジンがスペースXに勝ったというわけではない。
ただ、ブルー・オリジンも、人工衛星打ち上げ用の再使用ロケットを開発することを明らかにしており、今後、両社の間で再使用ロケットの開発競争が激化することが予想される。
参考
・Blue Origin | Historic Rocket Landing
https://www.blueorigin.com/news/blog/historic-rocket-landing
・Blue Origin launches, lands New Shepard booster
http://www.floridatoday.com/story/tech/science/space/2015/11/24/blue-origin-launches-lands-new-shepard-booster/76301552/
・Blue Origin Flies — and Lands — New Shepard Suborbital Spacecraft - SpaceNews.com
http://spacenews.com/blue-origin-successfully-flies-new-shepard-suborbital-vehicle/
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